【販促】ミニ四駆 創作総合スレ【妄想】

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365ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/11/27(火) 00:07:14 ID:4F35w2V40
まぁ、探せばまともなのも少しはあるだろうけど、恐らくWEB上を彷徨ったほうが効率が良いと思われ。

大体、ああいう個人を特定しやすい集団の中で書いてたら、良い意味でも悪い意味でも、批判したコメントをくれる人が少ないのわかるだろ?
そういう環境で書いてるってことは、意識的にしろ無意識的にしろ、”批判的なコメント”を避けている可能性が高いってこと。

もし、本気で小説に取り組んでるなら、ブログ借りるなり同人誌出すなりして、適切な批評を得られる環境に自ら飛び込んでいくだろ?(同人誌は兎も角、ブログとかならタダでいくらでも借りれる時代なんだし)
それをやらないって事は、つまりそういうこと。
だから、余程の才がない限り、若気の至りを垂れ流しって事になる。

別に、書きたいなら書いてりゃ良いとは思うけど。
そして俺も思う。職人マダー!!
366ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/11/27(火) 19:43:26 ID:mxv+1eTE0
>>365
深いこと考えずに丁度いいから妄想でも垂れ流してみるかと、ヨンクラで書いているんだが。
確かに言う通りだね。
息抜きのつもりだったんだけど、ちょっと反省。
でも、ミニ四駆という同じ趣味で集まってる場所だから、ブログなどよりは同好の士が見つかりやすいんじゃないかと思ったり。
ブログやったことないので、想像で言ってます。ご勘弁を。

話は変わって、ヨンクラで垂れ流しつつ、続くかどうかも判らない奴でよければ投下しますが。
どうでしょうかね?
367ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/11/28(水) 00:03:40 ID:1kUs4cM60
>>366
なんか、角立てるような言い方しちゃって済まない。
別に、気楽に書く事が悪い事だと言いたいんじゃなくて、読み手側のちょっと身勝手な見方だからあまり気にせんでくれwww

あと、投下キボン
368ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/11/28(水) 20:10:24 ID:ICDDhjHS0
>>367
いやいや、こっちは気にしてないので。
長文を投下するのは初めてだから、ちょっと緊張。タイトルは未定ですが、宜しく。

