【テレ朝金23】名探偵の掟part3【原作・東野圭吾】
製作者は果たして原作のコンセプトを理解しているのだろうか。
そこらへんがどうにも怪しい。
納得できない点が何点かある。
まず、大河原警部。
彼は原作中においては「掟」に従い「見当はずれな推理を振り回す刑事」役を演じる。
「演じる」とは言っても、少なくとも「名探偵の掟」の「作品」中では、その役そのものであり、それを想定された「読者」に悟られてはならない。
彼の心中は本来見えないものであり、小説では地の文と天下一とのやり取りでのみ表に現われる。
要するに、ドラマのように「あ〜やれやれ」みたいな演技をしてはならないのだ。
天下一にも同様のことが言える。
あと、とってつけたような部下の女性(名前は忘れた)。
彼女の存在は本当に邪魔だ。
早い話が「ツッコミ」役だが、この話でツッコミを入れられるのは読者だけなのだ。
大体、一々つっこまれたら、あの小説世界が崩壊してしまうじゃないか。
だって、少なくともあそこの登場人物にとって、あの小説内が現実なのだから。
要するに、ドラマ版は「本格」の掟を現実に当てはめて遊ぼうとしているわけだ。
「本格の掟って現実に当てはめるとこんなにおかしいんですよー」と。
東野圭吾が本当に伝えたかったことはそんなことではない。
余分なエピソードも絡んでまどろっこしい。
ドラマ制作者は原作の「『花のOL湯けむり温泉殺人事件』論」をしっかり読み直すべきである。