まず、トロリ線の波動伝播速度Cの計算は、
C=sqrt(張力T/線密度ρ)
でOK.
TはN(ニュートン)単位の張力、
ρはkg/m単位で単位長さあたりの線条の質量を代入する。
110スケアのトロリ線なら概ね1、170スケアのトロリ線なら概ね1.5になる。
例えば、GT110トロリ線を9.8kN(すなわち1t)で張った場合の
波動伝播速度は356km/hになる。
架線として実用するには、列車運転速度を
その7割以下にする必要があるといわれている。
>>196 おはようございます。
お互いとんでもない時間におきていますな。
しばらく連投します。
当初東海道新幹線に採用された合成コンパウンド架線は
ちょう架線=CuCd(カドミウム銅より線) 80sq 9.8kN(1t)
補助ちょう架線=CuCd(カドミウム銅より線) 60sq 9.8kN(1t)
トロリ線=GT(溝付銅トロリ線) 110sq 9.8kN(1t)
という構成だった。
トロリ線の波動伝播速度的には356km/h、
実用的なラインは249km/hで当時の運転最高速度には
合致していたが、1編成8パンタという多数パンタの集電には
力不足だった。
そこで、山陽新幹線では架線総張力をageて架線振動を抑制する
ヘビーコンパウンド架線が採用された。
ちょう架線=St180(亜鉛メッキ鋼より線) 180sq 24.5kN(2.5t)
補助ちょう架線=PH150(送電用硬銅より線) 150sq 14.6kN(1.5t)
トロリ線=GT(溝付銅トロリ線) 170sq 14.6kN(1.5t)
この場合のトロリ線の波動伝播速度は390km/h。
実用的な列車最高速度は273km/hになった。
その後、山陽新幹線の300km/h化ではトロリ線張力を19.6kNに上げて
架線総張力の6t化が行われた(トンネル内ではちょう架線張力を
2tに落としてその分をトロリ線にまわした)。
東北新幹線でも似たようななことをしている。
整備新幹線区間では、コスト削減のためにシンプル架線が採用された。
が、運転最高速度は当初から260km/hが想定されていて、
シンプル架線では架線振動を十分抑えこめないことが懸念された。
そこで、波動伝播速度を列車速度に大して大幅に超過させて
集電性能を確保する方法が採用された。
トロリ線の波動伝播速度を向上させるには、トロリ線を細く、かつ
高張力に張らなければならない。そこで、トロリ線は110スケア、
トロリ線張力は19.6kNとする必要が出てきたが、
従来のGTやGT-Sn(すず入り銅合金)トロリ線で110スケアのトロリ線を
張ると耐張力が不足して、トロリ線の磨耗しろが少なくなってしまう。
つまり、張替周期が短くなって経済的でない。
そのため、細い電線に高い耐張力を与えるため、
鋼の芯線に銅を厚く被覆させた銅覆鋼(CS)トロリ線が開発された。
これにより110スケアのトロリ線を2トンで張っても十分な張替周期が
確保されるようになった。
長野新幹線以降の架線構成は次のとおり。
ちょう架線=PH(送電用硬銅より線) 150sq 19.6kN
トロリ線=CS(銅覆鋼トロリ線) 110sq 19.6kN
トロリ線の波動伝播速度は504km/h、実用的には353km/h。
>>196へ
…つまり、
>>187内の>304は「何か素材でも変更したから」と問うているのに、
>305ではそれに対する回答としては不十分ということ。
CSトロリ線を開発することで初めて経済的に成り立つ高速用
シンプル架線が実現されているわけ。
ただし、現在はCSをさらに上回る銅合金トロリ線が開発されているけどね。
長文の連投スマソ。
急いで書き込んだので変や文や誤変換が多いがご容赦ありたく。
>>200 計算間違えた。
初期のヘビコンのトロリ線は波動伝播速度は356km/h。
実用速度は249km/h。