ごめんよ

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2Chaos:02/01/27 00:34 ID:???
2
3 :02/01/27 00:36 ID:???
ホント、このスレたててごめんよ
4ああああ:02/01/27 00:38 ID:???
今だ!4番ゲットォォォォ!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄       (´´
     ∧∧   )      (´⌒(´
  ⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
        ̄ ̄  (´⌒(´⌒;;
      ズザーーーーーッ
5ゆきひろ:02/01/27 00:41 ID:uTxUVygF
↑ボケ!
6 :02/01/27 00:42 ID:???
謝ったから許してよね
7 Masashi Tashiro:02/01/27 00:52 ID:vvJZwQVl
h
8 :02/01/27 00:53 ID:???
エッチじゃないよ。僕、普通だよ。
9 ◆HBAeris2 :02/02/01 14:15 ID:???
もちろん、これはたとえばなしです。

たとえばむかし、あるところにお城がありました。
なに不自由なく育ったお姫様は幸せであることに飽き、
実験と称しては塔の上から袋詰めの猫を落とし、
その自由落下のなかに生命の意味を見出していたのでした。

もちろん、これはたとえばなしです。

けれども
落とせば落とすほど
お姫様はわからなくなってしまったのです。
「人生って、わからないなあ!」

お姫様は家来に命じて、自分と似た年恰好の12人の娘をさらい、
自分と同じ服を着せ、自分と同じ化粧をさせ、窓からおとしました。
12人目を落とし終えたあと、お姫様は
「人生って、わからないなあ!」
と言いました。
そしてお姫様は一生幸せに暮らしましたとさ。

もちろん、これはたとえばなしです。
けれどもたとえばそれが人生というものなら、
私は……私は……私は……

塔から落ちた12人の娘みたいに地面に深く埋まって、
化石みたいに
きれいな宝石になりたい。
10 ◆HBAeris2 :02/02/01 14:16 ID:???
若草ゆきは、私を「カンナちゃん」と呼んだ。

他の人間は上の名前で呼ぶか――ぎりぎり聞こえるくらいまで声を落として「リス子」と呼ぶ。
私が、いつも手首に白い包帯を巻いているからだ。

 リストカットの「リス子」。

彼ら/彼女らは、純粋な悪意から私をそう呼んでいるのだけれど、
それは決して理不尽な悪意ではない。
実際のところ私は定期的に手首を切っているのだし、悪意を受けるような生き方をしている。
私は、そうした悪意を当然のものとして受け入れることができる。
だから、傷つくこともない。
私は選んだのだ――この立場を自ら作り出したのだ。どうして傷つくことなどあるだろうか? 
虚勢ではなく、あるいは開き直りでもなく、私は、因果を受け入れる。
11 ◆HBAeris2 :02/02/01 14:17 ID:???
悪意はブーメランのようなものだと思う。
それは戻ってくるのだ。
たとえば、猫を落とすこと。
それは戻ってくるのだ
12 ◆HBAeris2 :02/02/01 14:22 ID:???
猫派か犬派かと問われれば、猫派と答えるだろう。
でも、私が犬ではなく猫を落とすのは、もちろん、そんな理由からではない。
単純に××工業団地の廃墟にはたくさんの猫がいるからだし、
スーパーのビニール袋に犬は入りきらないからだ。
猫を集めるのは、いつも私の仕事ではなかった。
以前は若草ゆきが集めてきたし、
彼女がいなくなったいまは、虎菱拓司がその担当を受け持っている。
若草ゆきが死んで、虎菱拓司が現れるまでのあいだ、私はひとりだった。
その空白の期間、私は自分で猫を捕まえなければならなかった。
容易な作業ではなかった。
野良猫たちはダイヤモンドみたいに硬く心を閉ざしていて、人間に近づこうとはしなかった。
 
