石川と吉澤がセックスした回数→+1001

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1名無し募集中。。。
一徹は中学卒業と同時に家業の大工を継ぐために
父親に弟子入りをした
大工見習いとして親方や兄弟子に指導を受ける
日々のすべてが修業であった

一年もたったある日、親方はひとつの仕事を引き受ける
それはいつもと変わりない、一軒家の建築であった

まだ何もない土地で作業は続いた

ある日の夕方、今日の作業も終わりに近づいた頃だった
学校帰りなのだろう、制服を着た高校生の中に
一徹はとても目をひくひとりの女の子を見つけた

その子はとても可愛らしく、すらりとした身体に活発そうな褐色の肌に
セーラー服がよく似合っていた
友達とおしゃべりするその声は特徴的でよく響いて聞こえてくる

「こらぁ一徹!!なにぼーっとしとんじゃはよ片付けてしまえ!!」
目を奪われてぼんやりとしていた一徹に親方の喝が飛ぶ
「ハッ、す、すいません親方!今行きます!!!!」
取り落としていた木材を担いで、一徹は作業に戻った

「しかし・・・かわいかったなぁ・・・あの子・・・
 今まで気づかなかったな、毎日通ってたんだろうか・・・
 また見かけることができるだろうか・・・・・」

一徹の心に偶然見かけたあの女の子が焼きついた瞬間であった・・・・・・
2名無し募集中。。。:2005/06/20(月) 20:53:54 ID:???
まつけんさんば
3名無し募集中。。。:2005/06/20(月) 20:54:07 ID:???
3とす
4名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 07:59:54 ID:???
毎日夕方頃になると、一徹は高校生の下校の波の中に
あの女の子を探すようになった
作業しながら、ちらちらと道路の方を見、聞こえてくる声に耳をすませた

「おっ、来た!あの子だ!」
いつもと変わりない魅力的な女の子の姿
あの子だけが輝いているように見えた

「おいっ、一徹坊やは何を毎日見てんのかな〜??」
ばしっと頭をはたかれて、一徹は我にかえった
「あっ、飯田さん・・・すいません・・・」
振り返ると兄弟子の飯田がそこにいた
「おめぇいつもこ時間になるとそわそわしてんなーと思ったら!
 へぇ〜あの子に惚れたんか」
「ほ、惚れたなんてそんな!!」
あわてて誤魔化そうとするも、真っ赤になった顔は素直だった

「まったく・・・そんなとこだけは一人前か?ま、恋したんじゃあしかたねぇか
 告白はしねぇのか?」
「告白なんて・・・できないですよ・・・こんな誰ともわからないようなヤツが
 いきなり声なんてかけたら、驚くでしょう・・?」
「おいおい、そんな弱気じゃああの子誰かにとられちまうぞ?
 まぁあんだけ可愛かったらすでに男がほっといてないかもしんねぇし・・・」
飯田はあごを撫でながらからかうように言う

すでに恋人がいるかもしれない、好きな男のひとりやふたりいるかもしれない
それを考えると一徹はたまらない気持ちになった

「まぁ親方には黙っといてやるから、仕事も身ぃ入れてやれよ!
 怪我でもしたら大変だし、ちゃんとやってねぇとクビになっちまうからな」
「はい、ほんとすいませんでしたっっ!」
一徹は歩いていく飯田の背中に深くお辞儀をした
5名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 08:00:15 ID:???
来る日も来る日も一徹はがんばって働いていた
兄弟子の飯田に注意されたあのときから女の子のことをずっと思ってはいたけれど、
それ以上に仕事に精を出すようになっていた
そのまじめさや地道に頑張る様を周りもきちんと認めていた

一日も早く一人前になること、それが一徹の目下の目標だった

可愛いあの子は自分の知らないところで恋をし、
誰かのものになっているのかもしれないけれど
今はほんの少し姿を見ることや声が聞こえることが
自分への励みになっていた

あの子が毎日この道を通る
それを確認できるだけで、一徹はうれしかった

「よっし!!明日もがんばんなきゃな!」

夕日が作り出したあの子の長い影法師のように
ぐっとひとつ伸びをした一徹も高く高く伸びていた
6名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 08:00:44 ID:???
半年近くたった頃、家は完成した

