114 :
最低人類0号:
天空の城ラピュタにハマりまくっていた10歳ぐらいの頃、「滅びの言葉」を自分の頭の中で妄想していた。
まんまバルスだと効き目がなさそうだし、あまり長くてもいざという時言いづらい。
そうだ、バイボにしよう。
それから俺は、嫌なことがあるたびに、頭の中で「バイボ」と唱えた。だが所詮は頭の中。効果はなかった。
あるとき、宿題もせずゲームをしていた俺は、カーチャンからこっぴどく叱られた。俺は泣きながら、
こんな世界は滅びればいいと心から思った。近くにあった適当な大きさのものを飛行石がわりに握りしめ、
怒るカーチャンの前で大声で叫んだ。
「バイボ!!」
世界は滅びなかったが、カーチャンの世界で何かが壊れた。怒るのをやめたカーチャンは、神妙な顔をして黙ってしまった。
トーチャンが帰ってきて、事情聴取が始まった。
・バイボという言葉はどこで覚えたか
・バイボと言う時に、こけしを握っていたのは何故か
・学校で友達などにバイボの話をしていないか
怖くなった俺は、全て正直に話した。話し終えると、黙って聞いていたトーチャンが優しく言った。
「その呪文は、今のお前にはまだ早い。」
トーチャンは優しく続けた。
「10年後には、お前にも使いこなせるだろう。俺と同じように」
トーチャン、使えんの!?と思った矢先、カーチャンがトーチャンの頭を思い切りひっぱたいた。
あれから15年が経つ。未だにバイボは使いこなせない。