テレビ不況に沈む23社
「赤字転落」「下方修正」続出
恐ろしいことになってきた。薄型テレビの大不振が家電メーカーだけでなく、さまざまな業界を直撃し始めたのだ。テレビを販売するパナソニックやソニー、シャープの大赤字の陰に隠れ、つい見逃しがちだが、薄型テレビビジネスの裾野は広い。
テレビ通販の「ジャパネットたかた」(未上場)も犠牲者だ。同社関係者は「速報ベースですが……」と断りながら、11年12月期の売上高が7期ぶりに減収になると明かした。家電量販のケーズホールディングスは14期ぶりの経常減益を見込み、コジマは業績を下方修正。テレビの売れ行き不振が主な原因だ。
悪影響は、液晶パネルの製造装置や部材を手掛ける会社にもおよんでいる。赤字転落や下方修正が続出している。
「地デジ化やエコポイント効果が終了し、今年に入ってから薄型テレビは在庫の山です。こうなると、安売り合戦は一段とエスカレートします。テレビ事業の採算は悪化の一途をたどります」(市場関係者)
液晶パネルのバックライトに関連する部品を扱う太陽誘電は、「収益改善について」という文書で、業績悪化の理由を「液晶テレビの主要市場が低迷」などとした。株式評論家の倉多慎之助氏が言う。
「意外に知られていませんが、東洋紡は液晶フィルムを作っていますし、帝人はテレビに使われる樹脂を販売しています。凸版印刷は液晶向けのカラーフィルターを手掛けています。テレビ不況はパナソニックやソニー、量販店ばかりか、電子部品や化学業界も直撃します。
今年は韓国サムスンが日本市場に再上陸するでしょう。デザイン性や価格面で日本メーカーは太刀打ちできない。脱テレビに大きく舵を切るしか生き残る道はありません」
三井金属は昨年12月、液晶パネル関連事業からの撤退を表明した。パナソニックやソニー、シャープが“テレビ撤退”を言い出す日は案外近いかもしれない。
(続く)
日刊ゲンダイ 2012/2/9
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