[事故]マジスレ!鉄道事故について語るスレ[無惨]
信楽高原鉄道列車衝突事故の原因調査結果について
1.事故概要について
(1)発生日時平成3年5月14日(火)10時35分頃 天候 晴れ
(2)発生場所信楽高原鉄道株式会社 信楽線
小野谷信号場〜紫香楽宮跡駅間
(起点貴生川駅より9k100m付近)
(3)事故種別列車衝突
(4)列車501D列車(3両編成)京都駅発信楽駅行
(JRからの乗入れ列車)
534D列車(4両編成)信楽駅発貴生川駅行
(信楽高原鉄道の列車)
(5)死傷者数656名(死者42名 負傷者614名)
(6)概況 上り534D列車が信楽駅を出発しようとした際、出発信号機が『赤』信号
であったにもかかわらず、小野谷信号場との連絡体制の無いまま手信号で10時25分頃(所定時
刻より約11分延発)出発した。
一方、貴生川駅発の下り501D列車は、10時19分頃(所定時刻より約3分延発)出発し、小
野谷信号場を通過した後、534列車と正面衝突した。
2.事故原因調査結果について
運輸省は、信楽高原鉄道列車衝突事故の重大性に鑑み、同種事故の再発防止
を目的として、運輸行政上の観点から事故原因の究明を行った。
原因究明にあたっては、鉄道の運転ルールや遜守状況や信号保安システムの
作動状況に関する調査を中心に行った。特に、信号保安システムの機能の調査に
ついては、専門的な知識、経験を要するので、学識経験者等からなる「信楽高原鉄
道の信号保安システムに関する調査検討会」を設けて検討し、運輸省の調査結果
に反映させた。
(1) 事故の原因
事故の原因は、信楽高原鉄道が列車運行に最も重要な安全の確認に関する基本
ルールを守っていなっかったことにあると考えられる。
信楽高原鉄道は、信楽駅において出発信号が『赤』信号を継続していたことか
ら、信号保安システムを使用しない方法(代用閉塞方式)により列車運行を行
おうとしたが、この際、小野谷信号場に係員を派遣しておらず、信楽駅・小野谷信
号場間の安全確認も行っていないなど、列車運行の基本ルールを守らずに列車を
出発させたことが事故の原因である。この結果、信楽駅に向かって進行したJRか
らの乗り入れ列車と正面衝突をしたものである。
(2)事故の背景
@ 信楽高原鉄道では、事故以前においても、出発信号が『赤』信号を継続する状況で列車運行
を行っており、この際にも鉄道運転規則及び運転取扱心得に基づく取扱いが的確に行われておら
ず、運転取扱いの基本ルールが守られていない状況であった。
一方、現存する信号保安システムは、法令に基づく必要な手続きを経ずに変更が行われた物で
あり、また、信楽高原鉄道、JR西日本間において互いに関わりのある設備であることを配慮せず、
相互に十分な連絡を行われないままこの変更を行っていた。このため、信楽駅において列車を出発さ
せる際に出発信号が『赤』信号を継続する場合が生ずる事になり※、事故当日もこの状況になった
ものと考えられる。なお、このような場合にも、信号に従って列車運行を行えば、列車衝突に至る
ことは、なかったものと考えられる。
A 事故当時、ご出発検知が正常に作動しなかった原因については、何らかの理由により信号回路
が一時的に以上接続状態になったものと推測されるが、断定できない。
(3) 信楽高原鉄道、JR西日本の再発防止対策について
事故調査の結果、事故再発防止のため、以下の対策が必要である。
【信楽高原鉄道】
・列車運行にかかわる規定の尊守
・信号保安システムの工事の施工に係わる法令の尊守
・信号保安システムの工事の施工及び保守に係わる業務執行体制の確立
・技術の総括管理体制の確立
【JR西日本】
・列車運行に係わる業務執行体制の確立
・信号保安システムの工事の施工に係わる法令の尊守及び業務執行体制の点検
信楽高原鉄道列車衝突事故の原因調査結果について
平成4年12月 運輸省鉄道局
目 次
1.はじめに
2.事故概要について
3.事故原因について
3.1 事故の原因
3.2 事故の背景
(1)運転取り扱い等について
(2)列車乗り入れについて
(3)信号保安システムの機能及び工事などについて
(4)技術の統括管理体制について
