●事件の扱い
相棒において事件はストーリーそのものである。
事件は常に主人公たちの組織や世界観から生まれる。
時にそれは警察内部にまで及び、主人公の日常は事件に
さらされる。一方、時効はその逆で、事件はどこか人事のようである。
ゲストキャラを登場させてそのキャラが一心に事件を背負う。
決して、事件は主人公の生活を脅かさない。そのため主人公が
事件から脱却するのもかかわるのも必然性も無い。まさに趣味。
主人公が推理小説を読んで聞かせるのとドラマの境界線としては
まったく区別が無いと言ってよい
世界観と密着した主人公に”近い”事件 : 相棒
推理を運ぶだけの主人公に”遠い”事件 : 時効
といえる
●事件に関わるキャラ
前項により事件はストーリそのものと述べた。つまり、つまり相棒の事件
というものは常に登場人物の心情や行動とともに語られるである。
そうした背景から、事件の”関係者”は理論的には登場人物なのかあるいは
ゲストキャラなのかわからない。関わる”度合い”が毎回違うので
完全なゲストキャラか、登場人物の過去にふれる人物なのか、それは見てゆく
過程でわかってゆく。
一方、時効は絶対にメインキャラは事件の登場人物になりえない。
事件に登場しないので、事件はその日のゲストキャラだけで展開・説明されてゆく。
メインキャラをそれを外から見る構図である。
●事件のエピ、メインキャラのエピのトーン・色合い
相棒は事件がメインキャラたちのドラマと密着している。そのために
作風(作品トーン)はメインキャラとゲストキャラに境界線が無い。
理論的にはメインキャラを扱うのと同様にゲストキャラを語ってゆく。
そのため、メインキャラとゲストキャラの相違は毎回出るか否かだけである。
反対に時効はメインキャラのからみのシーンとゲストキャラのシーンは
違うトーンで語られる。そのため時効のシュール性は
メインキャラと警察署シーンに大きく依存する。 事件とゲストキャラには
時効の世界観が弱まるのだ。
時効の世界観と作品としての不安定性
相棒はゲストキャラとそのキャラが作った事件とけれんみあふれる
ストーリーはメインキャラと直結する。
事件に対する思い、対立、などのキャラの性格は事件によって浮き彫りにされる。
そこにキャラへの共感が生まれるのだ。
ところが逆に時効においては”世界観”と、”事件(メインエピ)”そのものが背離している。
そのために相棒のようなメインキャラの立ち回りをすべて考えるようなナイーブな
脚本つくりを要求しない、と同時に時効の要である世界観(魅力)が事件に投影されないのだ。
そのために事件や推理そのものが優秀であってもそれが直接時効の世界観に
つながらないのだ。 どうしてもメインキャラのからみのおもしろみが
一歩出てしまうからだ。