▼△▼ドラマ視聴率2011年10月期【88】▼△▼
ミタさんの告白全文
わたくしが、初めて紹介所の所長さんから最中をいただいたのは
キイさんと同じ年の頃でした。その一年前、近所の川で溺れそうになったわたくしを
救おうとして、大好きだった父が死にました。それ以来、母は心のどこかで、
最愛の夫を殺した娘を憎み、避けるようになりました。
わたくしは、勉強や習い事を必死に頑張り、なんとか母に喜んでもらおうとしました。
しかし、再婚し、子どもをつくると、弟のことばかり可愛がるようになりました。
義理の父がわたくしに色目を使うようになると、母はますますわたくしを憎むようになりました。
お前のその笑顔が悪いんだ、その笑顔は周りのものを不幸にすると、
何度も何度も責められました。それでも当時、うちの家政婦をやっていた所長さんに励まされ、
わたくしは懸命に笑顔を作りました。いつかこんな自分を愛してくれる人に
めぐり合えると信じていました。そして、主人と出会いました。彼にそっくりな男の子も出来ました。
わたくしのこしらえた料理を、おいしい、おいしいと食べてくれる2人を見ているだけで、
他には何もいりませんでした。毎日毎日が幸せで、心から笑って過ごしました。
そんな時、弟が家に来るようになりました。わたくしを愛していると言い出し、
つきまとうようになりました。主人がそんなこととは夢にも思わず、弟をいつも歓迎しました。
それをいいことに、弟はわたくしに関係を迫り、ストーカー行為を始めました。
父親が違うとはいえ、きょうだいであり、わたくしは、何とか彼の善意に訴えようとしました。
何度も何度も許してほしいと頼みました。しかしダメでした。
(つづく)
(つづき)
やがて、主人が弟の正体を知りました。二度とこないでくれと、主人に責められた弟は
逆上し、俺を誘惑したお前が悪いんだと、わたくしたちの家に火を付けました。
燃え盛る火の中、お母さん助けて、お母さん助けてと叫ぶ、息子の声が聞こえました。
わたくしは火の中に飛び込もうとしました。でも、消防の人に止められました。
わたくしがこの世で一番大切だった、主人と息子は死にました。
そんなわたくしを嘲笑うかのように、弟が自ら命を断ちました。
残された母や、主人の両親は、お前が悪い、お前のその笑顔が、結局周りのものを不幸にすると、
もう謝らなくていい、何もしなくていい、ただもう、死ぬまで二度と笑うなと。
こうして、わたくしの人生から、光が、希望が、夢が、愛が、喜びが、幸福が、未来が消えました。
わたくしのことはすべてお話しましたので、約束どおり、お暇をいただきます。