4.事故当日の運転取り扱いの状況について
(1)運転取り扱い
(2)問題点
5.信号保安システムの機能等について
(1)信号保安システムの機能
(2)信号保安システムの変更工事及び障害発生時に係わる指揮命令系統の状態
(3)信号保安システムの保守作業などの状態
6.当該鉄道事業者における事故再発防止策について
1.はじめに
本調査結果は、運輸省が、信楽高原鉄道列車衝突事故の重大性に鑑み、同種事故の再発防止
を目的として、運輸行政上の観点から事故の原因の究明をおこなってきたものをとりまとめた
ものである。
今回の事故原因を究明するに当たり、運輸省は、@鉄道の運転の基本ルールである鉄道運転
規則による運転がなされていたのかどうか、A信号保安システムは正常に作動していたのかど
うか等について、当時の関係者からの聴取、信号機の作動状況及び信号工事の状況等の調査
を中心に、分析検討を行った。
特に、Aの信号保安システムの検討のうち、機能確認については、専門的な知識、経験を要す
るので、「信楽高原鉄道の信号保安システムに関する調査検討会」(委員長 正田英介東大教授)
を設けて検討を行い、その結果を受けて運輸省においてとりまとめを行った。
2.事故概要について
@発生日時平成3年5月14日(火)10時35分頃 天候晴れ
A発生場所信楽高原鉄道株式会社 信楽線
小野谷信号場〜紫香楽宮跡駅間
(起点貴生川駅より9k100m付近)
B事故種別列車衝突
C列車501D列車(3両編成)京都駅発信楽駅行
(JRからの乗り入れ列車)
534D列車(4両編成)信楽駅発貴生川駅行
(信楽高原鉄道の列車)
D死傷者数656名(死者42名 負傷者614名)
E概況 上り534D列車が信楽駅を出発しようとした際、出発信号機が「赤」信号であった
にもかかわらず、小野谷信号場との連絡体制のないまま手信号で出発10時25分頃(所定時
刻より約11分延発)出発した。
一方、貴生川駅発の下り501D列車は、10時19分頃(所定時刻より約3分延発)出発し、
小野谷信号場を通過した後、534D列車と正面衝突した。
3.事故原因について
3.1 事故の原因
事故の原因は、信楽高原鉄道が列車運行に最も重要な安全の確認に関する基本ルール※を守って
いなかったことにあると考えられる。
信楽高原鉄道では、事故当日、信楽駅の出発信号が、列車を出発させてはならない「赤」信号を継続
していたにもかかわらず、小野谷信号場に向けて534D列車を出発させている。列車を出発させ
ようとする際に、出発信号が「赤」信号を継続している場合は、鉄道運転規則では信号保安システム
を使用する「常用閉そく方式」を中止し、信号保安システムを使用しない「代用閉そく方式」による列
車運行を行うこととされており、信楽高原鉄道も、この代用閉塞方式による列車運行を行おうとし
たものと考えられる。
しかし、この際、信楽高原鉄道では、「代用閉そく方式(指導通信式)」による列車運行を行おう
とした閉そく区間について、安全の確保のための処置を行わずに信楽駅から小野谷信号場に向けて
手信号により534D列車を出発させたものと考えられる。このため、小野谷信号場の出発信号機の
「青」信号により信楽駅に向かって進行したJR西日本から乗り入れの501D列車と正面衝突をし
たものである。
3.2 事故の背景
(1)運転取扱い等について
信楽高原鉄道では、小野谷信号場の新設による信号保安システムの変更に関する教育がほとんど
行われていなかったものと考えられる。また、係員に対する日常の教育訓練あるいは、代用閉そく方
式(指導通信式)による列車運行等の異常時の運転取扱いに関する教育訓練はほとんど行われてい
なかった。このような状況のなかで、信楽高原鉄道では、小野谷信号場の新設による信号保安シス
テムの変更後に、数回にわたり信号機の故障が、生じていたが、その際の代用閉そく方式による列車
運行に際しては、鉄道運転規則に規定されている取扱いが的確に行われていなかった。
事故当日においても、代用閉そく方式による列車運行にあたって、信号保安システムを使用しな
いこととなっているにもかかわらず、信楽高原鉄道では信号保安システムの一部となっている誤出
