最初に言っとくが連投ウザくてスマソ
実は前日にスリン島を去るつもりだったけど、あんまりにも島の居心地が良くて、
しかしクリスマスから急に込んできたんで、とりあえずもう一日だけ滞在を
延ばしたのだった。その日の午後に島を去る予定だった。で、最後のスノーケルを
楽しもうと、いつものようにスノーケル仲間のアメリカ人と一緒にビーチへ向かった。
時間は9時過ぎ。いつも引き潮でエントリーに苦労するのだが、この日のこの時間は
いい具合に潮が満ちていて、スノーケリングには最高のコンディションだった。
いざ出陣、と思ったところでビーチに居たドイツ人が「この島は最高だよなー」なんて
わかりきったつまらないことをだらだら話し掛けてきた。20分ほど話してただろうか。
俺は愛想良く対応してたけど、アメリカ人はだんだん「早く海に入りたいんだよ!」
みたいな態度になってきたので、適当に話を打ち切って海へ入った。
入ると、様子がおかしい。さっきまでは本当に見た目穏やかな海だったのが、
意外なほどに潮流が早い。それでも「流れるプールみたいだなー」なんて
はしゃぎながら行く。2匹の亀が急いで沖へと泳ぎ出す光景にも出くわして
更にはしゃいだ。今考えるとちょっと不吉だったかもしれない。
先にスノーケルに出てた男が戻ってきた。「潮流が早くて無理だ」と言う。
どうしようか?と流されながら相談したが、「リーフエッジの向こうまで行ったら
潮流も止むんじゃないか。たぶん満月の影響だろう」というアメリカ人に従った。
ここで不思議なことが起こった。さっきまで岸から沖に向かっていた潮流が止み、
次の瞬間沖から潮流が来たのだ。「なんだこの潮。やっぱり満月の影響かな」と言い合う。
海の端で二人が乗ったシーカヤックが揺れる。「カヤック借りたら沖まで出れると思うよ。
沖まで出たらこの変な潮流も止むと思う」とあくまでスノーケルに未練たっぷりのアメリカ人。
「こんな読めない潮経験無いから、戻ろう」と言うと名残惜しそうにうなずいた。
戻ろうとすると、またまたおかしい。難なく泳いで来れたのに、浅くてとても
泳げない。たった数分のうちにこんなに潮がひくか? 不思議に思いながら
珊瑚の上をバキバキ歩いて帰る。もちろん普段はこんなことはしないけど異常事態だ。
どんどん潮が引いていく。30分前まで満潮に近かったのに、今はほとんど干潮で、
珊瑚むき出し状態だ。なんだこれ?とマスクを取ったときに、「気をつけろ!」と
アメリカ人の声が。振り向くと、スリンの海とは信じられない茶色い壁のような波が
押し寄せてくる。瞬時に「逃げずに、うまいこと巻き込まれよう」と思ったが、
どんな判断するまでもなく次の瞬間に波に巻き込まれてた。体が波にもみくちゃにされる。
マスクを外したのは失敗だった。コンタクトが外れないように目を必死につぶり、
水を絶対に吸わないことだけを考える。なんとか一瞬波の上に顔を出して必死に息継ぎをする。
アメリカ人は「ヒャッホー」と楽しそうに流されていた。ウェットスーツ完備の彼は
一息で20m潜り、海底で一分以上うろうろするスノーケリングの超人だ。
気がつくとビーチだった。100m以上の距離をこの波で移動したのだ。
波に攫われないように両手で砂をつかむ。
「大丈夫?」と言い合いながら戻る。ビーチに置いていたサンダルが無くなっていた。
「あーあ、サンダル流されちゃったよ」と、この時点でもまだどれだけ深刻な事態か
俺は全くわからなかった。「津波じゃないかな」とアメリカ人が言ったのでちょっと
驚いた。「ひどい津波だと20m超えるかもしれないから、早く山へ向かわないと」
突拍子もないこと言うな、こいつ、と思った。
「満月のせいじゃないの?」「そうだといいけど」
宿泊客がみんなビーチに立って、この不思議な自然現象を面白そうに眺めている。
笑いながらデジカメで収めてる人も多かった。
とりあえず自分のテントに向かう。スタッフが走り回ってる。「何か助けは必要か?」
の問いかけに、「いや、俺のテントはビーチフロントだから、デジカメとCDが心配でね」
