★☆★小田切馬 第11R★☆★

このエントリーをはてなブックマークに追加
65小田切総統 ◆Q1ExssOilE
(中スポ)
3年目にしてG1初騎乗となる中村将之。東京競馬場で乗ること自体も初めて。
さぞかし緊張していると思いきや「ボク自身が走るわけじゃないですから、気は楽ですよ」とニッコリ。
「今回はメンバーも骨っぽいですし。ただ、この馬の全能力を引き出せれば、楽しみはあると思いますよ」
いつもと変わらぬ明るくさわやかな受け答えに、若武者の成長ぶりがうかがえた。
その根底にあるのは昨年10月28日の福島での落馬事故と、約4ヶ月の負傷欠場。
「あれはつらい経験でしたが、おかげで競馬に乗れる喜びを痛感できました。
それに今回のG1騎乗もある意味、あの事故があったから。だから緊張感というより、ありがたい気持ちでいっぱいなんです」
実は落馬事故の際に騎乗していたセイシュンジダイ(予後不良)と、今回のサヨウナラはともに小田切有一氏の持ち馬。
中村は「セイシュンジダイには申し訳ないことをした」と繰り返すが、度量ある小田切氏は逆に以前にも増して中村をバックアップ。
3月11日の中京で復帰後初勝利を挙げたのも、サヨウナラだった。そういう経緯もあって今回、中村が奮い立つのは当然。
ただ、G1騎乗は3月11日の好プレーが呼び込んだチャンスでもあった。あの時はサヨウナラを思い切って後ろに下げ、直線一気の差し切り。
「母の父ヌレイエフの切れ味を生かした方がいいと思って。フワッと乗って直線だけバンとハミを掛ける乗り方が合っていたようですね」
前走の福島牝馬Sも6着ながら、内容は悪くなかった。「千八だと折り合いにやや難がありますから。芝でもやれると分かったのは収穫でした」
そして最後、冗談めかしてこう結んでくれた。「マイルの方が競馬しやすいし、折り合いさえパーフェクトならしまいは切れるはず。
もし勝ったら、これだけで小説が書ける感動的なストーリーなんですけどね」。ナイスガイの若々しい手綱さばきに注目したい。

(昨日のサンスポ)
道のりが辛かった分だけ、喜びには大きいものがある。落馬事故の大怪我で一時はジョッキー生命を危ぶまれた中村騎手がヴィクトリアマイルに挑戦する。
「G1なんてまだ早いんですけど、小田切オーナー、谷先生、スタッフの後押しで出られることになりました。本当にありがたいと思っています」
まだ少年の面影を残す顔にいっぱいの笑みを浮かべながら、ジョッキーは周囲の人たちの応援に感謝の言葉を述べた。
騎乗センスの良さは、関係者の間で以前から高い評価を得ていた。ところが、好事魔多し。
勝ち星がグングン伸び始めた昨秋、福島競馬で落馬。胸椎骨折、脳挫傷の重傷を負った。
「背骨の一部がつぶれて、お医者さんに“後遺症が出る恐れがある”と宣告されました。
あの時は馬を死なせたショックと自分の将来に悲観して追い詰められましたね。治ったのは奇跡的です」
そんな中村騎手とコンビを組むサヨウナラの追い切りは坂路。ラスト1F12秒3(4F55秒7)と、前走の福島牝馬S当時をしのぐ動きを示した。
「とにかく馬を気分良く走らせてあげたい。ゼロから再出発のつもりで・・・」。若武者は目を輝かせる。