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>>299のつづき)
実際、経済ジャーナリストの長谷川洋三氏も、J-CAST記事の中で、御手洗氏に「2期目は
どうしますか」と、「途中降板」を示唆した質問をぶつけたことを明かしており、それに対して御手洗氏は
「2期4年という会長任期を前提にヴィジョンも発表している」と、「降板説」を否定したという。
だが、先代の奥田碩会長の時代は、ここまで経団連会長に対する批判が強くなかったのも事実。
御手洗氏と奥田氏との違いについて、経済ジャーナリストの阿部和義さんは、「器の小ささ」「海外経験」
「政界との距離感」の3つを挙げる。
「器の小ささ」を象徴するひとつが、朝日新聞がキヤノンの偽装請負問題を報じたことを受けて、
キヤノンが06年末から一時期、同紙に対するイメージ広告の出稿を取りやめた、とされる出来事だ。
07年11月に日本記者クラブで行った会見では、御手洗氏は「広告の効率の問題。一般的に、企業広告は
企業のイメージを上げるためにある」と話している。
さらに、御手洗氏は23年間を米国で過ごしたことから、「日本の財界での『つきあい方』が、あまり
分かっていないのでは。キヤノンの社長としては良かったのでしょうが、経団連の会長ともなると、
プラスアルファがないとダメでしょう」と、「長い海外経験が裏目に出たのでは」と見る。
御手洗氏は、安倍元首相と密接な関係にあったことも有名だ。安倍氏がベトナムや中東5か国などに
外遊した際、御手洗氏も財界から100人以上を引き連れて随行。阿部さんは「政界と財界の距離感が
まるで分かっていません。まさに『金魚のフン』以外の何者でもありません」と批判する一方、安倍氏が
突然退任したあと、様相が一変したことを指摘する。
「福田前首相は、安倍元首相にべったりの御手洗氏との距離を置いたのです。御手洗氏は、ほぼ
『切られた』と言ってもいいでしょう」
御手洗氏と安倍氏との「蜜月関係」が、思わぬ形での揺り戻しを招いた、ということのようだ。
これと関連して、経団連自体の影響力が低下しているとの見方も根強く、09年に入ってからは、
「『小沢政権』誕生なら『財界総理』は経済同友会に?」(「エコノミスト」09年1月27日号)
という観測記事も登場する、という有様だ。(以上、一部略)