完成の喜びと同時に、一徹にはあるさみしさがよぎった

「もうここに通うことはなくなる・・・あの子の姿を見ることもなくなるな・・・」

あの女の子がここを通る時間がそろそろ近づく
今日が最後・・・あの子を見るのは・・・最後・・・

そう思うと仕事の充実感が一気にさめていくような思いがした
「最後なんて、嫌だな・・・」

「一徹坊や!何しゅんとしてんだっ!!」
「坊やおつかれっ!!」
バシバシッ!!と二発、背中にジンジンと痛みが走る
「いってぇ〜〜!!!!!・・・ちょ、保田さん飯田さんな〜にするんすかっ!」
兄弟子の2人がニヤニヤしながら一徹を見ていた

「おめぇの考えてることなんてお見通しだぞ」
「あの子に会えなくなるのがさみしいんだろ〜」
「なんで保田さんまで・・・飯田さん・・・しゃべったんすか」
「まぁまぁいいじゃあないか」
一徹の頭を飯田がぐしゃぐしゃとやる
「なぁ、坊や、勝手に話聞いたのは悪かったけどさ、もう今日しかチャンスないんじゃない?」
保田が真剣な面持ちで言う。その顔は迫力があって一徹は正直怖いと思った
「・・・だけど、今・・・俺は一人前になることが目標で・・・女なんて・・・」

「「かあ〜っっこのガキんちょはめんどくさいやっちゃ!!!」」
兄弟子2人の言葉が見事にハモった
7名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 08:01:19 ID:???
「一人前になりたいと思うのがいいがな、女に告白のひとつもできねぇでな〜にが一人前か!
 男として一人前になりたきゃあこれもまた通るべき試練だよ!!」
「守るべきもんがあってこそ男はもっと強くなれるもんだ!
 おめぇはまだまだガキだけどよ、ガキの頃から縮こまってちゃあおしめぇよ!!」
兄弟子から矢継ぎ早に喝を入れられる

「あたって砕けろ!!つっこんでこそ大和魂、頑固家の粋ってもんを見せてみんかい!」
と、知らぬまに親方・・・一徹の父親も話に入り込んでいた
「お、親方・・・・・・いつのまに・・・・・」
あっけにとられたように父を見る
「一徹・・・ワシもな、カカアをつかまえたのはちょうどおめえくらいのトシだったんだ・・・
 恥ずかしい話だがよ、おめえみたいにちっとハンパな誇りも持ってたもんさ
 だけどな、惚れた女がいるならよ、指くわえて見てるだけで終わるようじゃあ頑固家の男、
 いや、漢じゃねぇ!!!!」

一徹の胸に衝撃が走る
兄弟子たちの言葉、そしてなにより父の言葉が重く響いた

「おっ、うわさをすればだ一徹坊や。漢になってきな!」
保田が指さした方には、いつもの女の子が友達とおしゃべりしながら歩いていた
どんどんと通り過ぎていく

「・・・・・・俺行ってきます!!!」
一徹は女の子の方へ向かって走り出した


「なぁ・・・うまくいくと思うか?」
保田は焚きつけておきながら少し不安になる
「おりゃあうまくいくんじゃねぇかって思う」
飯田は強く言う
「あの女の子、あそこを通るたび一徹のこと見てたからな」
8名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 08:01:40 ID:???
一徹は友達と2人歩いていくあの子を追いかけた

本気で走るとすぐに追いつけてしまい、なんと声をかければいいかわからず
彼女らの少し後ろを歩くことになってしまった

「こんな後つけるようなことしてどうすんだよ・・・」
一徹は考えた
だけどあせるばかりで何も浮かばない

どうしようどうしようどうしよう・・・・

少し立ち止まったりまた一歩踏み出したり
なかなか言葉が出ない

前をちらっと見ると、あの子の隣にいる友達は一徹に気づいたらしく
何度も後ろを振り返りながらあの子に話しかけている

「気づかれたか!?このままじゃ逃げられてしまうかもしれない、ああっ・・・!」


ふと、兄弟子や父の言葉の数々が胸によみがえる
「漢になるんだ・・・頑固一徹、ここで声かけなきゃ漢じゃねぇ!!!」


「あっ、あのっ!ちょっと待ってくださいっ!!!」

一徹の大きな声が辺りに響く

前を歩いていた女の子2人は立ち止まった
9名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 08:02:09 ID:???
女の子2人はゆっくりと一徹の方を振り返った