第一話「新たなる隼」

 僅かな冷気を乗せた春の風が、住宅街を軽く吹き抜ける。公園では子供たちが遊具を使って遊んでいるのが見て取れた。
 現在、春休みの真っ只中。公園で遊ぶ同年代の子供達を横目に、一人の少年が息を切らせながら駆け抜ける。少年の名はハヤタ。高峰隼太。春休みが終われば小学四年生だ。
 ハヤタは公園を抜け、余り車の来ない道を突き進む。分かれ道があるごとにグネグネと曲がり、ようやく目的地に辿り着いた。
「タカヤ兄ちゃーん、来たよー!」
 無遠慮に玄関をノックする音が響く。反応が無い。次はインターホンを妙なテンポで鳴らし続けて遊んでみる。すると、重たそうにドアが開いた。
「ハヤタ〜、誰も来いなんて言った覚えはないぞ?」
 開口一番、ドアから顔を出した青年がうんざりとした表情で言う。
「今日、お母さんがパートで遅くなるんだ。だから、従兄弟のタカヤ兄ちゃんの所にいなさいってさ」
 ハヤタはニシシと得意げに白い歯を見せ、悪びれた様子もない。タカヤと呼ばれた青年は、軽く目を丸くした。
「おいおい、俺はそんなこと聞いてないぞ?」
「でも、兄ちゃんのおばちゃんには連絡してるって」
「……ほんとかよ。ったく、母さんも買い物に出かける前に言えよ……まあいいや、上がっていいぞ」
「やったー、お邪魔しまーす」
 そんなやり取りを交わした後、タカヤはハヤタを連れて二階の自室へと向かう。ハヤタはこの従兄弟の部屋が大好きだった。
 漫画や模型やゲームなど、ハヤタの子供心を大いに刺激するアイテムが満載なのだ。今日は何で遊ぼうかと、部屋の主よりも先に入って物色し始める。
369ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/11/28(水) 20:12:03 ID:ICDDhjHS0
「勝手に弄り回して壊すなよ」
 急な来客に、慌てて大事なものを片付け出すが、そんなことはこの小さなギャングにはお構いなしだ。あれこれと手に取っては、すぐに次の獲物を探して目を光らせていた。
 ふと、タカヤの机の上においてあった一台の車の模型が目に止まる。
「おー、カッコイイ車! これなに、なに?」
「勝手に触るなってば。これは『ミニ四駆』って言うんだ。兄ちゃんがガキの頃に流行ってて、最近またブームの兆しが出てきたんだってさ。これはその最新マシンの一つで、ミニ四駆PROっていうシリーズだよ」
「走るの?」
「走るよ」
「速い?」
「セッティング次第だけど、本物の車並みになる……事もある」
 タカヤが手にするより早く、ハヤタはその小さな車、ミニ四駆を弄り始めてしまった。
「お、おいおい。それは鳥居に改造してみようと思って取っといたマシンなんだから、触るなよ」
「とりい?」
「そういう名前の改造方法。まあ、実験的にやってみようと思ってさ」
 取り返そうとするタカヤの手をすり抜け、ハヤタはまじまじとそのマシンを見る。黒光りするボディ、直線的なシルエットがとても勇ましく見える。
370ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/11/28(水) 20:12:45 ID:ICDDhjHS0
「ふーん……これ、名前あるの?」
「確か、ネオファルコンっていうらしい」
「ファルコン?」
「日本語で言うと隼、ってことにな……しまったっ」
 気づいた時にはもう遅い。ニヤーッと笑みを浮かべた小悪魔が、大事そうにそのマシン──ネオファルコンを抱きしめた。
「隼ってことは、おれの名前と同じだよね? じゃ、これがいい! これ頂戴」
「だ、駄目に決まってるだろっ。こら、返せっ。ハヤタ!」
「えー、他にも一杯持ってるんでしょー? 一個くらい、いいじゃーん」
「よくないっ。ミニ四駆PROは通常マシンと比べて、ちょっとだけ高いんだぞ!」
 タカヤは少し乱暴に、ハヤタからネオファルコンを取上げる。上目遣いに唸る少年の目には、うっすらと涙さえ滲んでいた。
 こうなる時は大体が嘘泣きなので何時もなら無視するところだが、何故か今回は徐々に本気の泣きが入ってきている。段々と鼻の辺りが赤くなり、グスグスと鳴らしだす。
 その様子に、とうとうタカヤは折れてしまった。本気で泣かれると後が面倒な上、「大学生の癖に、たかが玩具一つでケチケチしてるんじゃない」と母親の雷を食らうのが関の山。
「……わかった、わかったよ。ただし、大事にしろよな」
「くれるの!? やったーっ」
「くっそー、これだからハヤタが来る時は前もって知らせてくれって言ってるのに」
 喜ぶハヤタの隣で、タカヤはがっくりと肩を落としていた。
371ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/11/28(水) 20:13:28 ID:ICDDhjHS0
「これ、走らせてもいい?」
「うちにはサーキットがないから、止めた方がいい。どうせなら、でかいコースの方がいいだろ? まだ日は高いし、タタラ模型って店にならコースが設置してあるから、一緒に行ってみるか?」
 押入れからガチャガチャと工具や小さなボックスなどを取り出しながら、タカヤが言う。
 程なくして家を出ると、二人は真っ直ぐその模型店に向かって歩き出す。町の小さな模型屋だが近所の子供達の溜まり場でもあり、駄菓子なども置いている為、ハヤタも何度か訪れた事がある。
 暫く雑談をしながら歩いていると、すぐに目的のタタラ模型に到着した。
 常連客なのか、タカヤが軽く挨拶をすると店主も気軽に挨拶を返してくる。二言三言言葉を交わし、タカヤとハヤタは店の奥の方へと歩いていく。
 その奥の部屋に、コースはあった。部屋自体は少し狭いが、バンクありテーブルトップありと、中々難易度の高そうなコースが待ち構えている。そして運のいい事に、今は二人以外は誰もいない。ハヤタは嬉々としてネオファルコンのスイッチを入れた。……が、動かない。
「……タカヤ兄ちゃん。これ壊れてるよ」
「アホ。電池入れなきゃ動くわけないだろ……ほら」
「へへ、ありがとうっ」
 予想していましたと言わんばかりに、タカヤはポケットから単三電池を二本取り出してハヤタに手渡す。しかし、今度はマシンの開け方がわからない。
 するとタカヤは、これも予想していましたというようにネオファルコンを取上げ、慣れた手つきでボディを外し、電池を組み込んで再びボディを取り付けてしまう。
「これで、一応走らせられるぞ」
「やった、ありがとうタカヤ兄ちゃん!」
「マシンの扱い方は後で教えてやるから、とりあえず一回走らせてみな」
 その言葉が終わる前に、ハヤタはスイッチを入れる。シャーッという軽快な音と共にタイヤが回転を始め、恐る恐る、マシンをコースの上で走らせた。
372ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/11/28(水) 20:15:06 ID:ICDDhjHS0
 バンクで多少もたつくものの、概ね滑らかにコースをクリアしていくネオファルコンに、ハヤタは「凄い凄い」と興奮していた。しかし、思ったよりもスピードが出ていないことにすぐに気付く。
「タカヤ兄ちゃん、これ遅くない?」
「まあな。それ素組みのままだから、今は大して速くないよ」
「今は?」
「これからの、ハヤタのセッティング次第ってことさ」
 そう言って、タカヤはネオファルコンをコースから出してスイッチを切ってしまった。それからハヤタの方に振り返り、意味深な笑みを浮かべる。
「まずは、マシンの基本的な構造から教えてやるよ」