発検知が作動するものとして、列車を出発させたのではないかと推測されるなど、運転取扱いの基本
から逸脱した取り扱いを行っていた。
また、故障の発生等異常があった場合に通常行われるべき関係者に対する注意喚起を行うことも
なく、故障などの際に必要な行政機関への報告も行っていないなど、信楽高原鉄道の日常の安全管理
体制や事故防止への取り組みの姿勢には大きな問題があったと考えられる。さらに、列車運行に係わ
る指揮系統も乱れていたことから、責任の所在が不明確となっており、確実に業務が遂行されていな
かった。
こうした信楽高原鉄道の体質が事故を引き起こす大きな誘因となったものと考えられる。
一方、JR西日本においても、亀山CTCセンター・貴生川駅と信楽高原鉄道との連絡体制が、周知徹
底されていなかった。
(2)列車の乗り入れについて
信楽高原鉄道は、JR西日本から乗り入れの列車について、JR西日本の車両及び乗務員を借りるこ
ととし、列車運行に際しては、信楽高原鉄道が定めた運転取扱いによることとして両鉄道事業者間で協
定を締結している。この協定そのものについては特段の不備はなかったが、乗入れにあたっての係員の
教育については、信楽高原鉄道はほとんど行っておらず、JR西日本も十分でない点が見受けられ、ま
た、両鉄道事業者間及びそれぞれの社内における打ち合わせについても十分とはいいがたい状況で
あったと考えられる。
(3)信号保安システムの機能及び工事等について
「信楽高原鉄道の信号保安システムに関する調査検討会」及び運輸省の調査によると、以下の通りである。
@ 信号保安システムの機能
ア.現存する信号保安システムにおいて、事故に関して究明の対象とした信楽駅及び小野谷信号場の
出発信号機並びに信楽駅の誤出発検知は正常に作動するものであり、信号保安システムそのものに起
因して、列車同士の衝突に至る要因はなかったものと考えられる。
イ.現存する信号保安システムは、小野谷信号場の場内信号機の自動制御条件等の変更や亀山CTC
センターの方向優先てこの設置を、法令に基づく必要な手続きを経ずに行ったものである。
信楽高原鉄道が、完成検査を受けた直後に法令に基づく必要な手続きを経ずに行った自動制御条件
の変更により、一定の状況のもとで、信楽駅から列車を出発させる際に出発信号機が「青」信号とな
らない場合があり得るが、事故当日もこの状態であったものと推定される。
事故当日の運転状況で、信楽高原鉄道による自動制御条件の変更がなかった場合には、方向優先て
こを取り扱ったとしても、列車は「青」信号で信楽駅を出発することができ、小野谷信号場で対向列
車と行き違うことができたものと推定される。また、JR西日本による方向優先てこの設置がなかっ
た場合にも、同様に列車は「青」信号で信楽駅を出発することができ、小野谷信号場で対向列車と行
き違うことができたものと推定される。
ウ.誤出発検知が、事故当時正常に作動しなかった原因については、何らかの理由により信号回路が
一時的に異常接続状態にあったものと推定されるが、断定できない。
A 信号保安システムの工事等
信楽高原鉄道は、当初設置した信号保安システムについて、指定検査機関による工事の完成検査
を受けた直後に基づく必要な手続きを経ずに自動制御条件を変更していた。また、JR西日本は、貴
生川・小野谷信号場間の運転方向を下りに固定する方向優先てこの設置を法令に基づく必要な手続き
を経ずに実施していた。両事業者とも、法令に基づく必要な手続きを経ずに運転保安の根幹に係わる
信号保安システムの変更を実施しており、社内の連絡・チェック体制に不備があったものと考えられる。
なお、信楽高原鉄道は、信号保安システムの具体的な設計・施工を信号関係の会社に委託して行った
ものであるが、設計・施工の内容について部内及びこれらの会社との打合せが十分に行われていなかっ
たと考えられる。また、JR西日本は、方向優先てこを設置するにあたり、その旨を信楽高原鉄道側の
信号関係の会社に連絡したとの認識を持っているものの、この会社としてはそのような連絡を受けたと
の認識はなく、図面、文書等による確認についても行われていないことから、十分な連絡や確認が行わ