あの子はもちろんのこと、隣にいる友達もなかなかかわいい

「何か用ですか?」
白い肌、あの子よりふっくらとした体つき、ぱっちりとした目、
少し出張った前歯も魅力的な友達の方が応える

「あっ、あの・・・・・・」
しどろもどろになりながら伏せ目がちに大好きなあの子をちらりと見た

女の子はほんの少し恥ずかしそうに頬を染めており
一徹と目が合うと顔をうつむかせてしまった

友達は一徹と女の子を交互に見ると、状況を理解してニヤリと笑った

「トメちゃん、それじゃあたし先帰ってるわ」

トメちゃん・・・可愛らしい名前だ・・・と一徹はぼんやり思った

友達はトメちゃんの肩をポンポーンとリズムよく叩くとダッと駆け出していってしまった
「あっ・・・ちょ、ちょっとぉ〜・・・」

友達の背中に手を伸ばすも、トメちゃんは逃げたりしなかった
姿が見えなくなるまで見送った後、トメちゃんはゆっくりと一徹の方を見た

「あっ、あの・・・あたしに何か・・・御用ですか・・・?」
身長のある一徹を少し見上げる形になるトメちゃん

柔らかく特徴のある声、一徹よりいくらも華奢な体、
肩を越す髪は少しウェーブがかかっておりとても女の子らしい
遠くから見ていたよりもはるかに可愛いと一徹は思った
10名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 08:02:30 ID:???
あまりあせった様子ではかっこ悪い
一徹は息を大きく吸って、吐く
気持ちが少し落ち着いたところで、トメちゃんを見つめて話しだした

「いきなり引き止めちゃってごめん
 俺は・・・半年くらい前から・・・あの家を建ててた大工なんだけど」

こくん、とトメちゃんは黙って頷いた

「完成したんだ・・・家が・・・今日も、朝から作業してて・・・
 だから、こんな汚いカッコで・・・汗臭くて申し訳ないんだけど・・・」
こんなこと言ってどうするんだ俺は・・・と心のどこかで叫ぶ

「実は・・・・・・あなたを見かけるようになってから・・・
 ずっと気になっていて・・・」
一徹の顔は夕日も相まってとても赤くなっている

「よかったら・・・・・・お友達になってくださいっ!!」
一徹はバッと勢いよく頭を下げた
頭の中はパニックで、顔を上げることができない

トメちゃんは何も言ってくれない
ああ・・・俺はバカなことをしてしまったんだろうか・・・と一徹は悔やみ始めた
今なら謝って帰ってしまえばそれですむかもしれない、そう思って顔をあげようとした時

「あのっ、いいですよっ!」

天使の声が聞こえたと思った
11名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 08:02:46 ID:???
一徹は驚きの表情でトメちゃんを見た

トメちゃんは恥ずかしそうながらも、ものすごい笑顔だった
「あたしでよかったら、お友達になりましょう」

一徹はしばらく固まって動けなかった

ニコニコと笑ってくれるトメちゃんをしばらく見つめた後、ようやく声が出た

「あ、ありがとう・・・・!!」
一徹もようやく満面の笑顔になった

「あっ、お、俺は一徹、頑固一徹といいます」
「あたしは、トメ子っていいます、トメちゃんて呼ばれてるの・・・
 さっきも、友達が言ってたの、聞いていたと思うけど・・・」

お互いがお互いを気遣ってなかなかしゃべりだせないところがとても初々しい2人
会話が止まる

「「あのっ・・・」」
2人の声が偶然重なる

「あっ、トメ子さんから・・・どうぞ・・・」
「いいの、一徹さん・・・一徹さんが先に話して!」
「それじゃあ・・・あの、もう夕方だし、家まで送ります」
12名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 08:03:03 ID:???
トメ子は、もう家はすぐそこだからと初めは断ったが
一徹が送らせてほしいともう一度言うと、はにかみながら了承した

トメ子の家までの短い時間、会話はなかった

一徹がほんの少し前を歩き、トメ子は少し後から歩く
一徹はトメ子を気にしながらゆっくりと歩いた

「一徹さん、ここを曲がればすぐうちだから・・・」
「あ・・・はい、じゃあ、ここで・・・・・」
「それじゃあ一徹さん・・・また・・・・・・」
「はい、また・・・・・・」

一徹はハッとした
次はいったいどうしたらいいのだろう
この辺りへ仕事で来ることは今のところない
一徹のうちはそう遠くはないところだが、約束を取り付けなければ偶然会うなんて難しいだろう

「トメ子さん、・・・よかったら、連絡先とかを教えてほしいのだけど・・・」
「あっ、はいっ!」
トメ子はあたふたと通学カバンの中からメモ帳とペンを取り出した
トメ子はピンク色のペンで住所と電話番号を書いてメモ帳を一枚破り、一徹に渡した