 それから暫く、ハヤタは簡単なミニ四駆講座受け、更にタカヤが持ってきた使い古しのグレードアップパーツをその小さなボックスごと貰って、独自のセッティングを試みた。
 日が傾き、子供達が帰路につき始める頃。ようやくハヤタのマシンが完成した。
 お世辞にも改造と呼べるような代物ではないが、FRPプレートやローラーなどといったパーツでしっかりと補強され、付属のモーターではない、レブチューンモーターPROを装備したネオファルコンは最初とは目に見えて速くなっていた。
 テスト走行が終わる頃、陽は随分と西に傾いていて、ビルの谷間からほんの少しだけ顔を出している程度にまで暮れている。
 タカヤが今日はここまでと切り上げ、二人は模型店を後にした。ハヤタは初めてのミニ四駆体験に、突き上げてくるような高揚感を抑え切れそうにない。
 そしてその日はずっと、ネオファルコンを次に走らせられる時に思いを馳せていた。

 これが、ハヤタとネオファルコンとの出会いであり、彼のミニ四駆人生の始まりだった。

とりあえず、以上です。二話目もありますが、連投しすぎるのもあれなので。また後日。
373ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/12/01(土) 18:11:32 ID:MKM86sJk0
タミヤ、コンテスト最優秀作品のミニ四駆を製品化
http://news.ameba.jp/domestic/2007/12/9018.html
374ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/12/05(水) 23:17:05 ID:1dI11Q/dO
ヤタベから全日本見た後、ト○トン逝ったら、ミニ四駆コースに大勢が。
彼女曰く、ミニ四駆やっている人って見た目からモロオタクだよね、だと。
改めて確認した。
ちなみにオレはミニ四駆など知らんが。
OFFコースでスコーピオンやアルティマなど
旧車が走ってるのはいい眺めだった。
375ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/12/25(火) 11:21:57 ID:ae+3nmDv0
最近ミニ四駆おいてあるおもちゃ屋さん少ないね・・・

トイざらすにも置いてなかった。
376ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/12/30(日) 05:26:21 ID:oIQRP0DK0
■ホンマン陣営がルール変更を要求してヒョードル側が受け入れていたことが判明

ヒョードル対ホンマンはハンディ戦???
http://gameandmma.blog29.fc2.com/page-3.html

 谷川氏の「ヒョードルの相手はK1から出す」発言で真実味を帯びてきた
ヒョードルvsホンマン戦ですが、一方Fightnetworkではルール変更の可能性が報じられています。
Cox confirmed Emelianenko will likely face 7-foot-2, 360-pound Korean
giant Hong Man Choi (1-0) on New Year’s Eve at the “Yarennoka” event emanating
from the Super Saitama Arena in Saitama, Japan.Choi was eliminated by Jerome
LeBanner during the quarter-final round of this weekend’s K-1 2007 World Grand
Prix Finals in Yokohama, Japan, but was otherwise remained unscathed following the
unanimous decision.Choi’s representatives are currently presenting rule
changes for the open-weight bout that must be approved by Emelianenko’s side, according to Cox.
 コックスは埼玉スーパーアリーナで行われる大晦日やれんのか!のイベントに
おいて、エメリヤエンコはおそらく7フィート2インチ、380ポンドの韓国の巨人チェ・ホンマン
と戦うことになるだろうと認めました。ホンマンは今週末横浜で行われたK1ワールド
グランプリ決勝戦の準々決勝においてジェロム・レバンナに負けましたが、
一方大差の判定の後も無傷のままでした。ホンマンの代理人は現在、
この無差別級試合においてルールの変更を提案しており、
それはヒョードル陣営に認められるに違いないと、コックスは話しています。
http://www.thefightnetwork.com/news_detail.php?nid=5632
  
