◆NHK連続テレビ小説「カーネーション」ネタバレスレ7◆

このエントリーをはてなブックマークに追加
540名無しさんは見た!@放送中は実況板で
平成二十三年十月。岸和田中央病院の窓に朝の光が差し込み、白いカーテンが揺れている。

窓際に大型テレビが置かれた無人の待合室を、若い看護師が慌てて横切っていく。
「えらいこっちゃ〜、看護師長に絶対見せたげなさいて言われちゃったのに〜」
看護師はひとりの老女を車椅子に乗せて戻ってくると、テレビのリモコンをせわしなく押した。
「始まったところや、よかった〜。ほな、また終わる頃に迎えに来るよってな〜」

看護師は優しく声をかけ、また忙しそうに去っていった。テレビの前にひとり残された九十七歳になる老女は、
薄くなった白髪を短く刈り、小さくしぼんだ体を色褪せたピンクのガウンに包んで、じっとテレビを見つめている。
その気位の高そうな口元が、フッとゆるんだ。

画面の中で寝まき姿の少女が瞳をキラキラ輝かせ、ぴょんぴょん飛び跳ねている。
――あの世で会ったときの、いい土産話ができた。
あのおせっかいは、頼みもしないのに三途の川まで迎えに来るに違いないのだから。
少し遠くなった奈津の耳に、歌が流れてくる。

『時は大正 岸和田に 生まれたひとりの女の子 名前を小原糸子と申します。
着物の時代に ドレスに出会い 夢見て 愛して 駆け抜けた これはそのお話……』(完)
ttp://cgi2.nhk.or.jp/navi/common/fla/movie480_270.swf?vName=rtmp://flv.nhk.or.jp/ondemand/flv/telemap/flv/asa/car/h_car_uta.flv