「一徹さんのも教えてください」
ペンとメモ帳を受け取ると、一徹も住所と電話番号を書いてそのまま返した

「きっと・・・連絡するから」
「はい、あたし待ってます」


夕日も沈みかけた空の下、
一徹はトメ子のくれたメモを握り締め父たちのいる現場へ走って帰った
13名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 08:03:22 ID:???
オマケ

「一徹!どうだった、うまくいったのか?」
兄弟子や父が一徹を取り囲む

「やったよ、あの子・・・トメ子さんていうんだけど、友達になった!!」


好奇心に満ちた周りの表情は一気にトーンダウンした

「友達・・・ね、うん、友達かぁ」
「ま、まぁ・・・最初は、お友達から・・・だよな、ハハハ・・・・」
「一徹・・・おめぇはまだまだ半人前だな・・・ったくワシがおめぇくれぇの時にゃあ・・・ブツブツ」


周りの期待をある意味裏切ったことなど知る由もなく
一徹はトメ子とのつながりを持てたことを心からうれしく思うのであった
14名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 08:03:35 ID:???
――――――
――――
―――
――



吉澤「どう?トメ徹出会い話(笑)いい出来じゃない?」
石川「ス・テ・キ!!よっすぃーこれコントにすべきよ絶対!!」
吉澤「コントってかドラマひとつできるかもね(笑)」
石川「一徹さん・・・若いだけにまだ頑固さはそんなにないのね
    これからどうなっていくのかしら?」
吉澤「う〜〜んそうだなぁ続きは・・・・・・・」



――
―――
―――――
――――――

続きはよっすぃーの考え次第・・・・・・・
15名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 20:21:52 ID:???
一徹は毎晩電話とにらめっこしていた

トメ子の電話番号の書かれたメモは握り締めすぎて
すっかりしわくちゃになってしまっている

トメ子に電話をかけたいのだが、なかなかダイヤルを回せない

「一徹、なんで電話の前にじっといるのよ、早くご飯食べちゃいなさい」
「一徹、なんで電話の前にじっといるのよ、早くお風呂に入っちゃいなさい」
「一徹、なんで電話の前にじっといるのよ、早く寝なさい」

母の言葉に促されて、電話をかけられないことはや一週間である
いや、母のせいにしてはいけない
思いの外うじうじしてしまう自分に腹が立つと思った

「ああ・・・トメ子さんに電話したい・・・
 けれどもしかしたら、トメ子さんの親が出るかもしれない・・・
 電話して一緒に出かけませんかなんて誘ってももしかして断られたりして・・・」

布団の上にあぐらをかいてどっしりと座り、腕組みをしたまま考え込む

「しかし・・・よく考えれば友達に電話するというだけのことだぞ・・・
 これしきのことでこんなに悩んでてどうするんだ・・・・!!!!」

一徹はカッと目を見開いた

「明日は絶対電話しよう・・・!!!」
16名無し募集中。。。:2005/06/21(火) 20:22:11 ID:???
仕事を終えた金曜の夕方過ぎ

食事も済ませた夜7時頃

母は食事の後片付け、父は風呂へ行った

今のうちに、今日こそ電話をしなければと一徹は深呼吸ひとつ


受話器を手に取り、メモに書かれた番号を、ついにひとつずつダイヤルしていく

トゥルルルル・・・・

受話器の向こうでベルが鳴る、もう後にはひけない

ガチャ

「はい、もしもし・・・」
一徹の耳に飛びこんできた声は、トメ子の特徴的な声だった

「も、もしもしっ!夜分失礼しますっ!」
「あっ、一徹さん!一徹さんね!」
うれしそうなトメ子の声に、一徹はほっと胸をなでおろした

「トメ子さん、お電話遅くなってすいません」
「いいえ、一徹さんはお仕事も忙しいことでしょうし・・・でも、毎日待っていたんですよ」

トメ子が待ってくれていた
毎日電話が鳴るのを気にしながら、少しソワソワした様子でいるトメ子の姿が思い浮かぶ
17名無し募集中。。。:2005/06/22(水) 07:34:05 ID:???
「本当にすいません、待たせてしまって・・・」
「もういいんですよ、こうして電話してくれたんですから」

