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ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2 :
駄作「祝砲の挽歌」はこうすれば面白くなる!
1 本作のようなプロバビリティに頼った犯罪は、ミステリにおける禁じ手ではないが、
このテーマが生きて来るのは、繰り返しと多様な犯罪パターンの開示がある場合である。
(わが国には、江戸川乱歩「赤い部屋」、谷崎潤一郎「途上」という成功例がある)
大砲の仕掛けにガイシャが一発で乗って来る展開は、やはり御都合主義に過ぎる。
物語前半は、犯人ラムフォードが執拗までに多様なプロバビリティの犯罪を
仕掛けて行き、最終的に大砲の仕掛けで成功するという展開にした方が良い。
こうすることにより、2で指摘する点にも関係するが、
犯人ラムフォードのキャラクターを浮き彫りにし、物語をサスペンスフルにし得るかと
思う。
後半は、失敗した仕掛けの痕跡も辿りながら、コロンボがラムフォードをじわじわと
追い詰めて行くお約束の展開に持ち込む。
2 ラムフォードのキャラクターを
「ケイン号の叛乱」のクィーグ艦長や「戦艦バウンティ」のブライ艦長くらいの偏執狂的な
人物に設定した方が迫力が増す。
ラムフォードは、林檎酒の件に見られるように曲がった事が嫌いな頑固一徹な軍人のよう
でありながら、劣等生とはいえ自校の学生に無実の罪を着せようとする冷酷な面もあり、
ややキャラが定まらない感がある。