と、心底間抜けな返事を笑いながらした。「ところで、こんな波、経験ある?」と一応聞いてみた。
「こんなの初めてだ!」
自分のテントにたどり着く。その瞬間に次の波が来て、テントの下部を黒い水が
洗い流していった。テントを開くと一面水浸しでゴミでだらけ。
あーあ、今度の旅のためにデジカメとCDプレイヤー新調したのに、
ビーチフロントのテントで大喜びだったけど、まさかこんなことが起こるとはな、
運無いな、と一人ごちながら、でも高台に逃げなきゃいけないとは思っていたので、
取りあえず命と金とパスポートの次にこの旅で大事な眼鏡とコンタクトのセットを
水着のポケットに入れ、貴重品全てが入っているバックパックを取ろうとした
ところで、後ろから波がきた。テントが水の勢いにきしみ、地面からちぎれるように離れる。
テントと一緒に濁流を流されながら、初めて尋常じゃない事態が起きていると
信じざるをえなかった。でも半分信じられない気分だった。
腰のへんまで水が引いてとりあえず小康状態。この状態で貴重品に固執するのは
愚かなんじゃないかと思ったが、やはりパスポートとカード類と現金を捨てる気にはならず、
テントの入り口がわからない。必死にテントを千切りバックパックを取り出そうとする。
悔しいことにタイのくせにやはりテントの生地は丈夫で、諦めて行こうかと思った時に
ジッパーを探り当て、死にもの狂いでバックパックを取り出す。
背負うと、水で重さが倍になっている。水に浸かりながら山方面へ向かう。
前を、タイ人のおばちゃんがスタッフに抱きかかえられながら逃げている。
おばちゃんは泣いていた。ここでゴゴゴと音がして、振り向くと
第何波だかわからないけど水面の向こうに茶色い線が大きくなりながら
やってくるのが見えた。移動は止め、そばの木にしがみついて波の到来を待つ。
胸上までの水の固まり。おばちゃんはあごのへんまで水に浸かって、びびっている。
この波だと子どもはひとたまりもないだろう。水辺にしがみつくように建っている
シャオレー村はどうなっているだろうか、と思った。
なんとかスタッフの乗った救命ボートまでたどり着く。
「どうしたらいい?」「潮が引いたら山まで逃げよう。今は動けない」
「こんなの初めてか?」「初めてだ」「津波か?」「津波だ」
ボートの端をつかんで呆然としてると、次の水の固まりがきた。
荷物背負ったまま顔だけ水の上から出す。両足は地面を離れ浮いていた。
目の前で先にボートに乗った白人女性がパニックを起こしている。
「携帯落としちゃったし、航空券も、パスポートも、明後日にはバンコクに
戻らなきゃいけないのに。。。」わけのわからないことを言いながら泣いている。
「大丈夫だから。荷物は後でスタッフが必ず集めるから。今はここから動かないで」
そういうスタッフも泣いているのだった。「大丈夫。大丈夫」そう言いながら
スタッフが優しく白人女性を抱きしめる。なんかの映画に出てきそうなシーンだな、
と思うと同時に、「あ、ひょっとしたら死ぬかもしんない」と初めて背筋がぞっとした。
それまでまるで夢を見てるような感覚だったのだ。
「ひどい津波だと20m越えるからな」というアメリカ人の言葉を思い出す。
片手をボートに、片手を木の幹にしがみつき、水に浸かったまま海を眺めて
次の波を待った。「もっとひどい波が来るわ、もっとひどい来るわ」と
白人女性は叫び泣き続けていた。
続きはまた明日
すごい経験談!
あー、16さんだったのか、スリンで被災した人。どこかの板にも書いてたでしょ。海外旅行板にコピペが回ってきてましたよ。
命が助かって何よりです。報告お待ちしています。
158 :
名無しさん@天国に一番近い島:04/12/29 02:09:28 ID:fzMmrjId
コーハイの状況が知りたいです。
プーケットより南・・壊滅状態でしょうか・・
リペ島とブロンリー島の状況 ロンプラ掲示板より
リペ島:死者0人。通常どおり、営業されているそうだ。波は高くなかったらしい。
ラウィ島:死者1名。
ブロンリー島:死者7名。
Milena2003
Posted: 28 Dec,
3:50pm
60.
