538 :
黒:
《ひとりぼっちのクリスマス(side-J)》
・Chapter-1 〜 2005.12.24 10:00 〜
昼間から派手なクリスマスイルミネーションが街を彩る中、ファーコートを身にまとい、
ひとり街なかを歩いていく女性の姿。そんな彼女の名前は陣釜美鈴。
あ〜あ、今日はとうとうクリスマスイヴかぁ。
いつもなら、何人もの男から声をかけられて、誰と一緒に過そうかとか悩むのに、
まさかクリスマスの日を独りで過ごすことになるとはなぁ〜。
それも土曜日のせいか、日中なのに家族連れやカップルで街なかは人が多いし。
こんなんだったら外に出なけりゃ良かったよ。
さ〜て、これからどうしたもんだか。
昨日はベノアでアフタヌーンティーをたしなんだけど、独りだとなんかむなしいのよねぇ。
何処かで男でもひっかけて、クリスマスディナーでもご馳走してもらおうかなぁ〜。
って携帯電話に入っている男は着信拒否のヤツばっかだし、私からかけてもみんな私のことを
呪い探してるだろうから、下手に声かけられないしなぁ...。
あっ、そうだ!。1人だけ呪われる筋合いのないヤツがいたよ。アイツに電話してみるかな。
(つづく)
Thanks for 陣釜スレ7のみなさん
539 :
黒:2005/12/02(金) 15:02:57 ID:Hg3BKg4m
>>538(つづき)
剛司「もしもし」
美鈴「おっす。まだ生きてたようだね」
剛司「いっ、生きてますよぉ〜!」
美鈴「ふ〜ん。久しぶりなんだから、死んでても殺されててもおかしくないしさぁ」
剛司「簡単に人の事、殺さないでくださいよ。それより陣釜さんこそ、どうしちゃったんですか。
急にいなくなっちゃって。休暇明けで出勤したら、派遣先やめちゃった上に、
ワーカホリックの派遣登録も取りやめたようですし」
美鈴「なんかさあ、もうあの会社も潮時だったしさぁ。
そこで私がアンタに次の派遣先の話するために、呼び出しをかけたというのに
大事な約束とかで私の所に来なかったんでしょ!。
で翌日、ワーカホリックに電話したら、休暇とって旅行とか言ってるしさぁ。
それこそ、アンタの方から連絡なかったじゃない」
剛司「じゅ、じゅみません。でも、あの日はどうしても譲れない約束がありまして...」
美鈴「(どうしても譲れない...か)
ふ〜ん、そうなんだぁ。 まぁ終わった話だから許してあげてもいいんだけどさぁ。
で、アンタ、今日も明日もどうせ暇でしょ。これから私に付き合いなよ。
美味しいお店知ってるしさぁ」
剛司「えっ!今からですか? 実はこれから約束があるんですよ」
美鈴「約束? 私からの誘いを2度も断るつもり?」
剛司「そんなこと急に言われてもぉ〜。無理ですよぉ〜」
美鈴「約束といっても、どうせアンタのことだからまたヲタクの祭典か何かでしょ」
剛司「違いますよ。それにコミケは29日ですし。
これからクリスマスのプレゼント買いにいこうと思ってたんですよ」
(つづく)
540 :
黒:2005/12/02(金) 15:04:28 ID:Hg3BKg4m
>>539(つづき)
美鈴「クリスマスプレゼント〜?(やっぱりまだ続いていたんだ・・・)
プレゼントなら私が見て選んであげるよ。
グッチでもヴィトンでも何でも良いの選んであげるよ」
剛司「それって、陣釜さんの欲しい物じゃないんですかぁ?」
美鈴「女は誰でもブランド物が欲しい物なのよ!」
剛司「そ、そうなんですかぁ・・・。やっぱりブランド物が良いですかねぇ?
既に待ち合わせの自由の女神前にいるんですけど、約束の時間まで時間があるので
それまで一緒に見てもらえますか?」
美鈴「えっ!マジ? 私、自由の女神の近くにいるよ。
10分くらいで着くから、ソフトクリームを右手に持って自由の女神前で待ってな」
剛司「えっ、陣釜さん。近くにいるんですか? って、ソフトクリームを右手にって・・・。
もしもし、もしm...」
まさかアイツが近くにいたとはねぇ。アイツとはまだ縁が切れてないようだな・・・。
20分後。自由の女神前で待つ美鈴と剛司。
美鈴「もしもし? アンタさぁ〜。どこまでソフトクリーム買いに行ってんのよ。
私を待たすなって、昔から言ってたでしょ!」
剛司「えっ! もうソフトクリーム買って女神像の前にいますよぉ〜」
美鈴「えっ? 女神像の前にいる? まさか、『ニューヨークの自由の女神の前にいます』
とかいうオチじゃないだろうねぇ?」
剛司「違いますよぉ〜。ちゃんと女神の後ろには橋もタワーも見えますし」
美鈴「橋とタワー。ウン、間違ってないわね。でも、肝心なアンタの姿が見えないじゃない。
まさか3ヶ月会わない間に背が縮んで蟻ん子みたいに小さくなっちゃった?」
剛司「背が縮んでも見えなくなるほど小さくなっていませんよぉ〜」
美鈴「・・・。あれっ? さっき、アンタ『タワー』って言ったわよねぇ。
そのタワー、フォトメールで撮って送りなさいよ」
剛司「いいですよ。じゃあ一度電話切りますね」
(つづく)
541 :
黒:2005/12/02(金) 15:06:08 ID:Hg3BKg4m
>>540(つづき)
あの馬鹿、まさかとは思うけど・・・、
「ピロリロリ〜ン」
ttp://kjm.kir.jp/pc/?p=7557.jpg 剛司からのフォトメールを見た美鈴は肩を震わせた
あの大馬鹿猿。確かに自由の女神の後ろに橋とタワーは見えるけど、
タワーはタワーでも東京タワーじゃないか。橋はレインボーブリッジだし。
お台場の自由の女神なら、最初からそう言えよ。あの猿!
会えると思って期待しちゃったじゃない...って、アイツがここに来てる訳ないか。
美鈴「もしもし! そこにある自由の女神は、ここにある女神のレプリカなの!」
剛司「レプリカって、なんのことですか? って、陣釜さんは何処にいるんですか?」
美鈴「何処だっていいだろ! アンタなんか、彼女にソフトクリームをプレゼントして玉砕して、
明石家サンタに電話して、ワンワン泣き言でも言ってる方がお似合いなんだよ!」
剛司「そんなぁ〜、ヒドイですよぉ。次回は陣釜さんの約束聞きますから〜」
美鈴「もういいよ! 今日が何の日か忘れてるみたいだし。じゃあな!」
あの馬鹿。アイツなら気付いてくれると思ったんだけどな。やっぱ猿はいつまで経っても猿か。
あんなヤツ。シャンパンのコルクが頭に当たって、死んじゃえば良いんだわ。
あー、ムカツク。ムカついたらお腹空いちゃった。昼食でも食べにいくか。
(Chapter-1 おわり 2に続く予定)