書斎魔神・アホアホ語録格納庫 その32

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490最低人類0号
【人でなしの恋】 江戸川乱歩 第十四夜
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1244356391/589
> 589 名前:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 投稿日:2010/02/24(水) 20:23:22 ID:hHGKyU21
> 本自体の造りには不満があるのだが、現時点における大乱歩作品の 
> 普及版は光文社文庫を推すしかない状態だ。



小谷野敦『谷崎潤一郎伝―堂々たる人生』(中央公論新社)のP.12〜P.13より。

  どんなに偉大な作家でも、他と区別する必要がない場合は、一般に「大」をつけたりはしない。
  大芭蕉、大馬琴、大漱石、大?外などとは言わないのである。
  「大トルストイ」というのも、アレクセイ・トルストイという別の作家がいたからだ。
  そして谷崎が大谷崎と呼ばれるようになったのは、弟の精二も作家だったからである。
  精二は早稲田の教授になり、英文学者として、ポオの全集翻訳で評価を固めたが、
  戦後すぐの頃まで、現役の小説家だった。
  だから、昭和戦前、まだ潤一郎が「文豪」の評価をほしいままにする前から、
  精二との区別のために「大谷崎」と言われたと考えるべきなのである。
(中略)
  アレクサンドル・デュマ父子を「大デュマ」「小デュマ」、
  ピット父子を「大ピット」「小ピット」と呼ぶように、
  潤一郎を大谷崎、精二を小谷崎と呼んだのであって、
  だから本来は「だい谷崎」だったのだが、その起源が忘れられ、
  偉大な作家だから大谷崎だと思われるようになったのである。