キム・ジヌン教授は「韓流ブームで、韓国ドラマが日本や中国をはじめとする海外でも通用すると分かったときから、
トップ俳優の出演料は急騰した」と話す。それまで内需産業と思われていたドラマが輸出産業と認識されるようになり、
外注制作会社は韓国のテレビ局から受け取る「微々たる額」のほか、日本や中国にドラマを輸出し、追加収入を得る
チャンスに恵まれたのだ。
「大もうけ」を狙う投資家たちの資金がドラマ市場に集中しているのも同じ理由からだ。その一方で、外注制作会社も
「大口の投資家」を引き入れようと、必死になって韓流スター確保合戦を繰り広げた。キム教授は「ドラマが海外でヒット
すれば収益が上がるという可能性に賭け、“スターの青田買い”としての投資が行われた」と説明する。
ところが、『冬のソナタ』『宮廷女官チャングムの誓い』以降、海外で大ヒットした韓国ドラマは出ていない。外注制作
会社は可能性を信じ、俳優に「大金」を投資したが、結局は利益を上げられない状況に追い込まれているのだ。
韓国放送映像産業振興院(KBI)のハ・ユングム責任研究員は「韓国では同じようなレベルに見える俳優でも、日本や
中国での知名度や人気によって、1話当たりのドラマ出演料は2000万−3000万ウォン(約130万−200万円)台と、5000万
−7000万ウォン(約330万−460万円)台にはっきりと分かれる」と話す。「輸出の可能性」により、出演料に差が出るという
わけだ。
しかし韓流ブームも長続きはせず、韓国ドラマは再び内需産業になり下がってしまった。このところの経済危機で、KBSや
MBCといった主なテレビ局は、コスト削減のためドラマ制作本数を減らしている。海外市場開拓を念頭に置き投資したが、
内需市場まで縮小する事態となり、外注制作会社にとって、俳優の高額な出演料は災難以外の何者でもなくなった。
ドラマ制作社協会が多額の出演料を要求したパク・シニャンに対し無期限出演停止を決議したのに続き、韓国テレビドラマ・
プロデューサー協会までもが「タブー」だった俳優の出演料を公表するようになった背景には、「このままではもうドラマが
作れない」という危機感があるからだ。
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