User is offline View thread in raw text format
I just got an e-mail back from Sabye Sports dive shop on Koh Lipe (we
dove with them a few years ago):
"We did not get any damage at all. The waves were not any higher than
our normal high tides. Lipe did not get any casualties, Rawi got one
and Bulon had 7 dead. None of them are foreigners. We are very
fortunate here. It is as tho nothing happened out of the ordinary.
All the businesses here are operating as normal."
ハイ島関連のニュースを1件だけ見つけました。ここも強い波に襲われたよう
です。
大波がすべてを破壊し、スノーケリング中の人はサンゴの上を引きずられて
浜に打ち上げられ、日光浴をしていた人は海に洗い流された、といいますから、
読みとれる感じから言うと、プーケット、スリン、ランタ島と大なり小なり
似たような被害を受けたようです。
ただし、被害状況はハイ島内でも場所によって差があると思います。
Survivors describe Thai tsunami chaos
14:02 AEDT Tue Dec 28 2004
http://news.ninemsn.com.au/article.aspx?id=25355 Photographer Simon Clark, 29, saw the disaster unfold in Koh Ngai
island, near Krabi. He said, "Suddenly this huge wave came rushing down
the beach, destroying everything."
His girlfriend, Caroline Barton, 25, said, "People who were snorkelling
were dragged along the coral and washed up on the beach, and people
who were sunbathing got washed into the sea."
避難所からも抜け出せて、通常どおりの旅に戻って読み返したら
なんか思い切り自己陶酔してるみたいだったんでちょっと止め。
ちなみに俺、予定では当日カオラック入りだったんだよね。
スリンに留まってなかったら8割の確立で死んでたでしょう。
島で「これからカオラックに行くんだ」と行ってた小さな女の子連れてた家族、
フランス人のカップル、大丈夫かなあ...
去年お世話になったMrKAENTRAVELの家族や隣のフットマッサージの姉ちゃんたちや
行き付けのJAIレストランの家族は...
ラノーン近辺ではパヤム島とチャン島は被害は比較的少ない模様で、
島にも渡れます(それでもパヤムでは子ども二人が行方不明)。
ただし、パヤムはAOYAIビーチは大丈夫だったけど、
VIJITバンガローのあるビーチは被害が出て、VIJITは波に流されちゃったって。
同じ島でも場所によってだいぶ被害の度合いが違うみたい。
ちなみにラノーンのダイブショップでは、さっそく年明けから
シミランダイブクルーズ催行してました。
シミランキャンプ自体は閉鎖ですが。
なんだ、期待してたのにw
プーケットのダイビングショップでも、ダイブクルーズは催行するところが多いみたいですよ。政府が入海を禁止しているという情報もありますが、
デイトリップはもうやっているみたいだし。
カオラックの日系ショップは2軒とも1月中旬までキャンセル。スタッフ、
客は全員無事が確認されたそうです。街は壊滅状態だそうですが。
16さんはこれからどこに行くのですか?
自己陶酔というか、まだ興奮冷めやらぬ感じの文章だったけど、
ナマの体験談として非常に興味深かった。
内容も整理されててよくわかったし。
現地の様子を知るためにも、津波がどういうものか知っておくためにも、
続きが読みたい。
他の場所や他の国の状況見たら自分の経験したやつなんて屁レベルと思ったし。
なんかはしゃいでるみたいだし。続きはまた落ち着いたら。
実は、パヤム行こうかなあと思ってる。不謹慎で向こう見ずかな?
バンコクに戻ってラオスベトナムカンボジア周遊するか
航空券買ってネパールにでも飛ぼうかなあとかも思ったけど、
やっぱ島に行きたい。ニュー速あたりでこんなこと書いたら叩かれるよなー。
あと、トランの町はぜんぜん普通みたいなんで、島じゃなくても
とりあえず町には行って、去年お世話になったバンガローの安否を知りたい。
島から収容されて一日ツーリストポリスに泊まったとき、
自分ではぜんぜん大丈夫と思ってたけど寝てるときに外で車の騒音がすると
「早く逃げなきゃ!」と叫びながらがばっと起きるという、
典型的なトラウマ状態で自分でも笑いました。今はそんなことないですが。