77 :
名無しでGO!:
妻は何を見、何を感じているのだろうか。
直腸の蠢動を味わいながらも、私の理性は働きつづけていた。やがて、男と女を隔てる大きな障壁の存在に思い至っていた。それは、文字通り壁だった。ジェンダーという大きな一枚岩。
しょせん、男には女の肉体の内奥までわからない。オルガスムスのイメージすら描くことができないではないか。
ノーマルなセックスを行っていてもその有り様なのに、アブノーマルな世界で女が得ることのできる快楽がいかようなものかわかるわけがない。
性差、という簡単な言葉で、男はそれを受け入れるほかはない。
性のぬかるみに夫婦が手を携えて踏み込んだところで、二人が同じ快楽を味わうことは不可能だろう。かといって、性の冒険が男をみじめにするだけだと決めつけたりするつもりはない。
男には男の、女には女の、性愛を極めるプロセスがある。女の悦楽を同じように感じようとすること自体が間違いだったのだ。
Sの言葉の断片が脳裏によみがえった。
「――人間の快楽中枢は脳なんだよ。決して粘膜の神経細胞などではない。
――ご婦人が性感に耽るのを観ることが、なによりも楽しい。
――射精などとは別の次元の快楽」
“人間”を“男”に置き換えてみてはどうだろう。Sが調教メールを律儀に送ってくれたのは、私にそれを悟らせるためだったのではないだろうか。ディスプレイで発光する文字の連なりに、私は激しく興奮させられたことを思い出した。
Fが妻をこの部屋で犯しているさまを盗み見したとき、私は図らずも精を洩らしてしまった。肉体的な刺激をまったく受けていなかったにもかかわらずだ。
原点に立ち返ろう。
妻を観察しつづけよう。ストップをかける権利を、夫の私が行使する瞬間まで。
だが、今夜はたっぷりと妻の肉体を貪る。今現在の感触を五官に叩き込み、妻が、どのように変わりゆくかを眺めてゆけるように。
私は、ペニスに力を込め、激しく突き上げた。
喜悦の声を洩らすために、妻が大きく息を吸い込むのがわかった。