DQN鉄ヲタ(関東編) Vol.15

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327荻原
◇同時期の事件に波及か
「東の足利」が覆った今、「西の飯塚」はどうなるのか―。弁護士らがささやく事件がある。92年に福岡県飯塚市の女児2人が殺された事件だ。市内にすむ久間三千年元死刑囚(08年に刑執行)が94年に逮捕された決め手の一つは、やはり導入間もないD
NA型鑑定だった。県警は逮捕前、任意で採った元死刑囚の髪の毛と、女児の体に付いていた真犯人のものとみられる血液を警察庁科学警察研究所(科警研)に持ち込んだ。科警研が使った複数の鑑定法のうち、足利事件と同じ「MCT118」で一致したとさ
れる。元死刑囚は一貫して否認したが、最高裁は06年に鑑定の証拠能力を認め、他の状況証拠とあわせ死刑判決を導き出した。だがこの事件では、検察側が逮捕前、帝京大の石山いく夫教授(法医学)=当時=にも別のDNA型鑑定を依頼。こちら
は試料から久間元死刑囚と一致するDNA型は検出されなかった。この結果も一審の公判途中から証拠採用されはした。弁護側が「科警研の鑑定と矛盾している」と主張したが、判決は「科警研の鑑定で試料を使い切っていた可能性もある」と退けた。「
同じ方法の足利が誤っていたと証明できれば、飯塚でも十分な証拠になりうる」。3月末に再結成した弁護団はこれを新証拠とし、名誉回復の意味合いが強い死後再審の準備を始めた。二つの事件と同じ鑑定方法は03年まで主流だった。特に90年代初め
の導入初期のころは技術的に不安定だったとみられ、この時期を中心に足利事件と同じようなケースが今後も出てくる可能性がある。全ての死刑囚や懲役囚にDNA型鑑定を受ける権利を認めたアメリカ。精度の高い方法での再鑑定で、08年まで
に計237人が再審無罪判決を受けている。鑑定で無罪を勝ち取った元死刑囚や市民団体の求めで04年10月に成立した「イノセンス・プロテクション・アクト(無実を守る法律)」に基づくものだ。鑑定で犯行が裏付けられた場合は偽証罪に問われるもの
の、申し立ては相次いでいるという。海外の刑事司法に詳しい伊藤和子弁護士は「刑罰を決めるだけでなく誤った判決を防ぐのも国の責務」と、同様の制度の必要性を訴える。