レアメタル収益、1億8千万隠す…国税告発
輸入した希少金属「レアメタル」の販売益約1億8000万円を隠し所得税約6000万円を脱税したとして、
埼玉県に住む貿易会社元社長が東京国税局から所得税法違反の疑いで東京地検に告発されたことがわかった。
元社長は解散登記した会社を使って取引を行い、利益を個人口座にプールして税務申告していないことから、
同局は、税務署の目を逃れるため解散会社を隠れみのにした悪質な行為と判断したとみられる。
告発されたのは、製鉄材料の貿易商社「サニーフィールド」(東京都豊島区、1999年1月解散)の根本忠明元社長(66)。
関係者によると、根本元社長は、鉄鋼製造などに使われるレアメタルをロシアから輸入して大阪市内の金属材料メーカーに販売。
2007年までの3年間に得た個人事業者としての事業所得約1億8000万円を隠し、所得税約6000万円を脱税した疑いがあるという。
根本元社長は、96年にサニーフィールドを設立してレアメタルを輸入販売する事業を展開。99年に株主総会決議に基づき同社を
解散したとして法務局に届け出たが、その後もメーカーとの取引をサニー社名義で続けていた。根本元社長は、代金をサニー社名義の
口座で受け取った後、ロシアのレアメタル販売会社2社に送金、利益をオーストラリアの銀行の日本支店に設けた
本人名義の口座に振り込んでいたという。口座には、1億円以上の預金があったという。
税務署は、法人登記簿などを参考に調査をしており、解散登記をした法人は基礎的な税務調査の対象から外れる。
このため、法人の解散は調査の網から逃れるための仮装行為と認定されたとみられる。
根本元社長は、読売新聞の取材に対し「個人と会社を一緒にして考えていた。会社は解散して実態はない」
としており、東京国税局の指摘に従って修正申告して納税を済ませたという。
◆レアメタル=埋蔵量が少なかったり、採掘等に多額の費用がかかったりするため希少性が高い金属の総称。
携帯電話のリチウムイオン電池、テレビの液晶パネルなどの原料として不可欠なものが多い。
日本はレアメタルの大半を輸入に頼っているが、一部の価格が上昇しており、安定確保が課題となっている。
(2009年10月26日03時02分 読売新聞)