装着変身SERIES 89

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47ぼくらはトイ名無しキッズ
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「わわわわたくし、お花を摘んできますわ!」
耳まで赤くなったフローラはそう叫ぶと、道を外れて走り出す。
街道から茂みまでは、この上なく遠かった。
背中に夫とその仲間たちの視線を感じ、フローラはなだらかな土手を駆け下りた。
(あああどうしましょう。よりにもよって花を摘むだなんて最低の修辞的表現を!
しかもおならの音まで聞かれてしまったわ!もう恥ずかしくてあの人に顔向けでき)

どてぶぴゅ

「あ、転んだ」
黒髪の青年は、新妻がロングスカートの裾を踏んで無様に転ぶのを見て、
慌てて駆け寄ろうとした。
「来ないで!来ないでくださいいぃぃぃっ!!」
しかしフローラはがばと起き上がると、茂みに文字通り転がり込んで彼らの視界から消えた。
呆然と佇む主人に、キラーパンサーがどこか慰めるような仕草ですり寄った。