「酒はやらんのかね?」
「やりますが、懐の具合もあるので」
は、英語では
「君にもファーストネームはあるんだろう?」
「ありますが、知ってるのはかみさんだけみたいなもので」
ラムフォードはコロンボの捜査を見続けているうちに、この男が仕事一途で
社交性が余りなく(仕事を離れてファーストネームで呼び合う友人がいない)、
自分の同類の人種であることに気付いたのだろう。だから自分の信念
(国益のためには手を汚すこともいとわない)を語って聞かせたくなったのだろうな。
決して懐柔とか言う意図ではなくてね。
ところが皮肉なことにその行為がコロンボにヒントを与えることになった。
ストイックな兵学校の校長が果たしてどのような殺人の動機を持ちうるかについての。
葉巻はヒントのメタファーで「最高級のヒントを貰ってありがとう」と言いたいわけだ。
「あたしもかみさんと似たような話をする。何せかみさん本の虫なんで」。
コロンボは既に話の切り上げたがっている。言いたいことは分かるが、
自分は妻との話に付き合っているだけであなたと価値観を共有しているわけではないと。
それを聞いたラムフォードは明らかに失望の念を表情に滲ませる。
両者にとって気まずい沈黙が訪れる前に電話が全てをリセットした。
と言うのが、あのシーンの私なりの解釈です。長文失礼。