 虎菱拓司は猫を集めるのがうまい。
13 ◆HBAeris2 :02/02/01 14:25 ID:???
虎菱拓司は猫を集めるのがうまい。
私と同じく、彼もまた滅ぶだろう。
戻ってくるのだ。
すべては戻ってくる。
呪いのかかった黒いブーメランが私たちの首を刈り取る。
ひゅんひゅん。
ばさっ。
14 ◆HBAeris2 :02/02/01 14:27 ID:???
チープなドラマの世界では、神様みたいな人間が登場することになっている。
主人公か、ヒロインか、いずれかがその役割を担う。
そして彼/彼女は、うちひしがれた彼女/彼にこう言うのだ。

「大丈夫。俺がずっとお前を護ってやる」
「大丈夫。あなたのこと赦してあげるよ」

その言葉は福音となって、相手を涙の海からひきあげる。
罪の意識から開放する。救いを与える。
バックにはピアノかオルゴールの曲が流れて、ふたりはキスをする。
奇跡が起こったりする。
目が見えない少女が光を取り戻し、傷つけられた時間が修復される。
物語はハッピーに終わる。
メディアは私たちを映す鏡だ。
私たちは、自分を完全に肯定してくれる誰かを――神様を、福音を求めている。
けれども、私たちは誰にも赦しなど与えられないことを知っているし、
それはすなわち、誰からも赦しなど与えてもらえないことであると知っている。
神様はいない。
福音はない。
奇跡はない。
けれども救いが必要だ。

恋愛か、世界の終わりか。
極めて卑近な対象か、果てし無く遠いモノか。
私たちはいずれかの救いにしか感情移入できない。真ん中はない。
私は世界の終わりに救いを求める。
そして世界の終わりを、死と、定義する。
15 ◆HBAeris2 :02/02/01 14:30 ID:???
それを私に植え付けたのは、若草ゆきだった。
私たちは理解しあっていた。
私のなかには黒い太陽があった。
最高の環境が整っていた。
若草ゆきがそこに蒔いた種は、芽を出し、蔦を伸ばし、私をがんじがらめにした。
私は死に取りつかれた。死の触手は私の内臓まで入り込んで、血の色まで暗く変えていった。
結局のところ、若草ゆきは死んで、私は生きている。
彼女は救いを得て、私は得られなかった。
若草ゆきはベッドの上で静かに眠りにつき、私はゲロの海で海老みたいにのたうった。
いまでもあの匂いは、私の奥深くにこびりついている。
皮をはがして肉を削ぎ、骨を剥き出しにして匂いをかげばきっとゲロの匂いがするはずだ。
そんなのは、あまりに、みじめだ。

だから今度は、私の番だ。

若草ゆきが私にかけた呪いを、私はいま、虎菱拓司にかけなおす。移植する。
若草ゆきが私にしたとおりのやりかたで、私は、彼を、死で縛っていく。
私は彼に身体を与える。彼の精液をすする
彼の舌を吸う。
彼は私の汗を舐め、私に性器をさし込み、私の首をやわらかく締める。
私たちはひとつになる。
そうして私に染み込んだ呪いは、虎菱拓司に伝染していく……。
私と同じく、彼もまた滅ぶだろう。

けれども、私が、先だ。
16 ◆HBAeris2 :02/02/01 14:33 ID:???
手を離すと、白いビニール袋がバサバサと音を立てて落ちていく。
それは鳩みたいに見える。
その白さも、羽ばたく音も。
けれどもそれはスーパーのビニール袋で、その中の猫は、羽ばたくことはできない。
猫はどこにも行くことはできない。
私たちがそうであるように。誰も猫を救えない。
神様はいない。奇跡もない。
やがてある一点に達すると、白い塊は、夜の闇に溶けるようにして消える。
ややあって、バシャッ、という音がする。
命が消え去る音が聞こえる。
静寂。静寂。静寂――夜の音。

私は猫を落とす。
私は死を体感する。
私は死を支配する。
私は、死だ。

廃墟の街に人の姿はない。
空には星も月もない。
――今晩は、彼、こないのだろうか?
身体の中の疼きを、自分で収めなければならない。
17 ◆HBAeris2
悪意はブーメランのようなものだと思う。
それは戻ってくるのだ。
たとえば、猫を落とすこと。
それは戻ってくるのだ。