75 :
名無しでGO!:
◇水色の防護服
帰宅後の深夜、保健所からかかってきた電話を母が受けた。「新型が陽性でした。取りあえず入院してください」「あれ、もう治ってきてるのに?」自身も「本当?」と耳を疑った。「発熱のピークは過ぎている」と冷静に振舞っ
ていた母だが、救急車で迎えに行くと言われると、「防護服でくるのですか。サイレンは鳴らしませんよね」と焦っていた。救急車はサイレンを鳴らさずに到着。隊員は全身を覆う水色の防護服を玄関で身にまとった。17日午
前2時ごろのことだった。府南部の指定病院に着き、専用口から隔離病棟に入った。通された6畳ほどの個室ベッド、机、いす2脚。窓は開かず、エレベーターに続く扉も施錠されていた。明け方まで寝付けなかった。食事は
部屋に運ばれた。朝食はパンと牛乳など。昼食はボリューム満点で、ある日はラーメン、おにぎり、焼き魚なとみそ汁もついた。日中は時間を持て余した。中間テストを控えて数学の問題集に向かったり、唯一移動を許され
た15メートルほどの廊下を何往復もしたり。同級生と顔を合わせると「もう症状ないのに」とこぼし合った。同じフロアには他にも同年代の4人の姿があった。
◇メールが慰め
「最初はいい経験やな、くらいに思ったけど、だんだん精神的にしんどくなった」慰めになったのは、部活動の仲間や級友ら約20人と交わした200件以上の携帯メール。中学時代の友人は「まさか(新型インフルに)なってな
いよね」と送ってきた。「実はなってる」と返信。「なんで?」「大丈夫?」と心配してくれた。やりとりは未明まで続いた。入院3日目の19日昼、迎えに来た母親と帰宅した。16日から39度の熱でつらそうだった妹(14)も感染が
確認され、自宅で療養していた。ゼリーやイチゴしか口にできず、自室で過ごし、20日に熱が下がったという。ゴールデンウィーク中に部活動の試合があったが、相手校に感染者は出ていない。自分は学校内で感染したの
だろうが、そのウイルスがどこから入り込んできたのか、見当もつかない。新型と言われたら仕方ないと思ったが、症状は軽かった。「入院までする必要はあったのかな」。複雑な思いだ。