白夜行　第九十八夜

亮くんへ
いつか、この手紙見るかな・・
そう信じて書くよ・・。
何があったかは・・たぶん亮君が思っている通りです・・。
後悔なんて全然してないけど・・本当は私自身も
一緒に居なくなるつもりだった・・。
私と亮君を繋ぐものはとにかく全部消えてしまったほうが
いいと思ったから・・。
だけど・・肝心の私だけは残ってしまった・・ごめん・・。
どうも・・私は神様に嫌われているみたいで・・
死んだら全部終わるんだっていう心のどこかにあったズルを
見逃してもらえなかったみたい・・。
だけど、こうなったらどこまでも生きてやろうと思います。
親を殺してまで手に入れた人生だから・・。
私は遠くに行きます。場所は言わないね・・。
人から見ればもう亮君は被害者の息子で私は加害者の娘です・・。
私達が仲良しなのはどう考えてもおかしいし・・
それがばれたら、きっとすべてが無駄になってしまう・・。
今までもこれからも会った事も無い名前も知らない他人で居よう・・。
二人のためにそれが一番いいと思うんだ・・。
だけど、あれはもらっていいかな・・
あれは、亮君だから・・。
どぶのような毎日の中で白い花を咲かせてくれた亮君だから・・。
いい事なんて何も無いって思っていた私に笑う事を教えてくれた
亮君だから・・。
何よりもあの時・・私を助けてくれた亮君だから・・。
亮君・・ありがとう・・。
私、あの時・・本当に嬉しかった・・。
生まれて来てよかったって・・もう十分だってそう思ったんだ・・。
亮君は・・私の太陽だったよ・・。