377ぼくらはトイ名無しキッズ:2007/12/30(日) 13:26:06 ID:lBznDVOuP
ミニ四駆と関係無いし〜。
378ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/02/07(木) 12:45:44 ID:hyTZAyi60
完璧すっかり忘れてたけど、これから前の続きを投下する。
また暫しお付き合いくださいな。


第二話「突き進む者」

 桜が、風に乗ってハラハラと散る様は物悲しくも美しい。そんな四月の中頃。小さな模型点の奥にあるレース場は、多くの子供たちで賑わっていた。
 割れるような歓声の中に、コースを走るマシンの音が混じる。
「よし、おれの勝ちだ!」
 自分のマシンであるネオファルコンを手に、ハヤタはガッツポーズを決めた。
 周りでは「負けたー!」「今度こそっ」「次はぼくと勝負だっ」といった子供らの声が聞こえてくる。
 春休みのある日、従兄弟の大学生である進藤鷹也──タカヤからネオファルコンを譲り受けてミニ四駆を教えてもらって以来、ハヤタは友達にミニ四駆を勧めまくった挙句、ついには自分のクラスの男子ほぼ全員に流行らせることに成功した。
 それから毎日のように、少年達はタタラ模型のコースで腕を競っている。しかもハヤタは今、クラスの中でも一、二を争うほどに速いらしい。
 最近買った超速ギヤと、タカヤに譲って貰ったお下がりのグレードアップパーツ(新品含む)のお陰だ。

