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荻原:
☆足利事件 菅家さん釈放
90年に栃木県足利市で女児が殺害された事件で00年に無期懲役が確定し、千葉刑務所で服役していた菅家利和さん(62)が4日午後、釈放された。菅家さんが「犯人」とされた最大の根拠はDNA型鑑定だったが、菅家さんの
再審請求に基づく再鑑定で、女児の肌着に残った体液の型と菅家さんの型が「一致しない」とする結果が出たことをうけ、検察側が刑の執行を停止した。
◇逮捕から17年「謝ってほしい」
法務省によると、再審請求中の受刑者について刑の拗行が停止されるのは初めて。再鑑定は、再審請求の即時抗告審を行う東京高裁が昨年12月に実施を決定。検察側、弁護側がそれぞれ推薦する鑑定人が鑑定し、5月、い
ずれも「一致しない」との結果が高裁に報告された。これを受けて東京高検は4日、「肌着から抽出されたDNAが、真犯人の体液によるものだった可能性も否定できない」として、菅家さんの無罪を事実上認める意見書を高裁に提
出。高裁は、検察側、弁護側双方の意見書の内容を踏まえ、再鑑定結果が「無罪を言い渡すべき明らかな証拠の新たな発見にあたる」として再審開始を決定するとみられる。91年12月の逮捕・勾留以来17年半にわたって身柄
を拘束されていた菅家さんは、釈放後、千葉市内のホテルで記者会見した。「真犯人にされ、ずっと我慢してきたが、間違ったではすまない。当時の警察官、検察官を絶対に許さない。私と亡くなった両親、世間の皆様にぜっに謝
ってほしい」と話した。菅家さんの公判では、一審・宇都宮地裁判決(93年)、二審・東京高裁判決(96年)とも無期懲役とした。弁護側は上告中の97年、独自に依頼した鑑定でDNA型が異なる結果が出たとして最高裁に再鑑定
を請求。しかし最高裁は00年、捜査段階の「一致する」との結果を裁判の証拠として認める判断を示し、上告を棄却した。02年に始まった再審請求審でも、宇都宮地裁は再鑑定を実施せずに08年に請求を棄却していた。再審開
始が決定すると、一審の宇都宮地裁で再審が開かれる。検察側は有罪を裏付ける証拠がないとする意見を述べるとみられ、その場合、裁判所が無罪を言い渡す公算が大きい。