←←ええ架空鉄道。part 3 →→

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847禾重木寸先生の湘南急行靈鐵同乗紀
ごぶさたしている京浜急行に乗ってみたくなり、電車を乗り継いで品川へ。
ここまで来たのだからアンナミラーズ品川高輪店に敬意を表しておく。
ヤングは制服ばかり見ている由、由々しき事態である。
妻の好きなチェリーパイを見つけ、売上に貢献して京急品川駅に向かう。
切符に入っている時刻が5分遅れている。修正するよう駅員に進言しておく。
さて改札から中を覗けばちょうど最新型の弐仟壱佰式が停まっているではないか。
あれうれしやと駆け込むと、
「待テ」
と都市迷彩(灰色)の駅員に肩を掴まれた。
「貴様、此ハ畏レ多クモ翔宮殿下ノ御汽車デ有ル。
 タレノ許可ヲ得テ拝見為テ居ルカ。所属トー姓名ヲー名乗レ」
おやおや、往年の国鉄職員よりも横柄ではないか。
普段なら怒鳴りつけるところだが、乗り遅れては目も当てられないので
ぐっとこらえて切符を見せておくとしよう。
「何ダ此ノ可笑シナ切符ハ。京浜急行トハー何カ。貴様ー何故此様ナ物ヲ偽造為タカ」
ヤングらしい平板アクセントでまるで軍人口調ではないか。
「追ツテ理事会ニー掛ケル。覚悟ーシテオレ」
848禾重木寸先生の湘南急行靈鐵同乗紀:01/12/22 00:32 ID:yxP4A5QM
こんな駅員に絡まれてはかなわない。
ここは調子を合わせて乗り切った方が賢明だ。
「はっ!覚悟しておくであります!」
「馬鹿ニ為テ居ルノカ、貴様。質問ニー答エロ」
おやまあ、僕の脇腹に自動小銃が突きつけられているではないか。
いくら物騒な世の中でも駅員がモデルガンを抱えているのはいかがなものか。
そもそもこのような用い方は銃刀法違反である由。
さすがの温厚な僕も思わず一喝。
途端に強烈な平手打ちを食らい、立っていられなかったことである。
これはいただけない。喋っている時に殴られると舌を噛んでしまうではないか。
旧日本軍に憧れるのは構わないけれど、最低限の基本も知らないとはいただけない。
続けてなんと、引上げ線の列車砲から白煙が上がったではないか。
僕はひとたまりもなく吹き飛ばされてしまったことである。
人一人撃つのに列車砲を使うとはまったくぞっとしない。
駅舎の壁が吹き飛んでしまい、他の利用客に迷惑をかけることになりかねない。
僕を誰何していた駅員も巻き添えで首と胴がさようならしてしまったではないか。
かわいそうに。こんなことで犬死してはまったくやりきれない。冥福を祈るや切。
それに高価な兵器の無駄遣いが経営を圧迫しては由々しきことである。
今後はサーベルや小火器を積極的に利用するよう、苦言を呈しておく。
次第に意識がもそもそと薄らいでいく。
そのまま僕は二度と目覚めなかったことである。