不正乗車防止の取り組み
自動改札機を活用した新たな対策を実施
・平成15年度から自動改札機を活用した新たな不正乗車防止対策を実施する
・自動改札機の設置箇所を増やすとともに、有人通路には改札ゲートを設置する
・お客様にきっぷを正しく買っていただくためのキャンペーンを実施している
東海鉄道事業本部運輸営業部管理課長
西●●●
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不正乗車は見過ごすことができない問題
在来線では、平成15年度から自動改札機を利用した、新たな不正乗車防止対策を実
施します。きっぷを正しく買わない不正乗車の存在は、収入の確保において大きな障
害となるだけでなく、お客様への公平を欠くことにもなるため、見過ごすことのでき
ない問題です。従来、車内や駅では『きっぷは正しくお買い求めください』と呼び掛
けてきましたが、こうした方法のも限界があり、より効果のある新たな手法をソフ
ト・ハードの両面から検討してきました。
これまで中抜き不正、いわゆるキセル乗車は、乗車時も降車時もきっぷが正当にみ
えることから、定量的な把握が難しいといわれてきました。しかし、きっぷの発売枚
数と回収枚数の関係や、出場時のきっぷへの入場記録の有無、無人駅での精算件数な
ど、さまざまなデータを収集して調査分析した結果、不正の実態が少しずつ明らかに
なってきました。
例えば、名古屋駅で発売される名古屋〜尾頭橋間だけに有効な140円の近距離き
っぷは、平日1日で約2000枚発売されていますが、約8割に相当する1600枚
が回収されていません。これを1年間の発売枚数に換算すると、70万枚が未回収とな
ります。また、隣り合った駅間の回数券は平均3割、特に名古屋〜金山間の回数券は
6割が、何らかの形で正当でない使われ方をしていることも分かりました。
不正乗車の取扱件数は、13年度には東海鉄道事業本部管内で250件を超え、
中には悪質な不正乗車のため高額な増運賃をお支払いいただいた事例もあります。
例えば、中央本線で連続しない2枚の定期券を使い、1年半以上キセル乗車を繰り返
していたケースでは、増運賃を含めた請求額が約400万円となりました。
自動改札機で不正乗車を判定
不正乗車防止に向けた取り組みとしては、これまで乗車券類の磁気化をはじめ、入場
券を出札窓口での発売に限定したり、その有効時間を2時間以内とするなど、さまざ
まな対策をとってきました。その結果、きっぷの改ざんや入場券を使った不正乗車は
確実に減少してきました。
そして、今回新たに実施する対策では、自動改札機の設置箇所を増やすとともに、
正しい入場記録がないと出場できないよう自動改札機の機能を改良し、いっそうの不正防
止を図ることとしました。これらの対策により、連続しない複数の定期券や回数券を
使用したり、近距離きっぷと定期券を併用した中抜きによる不正乗車が防止できます。
ただし、この判定をするには、お客様に確実に自動改札機をご利用いただくことが
重要なポイントとなります。そこで、まず近距離きっぷと定期券、あるいは定期券と
回数券など複数の乗車券類を併用されるお客様のために、広い範囲の駅で複数枚対応
型の自動改札機を導入することとしました。この自動改札機は、11年度から導入を始め
た当社では2世代目の機種であり、複数のきっぷを同時に判定できる特徴を持ってい
ます。また、有人通路には改札ゲートを設置し、無人駅からの精算や磁気化されてい
ない一部のきっぷなどをお持ちの時以外は、有人通路の通行をご遠慮いただくこととし
ました(図)。さらに、改札担当者にはエンコードチェッカーを用意し、きっぷの磁気
情報が分かるようにしています。
このように駅の改札設備を改良することにより、改札では券面情報の確認に加え、
そのきっぷの使われ方にまで踏み込めるよう
になるなど、より高度な判定が可能となりま
す。
さらに、有人通路のご利用が減少するに
従い、改札担当者はお客様に対して、よ
り多くのサービスや情報の提供ができるな
ど、業務全体の質の向上を図ることができ
ます。
重要なのはお客様にご理解いただくための取り組み
自動改札機による不正判定機能が有効に使用されることは本来あるべき姿ではなく、
お客様にきっぷを正しく買っていただくことこそ重視すべきであることはいうまでも
ありません。
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名無しでGO!:02/11/17 14:19 ID:S87dmfRX
そこで、お客様に今回の施策の趣旨をご理解いただくための事前キャンペーンを実
施しています。キャンペーンでは、きっぷを正しく目的地まで買っていただくこと、
不正乗車の場合には高額な増運賃をお支払いいただかなければならないこと、自動改
札機で入場していないきっぷは自動改札機で出場できない場合があることなどを、ポ
スターや車内広告、きっぷの裏面などを利用し、広い範囲で継続的に呼びかけていき
ます。
不正乗車の判定は、改札設備が整えばより目に見える形となって現れるようになり
ます。こうしたハードウェアによる厳正な判定は、接客というソフトウェアが整って
こそ効果が上がるものです。つまり、どの駅でも「おはようございます」、「ありがとう
ございます」の声が日頃からお客様に届いているからこそ、「きっぷは正しく目的地
までお買い求めください」「キセル乗車は固くお断りします」という厳正な態度が受け入
れられるといえます。
今後、駅での改札設備の向上とともに、お客様から評価していただけるよう、サー
ビスレベルのさらなる向上に取り組んでいきます。