れているとはいいがたい状況であったものと考えられる。一方、信楽高原鉄道においても、貴生川駅の
信号機の取扱いをJR西日本に委託しているにもかかわらず、自動制御条件等を変更するにあたり、
JR西日本に対して連絡を行っていなかった。
その結果、信楽高原鉄道と設計・施工を委託した会社との間、さらに信楽高原鉄道とJR西日本との
間において、信号保安システムの機能等について十分な共通の認識を持っていなかったものと考えられる。
(4) 技術の統括管理体制について
信楽高原鉄道の鉄道主任技術者は、名目上の鉄道主任技術者であり列車の運行に直接関係する運転取
扱心得の変更や信号保安システムの自動制御条件の変更等に関与していなかった。
続きは後日必ずやりたい。これは10年ほど前ある人からもらったもので原紙は
感熱紙なので文字が読みづらい。パソコンで転載したものをUPします。
どうせうpするなら全文にしてよ。
中途半端は面倒だし、長文でスレの流れを止める回数が増えてしまう。
431 :
名無しでGO!:03/01/26 22:43 ID:gwFU9E4s
ageますた
432 :
名無しでGO!:03/01/27 21:32 ID:uoWIjDez
新スレが立ってるじゃん。
433 :
1:03/01/27 21:50 ID:bvcXbp44
いまたっているver2の新スレは偽者のようです。
こちらで続けてくださいな。
434 :
1:03/01/27 21:53 ID:bvcXbp44
a
ウソ〜
436 :
名無しでGO!:03/01/28 01:02 ID:swWB74dD
桜木町事故で炎上する63系を記録した映像って現存するのだろうか?
東電の当時のPR資料に炎上車両のカラースライドがあったから、
これがどっかに残ってるのでは?電気火災の怖さのPRスライド
だった。
438 :
名無しでGO!:03/01/28 15:17 ID:F3pTLKdw
>>436 いくらなんでも動画では残っていないだろう。
あったとしたらチェチェン首切り動画が霞むくらいの残虐映像間違い無しだな。
>438 当時、ハンディーカメラなんて無かったはずだから「動画」
は無理。
「スライド」は高架下から撮ったカラーだった。エメラルドグリー
ンの怪しげな炎だった。銅イオンの炎色反応かな。
440 :
名無しでGO!:03/01/29 00:02 ID:eT73iczb
>>439 ウソつけ(w。ハンディーがなかったら、どうやって米軍はヒロシマを撮ったのさ。
たしかあれは高架上で炎上する2輌の電車の短い動画はあったのでは?。新聞社?
が側面から撮ったようなアングルで、よく出るスチルの写真と同じアングルだった
気が。これはチョトうろ覚えでスマソだが。
>>440 >ハンディーがなかったら、どうやって米軍はヒロシマを撮ったのさ。
アレは今の常識で言う『ハンディ-』では決してないと思われ。
身長2メ-トルの屈強な米兵にはハンディ-かもしれんが(w
>>429のつづき
4.事故当日の運転取扱いの状況について
(1)運転取扱い
平成3年5月14日、信楽駅においては、10時14分発の534D列車を出発させるため出発信号を「青」信号に
しようとしたが「青」信号にはならず、「赤」信号のままの状態となった。
信楽高原鉄道においては、この状態で代用閉そく方式により列車運行を行おうとしたが、信楽駅を出発した534D
列車と貴生川駅を出発した501D列車は、10時35分頃に正面衝突した。
この間における運転取扱いにおいて、本事故に直接関係する事実関係については、以下の通りであったものと考えられる。
* 亀山CTCセンターの指令員は、9時42分頃、531D列車を出発させるため貴生川駅の出発信号機を「青」信号にした。また、9時51分頃、方向優先てこを「入」にした。
* 531D列車は、9時46分頃に貴生川駅を出発し(所定出発時刻9時44分のところを約2分延発)、10時10分頃に信楽駅に到着(所定到着時刻10時7分のところ約3分延着)した。
* 信楽駅長は、10時14分発の534D列車を出発させるため、その直前に出発信号を「青」にしようとしたが「青」信号とならず、「赤」信号のままの状態となった。
