有名「撮り鉄」逮捕 乗り放題切符盗む
神奈川県警相模原南署は16日までに、旅行会社から高額なJR「3日間乗り放題切符」を盗んだとして、
窃盗容疑で鉄道マニアの男(35)を逮捕した。同署は防犯ビデオなどから、男が鉄道撮影好きな「撮り鉄」
として“有名人”であることを割り出し、約1年前から各種鉄道イベントを張り込んでいた。執念の捜査が実り、
今月14日「JR五日市線開業85周年記念号」から降りてきたところを発見した。男はネットカフェ難民生活を
続けていたため、居場所が分かりにくかったという。
逮捕されたのは住所不定、派遣社員西川圭一容疑者(35)。逮捕容疑は昨年8月28日午後、相模原市南区の旅行会社から、
JR東日本が発行した2万6000円の3日間乗り放題切符「三連休パス」(同年9月21〜23日の連休期間有効)を盗んだ疑い。
容疑を認め「鉄道マニアとしては乗り放題のこの切符がどうしても欲しかったが、お金がなかったので盗んだ」などと供述して
いるという。
執念の捜査が功を奏した摘発劇だった。相模原南署によると、西川容疑者は事件当日、旅行会社を訪れ、知人の鉄道マニア
男性の電話番号や偽名を申込書に記し、三連休パスの購入を申請。受付担当者がカウンター上に切符を置いた際、別の注文も
するふりをし、担当者が目を離したすきにその切符を持ち去ったという。
同署が、その電話番号の持ち主男性に防犯ビデオ映像を見せたところ、外見から西川容疑者が浮上。さらに調べたところ、
同容疑者は04年に、JR線快速の行き先表示幕を盗んだとして逮捕歴があり、かつ「撮り鉄」と呼ばれる鉄道撮影愛好家の中で
も有名人であることが分かった。実際、ネット上の掲示板では個人名が入ったスレッド(板)が立ち「出現情報」が書き込まれる
ほどだった。
そこで同署では、約1年前から西川容疑者が「どこかに現れるはず」とにらみ、10以上の鉄道関連イベントに張り込んだ。
先月17日、全面がオレンジ色のJR中央線「201系」車両のラストランも捜査員がマークしたという。
今月14日には、JR五日市線の「開業85周年記念号」に注目。捜査員は、終着駅の武蔵五日市駅(東京都あきる野市)で待ち
構えたところ、ついに降りてくる西川容疑者をキャッチした。盗んだ切符は新幹線も乗れたといい、同容疑者は東北新幹線で
青森県まで行ったと話しているという。
西川容疑者はかつて横浜市に住んでいたが、最近はネットカフェなどを転々とする生活。居場所をつかみにくかったようだ。
外見は「小太りの体格で、カメラを持ち、リュックを背負っている」(捜査関係者)。独身で、派遣会社に登録し週数回、工場などで
働く程度。そうして得た稼ぎを「鉄道一筋」につぎ込んでいたとみられる。
[2010年11月17日8時19分 紙面から]
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