決定版 刑事コロンボ・スレ

このエントリーをはてなブックマークに追加
384ミステリ板住人 ◆K5MnIloIhA
>倒叙物を好んだ清張を礼賛するミス住がこんなことを言うとは残念。
謎解き倒叙スタイルミステリに読み応え、見応えがある「人間ドラマ」があっては
いけないというわけではないが、やはりミステリである以上、謎解きの面白さが
最優先するのは当然かと思う。
ミステリ作家(「でもある」という表現がその実態を表すには正確であろうが)中
唯一の芥川賞作家である清張先生は、ミステリ(特に初期)においては人間ドラマを書くことが出来た人である。短篇「顔」などは忘れ難いが、しかしこの作品を例に取ってみても、
最後の犯罪露呈に至るスリル(これも謎解きである)が優れているがゆえに高評価出来るのか
と思う。
>最高傑作と評されることが多い、「別れのワイン」や「祝砲の挽歌」は、
>いずれも犯人の個性を重視した人間ミステリーである。
>倒叙型だからこそ、ここまで犯人の個性を描くことができたといえるだろう。
自分は、「祝砲の挽歌」を評価しない立場であるが、この2作のように極端に
人間ドラマ重視の傾向取る作品は、コロンボシリーズの中でも異例かと思う。
「別れのワイン」に関しては、ミステリとしての興趣も備えた作品であることも評価して
おきたい。
犯行は偶発的だが、ワイン蔵での窒息死を計画する犯人(この辺にワインセラー経営者という
犯人のキャラが生きて来る)、怪奇性を強調した作品ではないが、何気にコロンボには珍しく
漏れが好きな怪奇探偵小説の雰囲気である。
そして後半、犯人エイドリアンの犯行を知り結婚を迫る秘書、この辺はサスペンス・ミステリの趣がある。初見の時は、エイドリアンが、口封じのため秘書まで殺してしまうのかと不安になったものだ。
これ以上、エイドリアンに罪を重ねて欲しくないと思った時点で語り手(=制作者)の
術中にはまったということなのだろうな。
385ミステリ板住人 ◆K5MnIloIhA :04/03/27 01:14 ID:vRHjsGmE
これに対して、「祝砲の挽歌」はミステリとしてあまりに駄目過ぎる。
砲弾に仕掛けをする点だけは、ラムフォードが軍人というキャラが巧く生きているのだが、
犯行そのものはプロバビリティに頼ったものだし、陸軍幼年学校の校長まで勤めている
ベテランの軍人であるならば、戦略・戦術面の学習も十二分にしているはずであり、、
自己の犯行の経緯は全て頭にインプットされていないとおかしい。
特に大砲に仕掛けを行った時点の立位置(細かな状況も含む)など完璧に頭に入っているはずである。さすれば林檎酒の件を追及すれば、自己の犯行も露呈してしまうのが当然であることに気付かなければおかしいのである。

あと、新シリーズでは、エイドリアンやラムフォードのようなストイックでありながら、
ある「モノ」に憑かれたような個性的な犯人のキャラは無くなってしまい色欲・金銭欲等に
絡む動機の犯人ばかりになってしまったのは残念に思う。
これが新シリーズが安っぽく見えてしまう要因のひとつになっているのかとも思う。

>もし、「登場人物は作者の操り人形で良しとする見解」に賛成するなら、
>コロンボではなく、金田一少年や名探偵コナンを観ることをお勧めする。
残念ながら、金田一少年シリーズや名探偵コナンシリーズには、ミステリとしてだけ
見れば、コロンボシリーズの駄作より面白く見れるものが多く存在する。
そして、クイーンもカーも人間ドラマの書き手足り得ず、器用なクリスティでさえ
人間ドラマそのものだけ見れば、際めて凡庸なものにとどまっているのは否定出来ない
事実である。

荒れ気味な部分もあるが、毎週オンエアされるコロンボの話を巡って盛り上がっていると
理解すれば致し方無い点もあるかと思う。
日曜からオンエアされる「忘れられたスター」は、あまり揉めることはないかと思う。