>>235 「とりあえず俺たちの家へ帰ろうか」
名無しはやっとの思いで気を取り直してそう言った。
うにはまだ何か釈然としない表情だったが、ウンと頷き名無しの手をとって歩き始めた。
きっと太ってしまったのは僕に会えないことでストレスがたまってしまったせいだ。
別に僕はその程度の理由で大好きなうにと別れたりする気はない。
けれど結婚式では一番綺麗なうにを見たいから、ダイエットさせてから挙げることにしよう。
電車の中で、ひっきりなしにうにから投げかけられる質問に適当に答えながら、名無しはそんなことを考えて居た。
成田空港から全部で一時間半ほどで、二人はうにの家に着いた。
少し都心からはずれたところにあるが、広大な敷地に立てられた立派な一戸建てだ。
「またあなたと一緒にこの家で過ごせるなんて・・・夢みたい」
そう言いながらうにはドアをあけた。
「おかえりー!」
・・・え?名無しの頭の中はまたもやクエスチョンマークで埋め尽くされてしまった。
家でメイドを雇い始めたのだろうか。
「君を驚かせようと思って・・・って・・・え!?」
中に居る男も僕の存在に驚いたようだ。
「か・・・家電くん・・・」
重い空気が三人の間に流れる。
長い時間が流れたように感じた。
最初に口を開いたのはうにだった。
「ち、違うのよ名無し!!か、彼は・・・ただの私の体の慰め役なの!!だから浮気なんかじゃ・・・」
「なんだって!?僕は本気で君を愛してこの家に通って居たんだぞ!」
名無しはもうわけがわからなくなっていた。
猛烈に太ったうに。
目の前に居るフィアンセの浮気相手である家電。
日本っていうのは・・・なんて国だ!!
つづく