大食い皇帝「岸」を抹殺したのは高須光聖だ!

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【岸が高須光聖に葬られた伏線 その2(岸の日記より)】
<2月28日(水曜日)>
3月31日に放送予定の 《フードバトルクラブ》 事前番組の打ち合わせがしたいということで、ディレ
クター氏とAD嬢が夜の8時過ぎに来訪した。その際、このディレクター氏から、彼が書いた台本を
手渡された。それを通読した私は、思わず唸ってしまった。「謎の人物」、「魔人」など劇画チックな言
葉が連ねられたこの台本から、今回のこの番組における私のキャラクター設計の有り様が透けて見
えた。事前番組では、どうやらそれに沿った小芝居を私にさせたいらしい。

 その台本によると、まずTBSの安住アナが私の自宅を訪れ、玄関のチャイムを鳴らす。それに対
し私は、「自宅は困る」と拒絶する。それでも何とかアナは入り込み、冷蔵庫の中を覗こうとする。す
ると私は、「ここには大食いの秘密があるので、見られたら困る」などと言う。つまり、大食いの謎や
ら秘密やらと私を繋げた絵を撮りたいようである。だが私は、普段の食生活について広言している
し、何ら隠すこともない。こういった秘密主義で謎のキャラクターは、単に私と違うということに留まら
ず、全くの正反対である。私はこれはできないと断言し、何ならこの事前番組から降ろさせて欲しい
とディレクター氏には伝えた。しばらく考えていた彼は、「それなら書き直しをします」と言い帰って
行った。

 久しぶりに憂鬱な気分になり、その夜はテレビ番組における大食いという問題を改めて考えてみ
たりもした。そこには常に金科玉条のごとく「キャラクター」という言葉が存在し、オブセッションのよう
に付き纏い離れることがない。それにしても 《フードバトルクラブ》 は、我々大食いから何を求めた
いのだろう? 純粋に大食いを見せるだけでは駄目なのか? 正直私は、この種のテレビ番組の
キャラクター作りの手法にうんざりしている。言うまでもなく私は、テレビタレントではない。「素人に
芝居をさせちゃ、駄目なんですよね」、TVチャンピオンの名レポーター中村有志さんが私に語ったこ
の言葉が今更ながら思い出される。