* 亀山CTCセンターの指令員は、10時17分頃、501D列車(JR西日本からの乗入れ列車)を出発させるため貴生川駅の出発信号機を「青」信号にした。
* 501D列車は、10時19分頃に貴生川駅を出発(所定出発時刻10時16分のところ約3分延発)した。
* 信楽駅の業務課長は、出発信号機が「赤」信号の状態で534D列車を出発させることとし、代用閉そく方式の施工を決定した。
* 534D列車は、10時25分頃、信楽駅を代用手信号により出発(所定出発時刻10時14分のところ約11分延発)した。出発後、信楽駅の信号制御盤の誤出発検知表示灯が点灯した。
* 501D列車は、10時31分頃、小野谷信号場の場内信号機及び出発信号機「青」信号に従い進行し、信号場を通過した。
* 10時35分頃、501D列車と534D列車は正面衝突した。
(2)問題点
@事故当日の運転取扱い
信楽高原鉄道は、信楽駅の出発信号が「赤」信号のままの状態となったことから、代用閉そく
方式により534D列車を運行しようとしたが、534D列車の出発に当たっては、「運転取扱心得」
に駅長が行うこととして定められている次の取扱いが行われていなかったものと考えられる。
・ 代用閉そく方式により列車運行を行わせる際の指導通信施工の指令、区間開通の確認及
び指導者の選定
・ 運転士に対する閉そく方式変更の通告(運転通告券を使用して通告するように定められている)
・ 指導者の選定に際しての閉そく区間の両端駅長の打合せ
・ 指導者の職氏名の記録
・ 指導者腕章の指導者への着用
代用閉そく方式により列車運行を行う際の最も重要な運転取扱いは、閉そく区間に他の列車が
運行されていないことを確認することであるが、これを行わなかったことは、安全を無視したものと
言わざるを得ない。
このように、列車の運行の安全の確保に最も重要になる閉そくの取扱いが、運転取扱い心得に
規定されているとおりに行われなかったことが、本事故の直接原因となったものと考えられる。
A列車運行に係わる指揮命令系統
列車運行に係わる指揮命令系統は、運転取扱心得によって規定されているが、実際の運転取
扱の業務では、定められていた指揮命令系統が全く無視された状態で行われていたと考えられる。
特に代用閉そく方式により列車運行を行うにあたり、運転取扱心得において、駅長が閉そく方式の
変更の指令や関係者に対する指示を行うこととされているにもかかわらず、指揮命令系統に位置
づけられていない業務課長が、これを行っていたと考えられる。さらに、閉そく区間の安全を確認
せずに、業務課長が独自に判断をして、指導者の選定や列車の出発の指示等重要な運転取扱
いを命じていたと考えられる。
また、運転取扱心得の規定によると、鉄道部長が閉そくの取扱い者を選定することとなるが、実
際には鉄道部長が配置されておらず、代用閉そく方式による列車運行を行うに際しても、小野谷
信号場の閉そく取扱者の指定が行われていなかった。
5.信号保安システムの機能等について
(1) 信号保安システムの機能
ア.信号保安システムの機能概要
信楽高原鉄道は、「貴生川駅・小野谷信号場間」と「小野谷信号場・信楽駅間」をそれぞれひとつ
の閉そく区間とし、貴生川駅、小野谷信号場及び信楽駅の各構内に軌道回路と呼ばれる列車検知
装置を設け、自動的にその閉そく区間内の列車の有無を検知して、閉そく区間内に列車が存在す
る間は、他の列車が閉そく区間に進入することができないように信号機を「赤」信号とする「特殊自
動閉そく式」の信号保安システムを設けていた。
この「特殊自動閉そく式」の信号保安システムを使用しているときに、列車が「赤」信号にもかかわ
らず誤って駅から出発した場合には、自動的に「誤出発検知」が働き、反対側の駅から列車が出発
しないよう出発信号機を「赤」信号にする仕組みになっている。
イ.「信楽高原鉄道の信号保安システムに関する調査検討会」の調査検討内容
・ 信楽高原鉄道の信号保安システムは、フェールセーフ性をそこなうことなく正常に作動することを、
設計内容の調査及び現地調査により確認した。
このため、信号保安システムそのものに起因して、列車同士の衝突に至る要因はなかった。