そしてしばしの沈黙が流れる

電話したからには、また会う約束を取り付けなければと
一徹は思い切って話し出した

「あの・・・明後日の日曜に・・・会いませんか」

トメ子が返事をするまでの時間が、一徹にはものすごく長く感じられる

「すいません、突然、こんな・・・予定があるなら・・・」
「いいえいいえ、いいですよ・・・!トメ子うれしいです、一徹さん」

トメ子の返事は言葉通り喜びがこめられていた


明後日の日曜昼、トメ子のうちの近くにある公園で待ち合わせとの約束をし
一徹は早々に電話を切った

うれしさが顔に出るのを必死にこらえながらも顔が緩む

風呂上がりの父がそんな一徹を見て酒をあおりながら言う
「一徹、男はよぉ、女が黙ってついてこれるような、そんなカッコイイ背中を持ってなきゃだめだぜ
 おめぇはまだガキだから無理かもしんねぇけどよ、ゆくゆくはワシみたいになれよ!ハハハハハ!」

「カッコイイ背中・・・」
父の背中の力強さを幼い頃から見てきた一徹にとって、それはあこがれの対象であった
酔っ払いにはなりたくないが、父の男らしさ、強さを一徹もよく知っている
自分もいつかきっと、そのようになれるのだろうか
「いつかきっと、トメ子さんも黙ってついてくるような強い男になりたい・・・」
18名無し募集中。。。:2005/06/22(水) 07:34:22 ID:???
土曜の仕事はいつもより特に頑張った
明日、トメ子に会えるということが一徹の力になっていたのだ

「一徹坊やがんばってるねぃ」
「ほんとにね〜トメちゃんとやらへの愛の力か〜」
兄弟子らは茶化すように言いながらも、張り切る一徹を微笑ましげに見ていた


仕事に力を出し切って疲れているはずなのに、一徹はなかなか眠れなかった
豆電球の淡く光る空間
布団の上で何度寝返りを打ったことだろう
「眠れねぇ・・・」
天井を見つめると、トメ子の笑顔が浮かぶ

「あぁ・・・トメ子さん・・・・・」
布団をぎゅっと抱きしめる


一徹はトメ子を思いながら、知らぬ間に眠りに落ちた・・・・・・
19名無し募集中。。。:2005/06/22(水) 07:34:47 ID:???
日曜の朝・・・
天気は、雨

「なんてこった・・・・」
天気にまで考えがまわっていなかった
てるてる坊主のひとつやふたつなぜ作っておかなかったのかと後悔した

雨がしとしとと降り続く窓の外を一徹はぼんやりと眺めている
トメ子はこの雨でも来てくれるだろうか

「あれ一徹、今日出かけるんじゃなかったのかい?
 もう昼前だってのにぼやぼやして!」
「でも、雨が・・・・」
「でもも何もないだろうよ、出かけるんならとっとと準備しな!」
せかす母の勢いに乗じて、一徹は慌てて準備した


「おっと、傘忘れちゃ話にならないな」
玄関の傘たてに入っているいくつかの傘の中から、一番大きいと思われる真っ黒な傘を手に
一徹は家をあとにした
20名無し募集中。。。:2005/06/22(水) 07:35:14 ID:???
トメ子と出会うきっかけになったあの仕事場に向かうのと同じ道を行く

一徹たちが建てたあの家にはもう人が入っている
小さい子がいるのだろう、三輪車が玄関先で雨に濡れている

水溜りの多い道路を黒い傘を掲げ、大またで歩く

体に馴染んだ白いTシャツ、膝の擦り切れたジーパン、
古ぼけたスニーカーに雨がバチャバチャ跳ねる


しばらく行ったところに、約束の公園が見えてきた
門を抜けると、公園の名物でもある大きな池が目の前に広がる
たくさんのボートも、今日は乗り手がいない

池の周りをまわるように歩いていく

あたりには傘をさしたカップルやらがちらほらと歩いていた


公園らしく、ところどころに休憩できる場所が作られている
雨を十分に防ぐことのできる木製の屋根がついており
その下に木のベンチがいくつか並んでいる

一徹は公園の中でも一番奥ほどにある休憩所に向かっていた
近づくにつれ、そこに人がいるのがわかる

そこで待っている「人」も
一徹に気づいて手を振っていた
21名無し募集中。。。:2005/06/22(水) 07:35:55 ID:???
「トメ子さん、待たせてすいません」
傘を閉じて、水をはらう

「大丈夫です、そんなに待っていませんから・・・こんにちは一徹さん」

ベンチから立ち上がるトメ子
白くふわりとしたスカートがとてもよく似合っている
制服もよく似合っていたけれど、私服もとても可愛らしく、清潔感が漂っている
一徹は自分の格好が少し恥ずかしくなった

