ラスト・フレンズ 61人目

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849名無しさんは見た!@放送中は実況板で
朝日新聞 批評(抜粋)

ドラマ「ラスト・フレンズ」が尻上がりに調子を上げている。
4月の初回に13.9%だった視聴率は12日の放送で20.7%と大台を超え、
同じ週放送の木村拓哉主演「CHENG」の19.5%を上回った。
恋人からのドメスティックバイオレンスや性同一性障害、姉弟の確執など、
心に傷を負った若者たちがシェアハウスで共に暮らし、時にすれ違いながら
互いのぬくもりを確かめ合ったつかの間の季節を描く。脚本は浅野妙子。
最近は旬の役者を揃えても青春群像劇が振るわない中で、物語を先へ先へと
引っ張っていったのは岸本瑠可役の上野樹里、及川宗佑役の錦戸亮の2人だろう。
長澤まさみや瑛太に惹かれて見始めた人も多いはず。宗佑の暴力に脅えながらも
別れられない藍田美知留役の長澤は、ぐずぐずとした感じが絶妙。姉との間に
性的トラウマがある水島タケル役の瑛太が見せる抑制と献身はNHK大河ドラマ
「篤姫」での肝付尚五郎(小松帯刀)役に通じる。好演する2人ではあるのだが、
そのたたずまいに驚きはない。
しかし、上野には目を見張る。「のだめカンタービレ」ののだめが余りにも
はまり役で、以後ドラマでもCMでも上野にはべっとりとのだめが張り付いて
いた。その呪縛を瑠可が解き放った。目の色、声の質までまるで別人だ。
一方、病的な嫉妬と猜疑心から美知瑠に激しい暴力を振るう錦戸亮演じる
宗佑には瑠可とは別の種類の、だが同じぐらい強い、自分が抱える闇への
いらだちが立ちのぼっていた。
きっとまた殴られるのにどうして宗佑のところに行くの! 美知留にいらだつ
私たちは日々、自分にもいらだつ。だから顔を歪ませる瑠可から、
沈んだ目をした宗佑に目が離せない。19日、最終回。

菅野俊秀