168 :
ミステリ板住人:
>母親である(犯人の姉)フェリスの言動はすべて演技ということになるが、
>彼女の天真爛漫な性格から考えてそれはあり得ないからである。
と一面だけ見て解釈しているアホと言い得る(w
彼女(犯人の姉)は、妹の彼氏をストールしてしまうくらいの図太い面もあるキャラだと
いう点を見ていない。
彼氏をストールされた時点で犯人である妹は身ごもっており、このままでは私生児と
なりかねず、これ以上家の恥を晒さないためにも姉の子として出生届した可能性を
否定出来ない。(なにせ昔の話であり出産に立ち会った医師等の口止めも可能であろう)
では、実の娘を冤罪に陥れようとするのか?という疑問も出ようが、
犯人にとっては、私設博物館>肉親、
(この点で、本作の犯人キャラは『別れのワイン』や『祝砲の挽歌』と同様なものがある
と言い得る)
知的で優し気な雰囲気に惑わされず見てみると、私設博物館維持のために
意見を異とする実弟を謀殺し、元彼殺害の疑惑もあるクールさを持つ人物なのである。
(若い頃はそれなりに美形でもあったであろうが、この辺の性格が彼氏に捨てられた
因やもしれぬ)
また、実娘だとしても自分を裏切り、実姉のもとへ走った男の娘ということもあって、
当然、愛憎渦巻くものもあったであろう。
『構想の死角』は、心理描写が無い映像化作品の欠陥を露呈してしまった失敗作という面
もあるやもしれぬ。
表面、富と名声がもたらす奢侈に走っているように見えながら、
書けないミステリ作家として、内心忸怩たるものがある犯人心理を書き込めば、
唯一、創作性があるトリックのオリジナリティを主張するため、あえて犯行の自白を
選択するという行為(これでもかなり無理がある展開ではあるが)が多少は説得力を
持って来るのである。