・ 特殊自動閉そく装置を採用している他の鉄道事業者においても、同装置のフェールセーフ性をそ
こなうような故障の発生は見受けられなかった。
・ 法令に基づく諸手続済の信号保安システムの機能と現存する信号保安システムの機能は、次表
のように相違したものであった。
┌───────┬────────────────┬─────────────────┐
| 項 目 | 諸手続済の信号保安システムの機能| 現存する信号保安システムの機能 |
├───┬───┼────────────────┼─────────────────┤
|場内信|小野谷|貴生川駅・小野谷信号場間の下り接近| 貴生川駅・小野谷信号場間の下り「運転|
|号機の|信号場|検知点に列車が進行することにより、 |方向」が設定されることにより、下り場内|
|自動制| |下り場内信号機は「黄・黄」信号となる。|信号機は「黄・黄」信号となる。 |
|御条件| |上り場内信号機についても同様である。|上り場内信号機についても同様である。|
| ├───┼────────────────┼─────────────────┤
| |信楽駅|小野谷信号場・信楽駅間の下り接近検|小野谷信号場・信楽駅間の下り「運転方|
| | |知点に列車が進入することにより、場 |向」が設定されることにより、場内信号機|
| | |内信号機は「黄」となる。 |は「黄」信号となる。 |
├───┴───┼────────────────┼─────────────────┤
|方向優先てこ |────────────────|JR西日本の亀山CTCセンターに「方向 |
| |────────────────|優先てこ」が設置され、これを「入」にする|
| |────────────────|ことにより、あらかじめ貴生川駅の信号を|
| |────────────────|「青」信号にすることによって下りに設定さ|
| |────────────────|れている貴生川・小野谷信号場間の「運 |
| |────────────────|転方向」は、下りに固定される。 |
├───────┼────────────────┼─────────────────┤
|小野谷信号場の|「赤」、「黄・黄」、「青」信号の3種類で| 「赤」、「黄・黄」信号の2種類となっていた。|
|上り場内信号機|あった。 | |
|の信号の種類及|上り出発信号の進路が開通していると| 左記の上り出発信号との連動関係はな|
|び上り出発信号|き、上り場内信号機の進路が開通して|かった。 |
|機との連動関係| いれば、上り出発信号機の進路を取| |
| |り消すことができない、連動関係があ| |
| |った。 | |
└───────┴────────────────┴─────────────────┘
・方向優先てこを「入」にした状態で下り列車が貴生川駅から信楽駅に向って進行した場合には、小野谷
信号場を通過した後も貴生川駅・小野谷信号場間の運転方向は下りに固定される。この状態で列車がさ
らに進行し、信楽駅についても、現存する信号保安システムにおいては、自動制御条件等の作用により小
野谷信号場・信楽駅間の運行方向は下りに固定される。この場合、信楽駅において出発信号機を取り扱っ
たとしても「青」信号とならない状況となる。
・事故当時、列車が信楽駅を「赤」信号で出発した際、誤出発検知が設けられているにもかかわらず、小
野谷信号場の下り出発信号機が「青」信号であったが、これについては、設計内容の調査では起こり得
ないことを確認し、現地調査でも再現しなかった。
(2) 信号保安システムの変更工事及び障害発生時に係る指揮命令系統の状態
・ 信楽高原鉄道では、自動制御条件等の変更にあたって、本来施設課長が行うべき業務を
業務課長が行っているなど、指揮命令系統が乱れており、責任の所在が不明確となっていた。
また、法令に基づく手続きを経ず工事を施工していた。さらに、信号の障害発生時に定められ
ている連絡を関係箇所に対して行っていなかったなど連絡・チェック体制が」確立されていなかった。
・ JR西日本では、方向優先てこを設置するにあたって法令に基づく必要な手続きが行われて