そばにはトメ子さんのものだろうピンク色の傘が立てかけてあった
一徹は黒い傘をピンク色の隣に同じように立てかけ、ベンチに腰掛けた
その横に少しの距離をおいて、トメ子が座る

「今日は雨になっちゃいましたね」
トメ子が池のほうを見つめて言う
「でも、雨もなかなかステキじゃないですか?」
「ん・・・俺は、雨だと仕事が休みになったりするから、うれしいです」
トメ子がフフッと柔らかく笑った
「そうですね、一徹さんにはお休みが増えるんだ」
ちらりと見たトメ子の横顔がいつもに増してかわいい

「あたしはね、この、ピンクの傘がさせるから、うれしいの
 雨の特権ですから」
「そうだね、かわいい傘だ」

一徹とトメ子は、沈黙を交えながら、お互いのことを話した

トメ子は三姉妹の次女で、貧乏でもお金持ちでもない家庭に両親含め五人で暮らしている
女子高に通っており、一徹と同い年だという
一徹が声をかけたときにいた友達は、特別仲のいい親友らしい

一徹は中学を卒業したのち父に弟子入りしたこと
頑固家の一人っ子ながらも兄弟子たちを本当の兄のように思っていること
父は時に頑固が過ぎてちゃぶ台をひっくり返してしまい晩飯が何度もなくなったことなどを
ぽつぽつと話した

一徹が何か話すたび笑ったり感心したり驚いたりして
くるくると表情がかわるトメ子が魅力的で、一徹は強く心惹かれていた


雨の音が世界から2人の空間を浮き彫りにするように包み込み、沈黙もどこか心地よかった
22名無し募集中。。。:2005/06/22(水) 07:36:16 ID:???
2人はだいぶ長い時間をこの場所で過ごした
そろそろ夕方も近づく
雨はまだ降り続いていた

「トメ子さん、少し歩きましょうか」
緊張もずいぶんほぐれ、一徹のトメ子と話すことへの気恥ずかしさがだいぶ減っていた
「はい、行きましょう」

2人はそれぞれ自分の傘を持ち、さした

黒とピンクが並んで歩く
池の周りを一徹が来た方とは反対方向へと歩いた

あの日、一徹がトメ子を送っていったときのように会話はなかったけれど
2人の間に流れる空気は穏やかだった


しばらく歩いていくと、雨の音に混じって
小さな男の子の泣く声が聞こえた

一徹とトメ子は思わず顔を見合わせ、泣き声の方へ向かった
23名無し募集中。。。
「アホーーおまえが傘ふりまわしてるから悪いんだろぉ!泣くなよぉ!」
「らってぇ〜〜うわぁぁぁ〜んにいちゃんあほーーー」

年齢にして4,5歳ほどの男の子と、それよりいくつか年下であろう男の子
・・・兄弟だろう、よく似ている2人だ
お兄ちゃんの方が、泣いている弟をどうにか泣き止ませようと奮闘しているようだ

2人とも小さな黄色い傘を持っているけれど、弟の傘が折れて壊れてしまっていた

「どうしたの、なんで泣いてるの?」
トメ子が駆け寄る
一徹もすぐ駆け寄り、濡れている弟の方に上から傘をさしかけた

トメ子は2人のそばにしゃがみこんだ
「あらぁ、傘壊れちゃったの?」
トメ子を見て泣くのをやめ、ひっくひっくとしゃくりあげる男の子

「こいつが傘ふりまわすから、木に当たって傘折れたんだ!!」
お兄ちゃんが指差したところにはたしかにそばにはどっしりとした木が植えてある
一徹が傘を見たところ、骨は折れ、ビニルの部分も大きく破れているようだった

「うわぁあぁ〜んかさぁぁぁ〜」
弟はまた泣き出してしまった

「ほらぁ泣かないで、涙を拭いて!」
トメ子はポケットからハンカチを取り出し、弟の涙や鼻水を拭いてやった
「ね、そうだ!おねえちゃんの持ってるこの傘、君にあげるよ」

子どもには大きめな、ピンク色の傘

はいっ、とトメ子が差し出したそれを、潤んだ目でじっと見つめる

そして小さな両手でそっと掴んだ


「ありがとぉ〜〜〜」
弟は顔をくしゃっと笑顔にし、うれしそうに言った
大きな大きな傘をくるくると回して見せる
「こらぁ、それまで壊したらだめだぞっ!」
お兄ちゃんが一喝すると、弟はペロッと舌を出しておどけた