「阪神ファンの正体」井上章一
韓国にヘテタイガースというプロ野球の球団がある。1982年の夏に日本の阪神ファンが同チームへの応援へ
赴いた。韓国の球場ツアーをくんででかけ、同名のタイガースに声援を送ったのである。
阪神ファンのリーダーは中村鋭一であった。
しかし彼らの応援は、周囲の韓国人から嫌われ「うるさい!」と野次られたりもした。阪神ファンの声援がやかましかったのだろう。
中村鋭一らが騒々しいファンをはぐくんでいった。
そのことを象徴する事件だと言えるだろう。
そのことを報じた「週刊宝石」82年9月4日号は、こんなコメントをそえている。
「それにしても、わざわざ韓国まで出向いて、阪神の応援歌をが鳴り立てる神経が、そもフシギ」
東京のマスコミ人は「フシギ」に感じるかもしれない。しかし、関西のメディアは阪神ファンをそんなふうに育てていったのである。