白い巨塔 karte80

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296名無しさんは見た!
――裁判所のロビーにて、関口が椅子に座って休んでいる。
関口の姿をみつけ国平、連れに断りを入れて駆け寄る。

国平「関口弁護士(せんせい)……」
関口「……(無言で国平に一礼)」
国平「…財前教授がお亡くなりになりました。」
関口「…うかがってます。」
国平「裁判も終わりです。 先日遺族の方にお会いしたら
   最高裁には持ち込まないとの意志を示されました。」
関口「病院側は?」
国平「もう、関りたくないようですね。
   そんなことよりも浪速大学病院はこれからが大変でしょう。
   財前教授のような優秀な医師に亡くなられては
   その評判も落ちざるえませんからねぇ。」
関口「確かに…財前さんは優秀な医師でした。
   そのことは私も認めていますよ。」
国平「まぁ、済んでしまったことには興味がありません。
   …あなたとはまた法廷で出会いたいものです。」
関口「僕は……ゴメンですね。
   願わくばもう二度とこのような裁判がおきなければいい。
   ……そう思ってますよ。」
297名無しさんは見た!:04/03/20 07:09 ID:fQz97qmm
国平「それは無理な話ですね。」
関口「そうでしょうか?」
国平「病院を訴えるという輩は後を立ちませんからね。
   医師がいちいち訴えられては、ひいては医療の発展に大きな支障をきたす。
   …そう思われませんか?」
関口「確かに……医師だって人間です。 間違える事だってある。
   しかしそれらに真摯に向き合う姿勢を持ち、それを乗り越えて行く。
   それは医療の発展に大いに貢献することだと思います。」
国平「(フッ)……またお会いしましょう。 法廷で。(立ち去ろうとする)」
関口「待ってください。 …… 一つだけお聞きかせ願えませんか?」
国平「(振り返る) なんでしょう?」
関口「…佐々木さんのカルテに対して行われた改ざん。
   あれは…… 誰が指示したものなんですか?」
国平「いまさらそんなことを聞いてもどうにもなりませんよ?」
関口「私が個人的に聞きたいだけです。国平弁護士(先生)…」
国平「……」
関口「……」
国平「あれは改ざんではありませんよ。 事実の確認です。
   …失礼します。」

国平、関口に背をむけて歩き去る。
関口、その後姿をしばらく見つめる。
やがて立ち上がると、国平とは逆方向に向かって歩き出す。