NHK朝の連続テレビ小説「天花」PART19

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598名無しさんは見た!
長い休暇のあいだ、どちらも相手のほうが自分より努力しているものと
想定して、苛酷な時間表に従って勉強した。ブレイク、【ワーズワース】、
コールリッジ、シェリー、バイロンなどを徹底的に研究し、キーツにいたって
ようやくベッドに入った。二年目に入って大学へ戻ってきたとき、相手の顔を
見ないあいだに敵意がいっそう強まったことを知った。『ベオウルフ研究』に
関する論文で二人ともAプラスの成績をおさめたことも、ライヴァル意識を
やわらげる助けにはならなかった。サイモン・ジェイクス(二人の個別指導
教官)は、ある晩ニュー・カレッジの教官用食卓で、フィリッパ・ジェイム
スンが男に生まれていたら、自分の個人指導授業はきっと何度かなぐりあいに
終っていただろうと感想を述べた。(ジェフリー・アーチャ―「ある愛の歴史」
新潮文庫『十二本の毒矢』所収)
結婚して何年たとうと、たがいに相手の知能の低さをあげつらう二人の態度に
変りはなかった。本人が「傑出した作品群」と自讃するフィリッパの著作は、
オクスフォード大学出版局から刊行され、一方ウィリアムの自称「記念碑的
作品群」はケンブリッジ大学で印刷された。
二人の教え子で新たに英語の教授に任命された者の数は、間もなく二桁に
達した