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ミステリ板住人 ◆K5MnIloIhA :
「ハッサン・サラーの反逆」
5段階評価で典型的なC評価作品。
コロンボシリーズには、ミステリとして見た場合に、
本作より面白い作品と本作よりはるかに駄目な作品がそれぞれ相当数存在する。
その意味ではコロンボ初心者にはお薦めの一編かと思う。
例えば、本作で初めてコロンボを見た者は、以後、もっと面白い作品を見ることが
出来得るし、格別優れた作品とは言えないが駄作ではないので、
コロンボという番組を過小評価することもないわけである。
ミステリ的に見ると、第2の殺人の犯行露呈のきっかけとなるのが、
眼鏡使用者と不使用者の認識の違いという細かい点を巧く突いているのが評価出来る。
他にも第1の殺人の後頭部への打撃、爆発と漆喰の粉等々細かい点への目配りが
効いている。
物語の基本構造は、コロンボ対官僚制における権力者という「権力の墓穴」と
同じ構図であり、コロンボが犯人に仕掛けるトリックも「権力…」の方が
人を食った感じで茶目っ気があり面白い。
しかし、コロンボ対外交官特権というネタは面白く、国際公法を逆手に取った
仕掛けも十分に説得力があるものであった。