刑事コロンボについて語ろう 第24話

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387ミステリ板住人 ◆22RAaWR.nE
凶器の処理というのはミステリのポイント部分を成すものであり、
この点が杜撰で優れた倒叙ミステリという評価は有り得ない。
こんな簡単な理屈が、なぜわからないのか(w
『秒読みの殺人』は、上昇志向が強いキャリア・ウーマンの破綻を描いた作であり、
主人公(=犯人)は、それなりのやり手ではあるが、自己を過大評価しており、
ここをコロンボに突かれる。一見、フィルム交換の狭間を利用した巧みな凶行、
ただし、肝心の凶器はエレベーター上へというおおまかな処理、
切れ者を自称しながら、肝心の詰めが抜けているのである。
部下への人望を欠き、コスト面への気配りを欠く面を表す描写もあり、
ガイシャが自分の後任に推さなかったのは、やはり正解と言わざるを得ない。
ミステリとしては凡作以下だが、評価は上記のような面に置くべき作である。
つまり、ミステリ仕立てで、あるキャリア・ウーマンの転落の物語を意図したものなのであって、
この点では、最後にはコロンボに逆手に取られて遊ばれしまう感があるエレベーター上への
拳銃隠匿というアイデアは、犯人のキャラ(「抜け」の部分)を描くために意図したものとも見える。