それにしてもすぐにコロンボと結びつけたがる作品といえば、ポーの「黒猫」や
「盗まれた手紙」、英アカデミー賞オールスター映画「オリエント急行」など、
子供でも知っているような、悪い言い方をすれば俗っぽいものばかり。
小説ミステリとして挙げる作品も
「Yの悲劇」「点と線」「本陣殺人事件」「007シリーズの原作」 (
>>554)
という中学生の必読書みたいな初心者向けのものばかりだし、
まさに「俗物の選んだベスト10」という趣だ。
オウムのようにその名を繰り返す「ソーンダイク、殺意、伯母」なども
子供向けの解説書にも必ず名前が挙がっているものばかりで、それも
題名を連呼するだけで内容にほぼ全く立ち入っていない。他の人々が
倒叙ミステリの佳作を上げても反応できないのは、その名すら知らない
からだというのはどうも間違いないところのようだ。
そしてそれらの、どこでも手に入るような初心者向けの材料を
「歴史的に見れば」「ミステリの系譜では」「マエストロのひとり」
「謎解きミステリの面白さ」「どこか似たテースト」などといった、
中身の無い抽象語ばかりで構成した「論考」は、中学生が提出期限
ギリギリにあわてて書きなぐった苦しまぎれの作文みたいなもので、
まさに「厨房の知識と場当たり検索のパッチワーク」としかいえない
ものとしての定評を得てしまっている。