(夕刊フジ)
デビュー3年目の長谷川浩大騎手は東西のベテランジョッキーが集結する激戦区・函館でただいま奮戦中だ。
横山典、藤田、蛯名、四位騎手らを向こうにまわし3週間で1勝2着4回。楽な戦いではないが、苦しみながら徐々に結果を出し始めている。
その長谷川君を師匠の中村調教師が今週、阪神へ呼び戻す。土曜メーンの灘Sでシンメイレグルスに騎乗させるためだ。
「古馬相手でも一発あるはず」と中村調教師。ところが、長谷川君は日曜函館で1Rから騎乗がある。
飛行機の都合で、ぎりぎり急いで千歳空港着が土曜日の午後8時半、函館行きの列車はもうない。
こういうとき通常は東京で1泊して早朝の飛行機に乗る。が、それでは1Rに間に合わない。
「分かった。じゃ、千歳からオレが自動車で函館まで送り届けてやる」と師匠が胸をたたいた。
JRAへ異例の了解をとりつけて、土曜・阪神メーン→日曜・函館1RというウルトラCが実現した。
「これだけやる以上、何としても結果を出してもらわなくちゃならん。惨敗なら函館の手前で車から放り出してやる」
と冗談交じりの中村調教師の顔はマジだった。