おらず、部内の連絡・チェック体制の不備があった。
(3) 信号保安システムの保守作業等の状態
・ 信楽高原鉄道は、特殊自動閉そく方式の導入に伴う「信号保安装置整備の心得」の改正を
行っておらず、また、保守作業に係る保全会社との外注契約が結ばれていないなど、保守の実
施体制が確立していなかった。
6.当該鉄道事業者における事故再発防止対策について
事故原因調査の結果、信楽高原鉄道は、列車運行に最も重要な安全確保に対する基本ルール
を守っておらず、運転取扱の基本から逸脱した取扱いを行っており、列車運行に係る規定が遵守
されていなかった。
また、信楽高原鉄道は信号保安システムの変更にあたって、工事に係る指揮命令系統の乱れ
から責任の所在が不明確となっており、関係者との十分な打合せや法令に基づく必要な手続きも
行われておらず、工事の施工に係る的確な業務の実施体制が確立されていなかった。
一方、JR西日本は、運転取扱いに係わる信楽高原鉄道との間の連絡体制が周知徹底されてお
らず、信号保安システムの変更にあたっても、信楽高原鉄道に十分な連絡・確認を行っていなかっ
たと考えられる。また、この変更にあたっての法令に基づく必要な手続きも行われていなかった。
本事故の再発防止のため、以下の対策が必要である。
【信楽高原鉄道】
1.列車運行に係る規定の遵守
・運転取扱いに関する教育訓練の徹底
・異常時の運転取扱いの作業手順マニュアルやチェックリストの整備
・列車運行に係る指揮命令系統の確立
・信号保安システムの障害発生時における運転取扱者と障害点検復旧作業者との連絡体制の明確化
2.信号保安システムの工事の施工に係る法令の遵守
・工事の施工に係る法令に基づく必要な諸手続きの連絡・チェック体制の確立
3.信号保安システムの工事の施工及び保守に係る業務体制の確立
・工事の施工に係る指揮命令系統の確立及び関係箇所との打合せの責任の明確化
・保守の実施体制の整備
4.技術の統括管理体制の確立
・安全の確保に関する技術上の事項の総括管理者として適切な鉄道主任者の選任
【JR西日本】
1.列車運行に係る業務執行体制の確立
・乗入れに関する事業者間での運転扱いに係る体制の周知徹底
2.信号保安システムの工事の施工に係る法令の遵守及び執行体制の点検
・工事の施工に係る法令に基づく必要な諸手続きの連絡・チェック体制の点検
・工事の施工に係る関係箇所との連絡・確認体制の点検
>>419注※
方向優先てこ(JR西日本が無認可で工事)を「入」にした状態で下り列車が貴生川駅
から信楽駅に向かって進行した場合には、小野谷信号場を通過した後も貴生川・小野谷信号
場間の運転方向は下りに固定される。この状態で列車がさらに進行し、信楽駅についても、現
存する信号保安システムにおいては、自動制御条件等の作用により小野谷信号場・信楽駅間
の運転方向は下りに固定される。この場合、信楽駅において出発信号機を取り扱ったとしても
「青」信号とならない状況になる。
>>424※
鉄道運転規則における列車運行の基本ルール
鉄道運転規則では、常用閉塞方式、代用閉塞方式の如何を問わず、一つの閉塞区間(信楽高
原鉄道の場合、信楽駅〜小野谷信号場間は一つの閉塞区間)に一つの列車を運行することによ
って安全を確保することになっている。
列車が常用閉塞方式により運行されている場合には、信号保安システムによって閉塞区間の
安全は確保されているが、代用閉塞方式では、信号保安システムによらず、他の方法により閉塞
区間の安全を確保しなければならない。
>>430 すまん。今回で前文入力することができた。
これを読んで思ったことは運輸省が事故の隠蔽をやっているように思う。
信楽高原鉄道の職員に氏者が多いのでSKRの職員がやったように考えられる
という文体がやたら多い。
また、
>>442で9時51分に方向優先てこを入れたとあるが、信楽駅から列車が
出発するまでに方向優先てこのスイッチを切ったとはかかれていない。
ということは方向優先てこが入れっぱなしだったので信楽駅の信号が「赤」
となり誤出発装置も優先てこで作動しなかったと思う。
これでJR西日本に事故の責任がないとはおかしい。