「……なんだ、こりゃ」
 店の有様に、思わずタカヤは一人ごちた。その様子に、店長も苦笑するしかない様子だ。
「進藤君があの子……ハヤタ君だっけ? あの子にミニ四駆を教えて以来、徐々にこうなってきてね。今じゃ毎日がこんな騒ぎさ」
 決して迷惑そうに言うのではなく、皺のある目元を細め、何か懐かしいものを見るようにそう呟いた。
「すみません、まさかこんなことになるなんて……」
「いやいや、昔の君達を眺めているみたいでこっちまで若返った気分だよ。それにマシンにパーツに駄菓子にと、売れ行きもバッチリだ。迷惑どころか、寧ろいいお客様さ」
 申し訳無さそうなタカヤを他所に、カラカラと軽い笑い声を上げる店長。
 そこへ、一人の少年がタカヤの脇を抜けて奥に向かっていく。恐らく、彼もハヤタにミニ四駆を勧められた一人なのだろう。
「本当に、昔に戻ったみたいですね」
 かつて第二次ブームと呼ばれた、自分達が活躍していた時代を重ねるように、タカヤはその少年の背中を見つめる。
 そしてジュースを一つ買ってから、自らも奥のコースへと歩いていった。
379ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/02/07(木) 12:48:02 ID:hyTZAyi60
 お世辞にも広いとはいえない部屋には、十人を超える小学生男子がミニ四駆に熱中している。
 本日の成績は全くの負けなしのハヤタは、走らせ疲れて隅の方で休憩していた。そこへ、青いトレーナーを来た少年が歩み寄ってくる。
「おっす、ハヤタ」
「あ、シン。今来たの?」
 シンと呼ばれた少年は、白を基調としたボディのマシン、アバンテXを見せながらニヤリと笑った。
 よく見ると、多少荒いながらもマシンのボディは細かな肉抜きが施されており、ノーマルよりも随分と軽くなっている事が見て取れる。
「おお、すげー。やっぱり器用だなー、ドケチなのに」
「ドケチって言うな!」
「だってケチじゃん。お小遣いケチって殆どパーツ買わないし」
「何も考えないで、ポンポンパーツくっつけてるだけのお前と一緒にするな。ボクはちゃーんと考えてやってるんだよ」
「それって、お前がお小遣いケチる為の言い訳だろ!」
 仲がいいのか悪いのか、じゃれている二人の上に影が落ちる。驚いた二人は弾かれたように顔を上げると、そこにはハヤタにとっては見慣れた男性──タカヤが立っていた。
 小学生の中にいる大学生というのは嫌でも目立つ。突然現れた大人に、部屋の空気も微妙な緊張感が生まれていたが、タカヤは特に気にすることもなく口を開いた。
「店長に聞いたぞハヤタ。お前がミニ四駆を友達に勧めまくったんだって?」
 どこか呆れたような、それでいてどこか嬉しそうな口調でハヤタの頭をクシャクシャと撫でる。
「や、やめろよー」
 すっかり乱れた髪型を手櫛ですきながら抗議するが、その声に怒気はなく、どこか嬉しそうだ。
「全く、折角マシンの試走に来たのに、これじゃあ走らせられそうにないよ」
「タカヤ兄ちゃんも走らせるの?」
「ああ、たまにね。それより、お前のマシンの調子はどうだ?」
 先程買ったジュースを飲みながら、タカヤはハヤタの隣に座る。試走を諦めてレースを観戦するつもりらしい。
380ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/02/07(木) 12:49:02 ID:hyTZAyi60
「今日は負け無し。おれがクラスで一番速いんだぜ!」
 大声で胸を張るハヤタに対し、特に抗議の声はない。実際にハヤタのネオファルコンは速い。その分、コースアウトも多いが。
 スピードだけならば、今のところ彼に並ぶマシンは無いとハヤタは得意げに語った。
 それを聞いたタカヤは感心したように「へえ」と声を漏らす。
「なあ、ハヤタ。このお兄さん、知り合い?」
「そうだよ。おれにミニ四駆を教えてくれた、従兄弟のタカヤ兄ちゃん」
 居心地が悪そうにしているシンに対し、ハヤタはあっけらかんとした態度で返す。そこで、ようやくタカヤは自分という存在の異質に気付いた。
「そっか、突然オレみたいなのが現れたらびっくりするよな。ごめんごめん、オレはタカヤ。ハヤタが言った様に、オレ達は従兄弟同士なんだ」
「で、コイツはおれの親友のシンって言うんだ」
「はじめまして、ボクは工藤進之助って言います。えっと……シンでいいです。タカヤお兄さん」
 互いに簡単な自己紹介を済ませると、シンは少し安堵したような表情になる。同時に、タカヤの視線がシンのマシンに注がれた。
「そのマシン、シン君が自分で肉抜きしたの?」
「え、はい。そうです」
「へえ、その年でもう肉抜きやってるか。改造に自信があるんだね」
 タカヤがそう言うと、シンは照れたように頷く。
「こいつお小遣いはケチるけど、工作とかは結構得意なんだ」
「また少し肉抜きしたし、モーターもレブチューンに換えたから、今ならハヤタより速いかもね」
 シンのそのセリフに、ハヤタ思わずカチンときた。突然立ち上がり、ネオファルコンを構える。
「言ったな、それじゃあレースしようぜっ。どっちが速いか勝負だ!」
「いいぜ。ボクのアバンテXの速さ、見せてやるっ」
381ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/02/07(木) 12:51:10 ID:hyTZAyi60
 ややあって、二人はコースの前に並んだ。周りはどちらが勝つのか、その予想でにわかに騒がしい。
 だがマシンのスイッチが入ると、シャーッという音を合図に周りが静まり返る。
「レディー……」
 タカヤが、ゆっくりと手を振り上げる。自然と、マシンを持つ手に力が入る。
 一瞬、ハヤタとシンは互いに視線を交わした。親しい友だからこそ、負けたくないという強い想いが見えない炎となって、燃え上がる。
「ゴー!」
 声と共に振り下ろされた手に合わせるようにマシンを放す。するとまるで闘志という名の炎に後押しされるように、二台のマシンが勢い良く飛び出した。
「行け、ネオファルコン!」
「突き進め、アバンテX!」
 JCJCを組み合わせて作られたコースを、二台のマシンが走り出す。まず最初のストレートは軽量化を施されたアバンテXが、力強い加速力に物を言わせて先行する。
 超速ギヤとレブチューンを組み合わせているハヤタのネオファルコンは立ち上がりが遅れ、中々スピードに乗れずにいる。そしてそのまますぐに最初のコーナー、そして次に待ち構えているウェーブセクションへと突入していく。
 このコーナーではタカヤに貰ったパーツと立ち上がりの遅れが幸いして、スピードを殆ど落とすことなくスムーズにクリアしていく。
 逆にアバンテXは加速こそよかったものの、ローラー類はキットについてきた付属品のまま。安定した走りで確実にコーナーを抜ける事は出来るが、ネオファルコンに差をつけることは出来なかった。
 序盤の連続コーナーセクションを抜けた後、レーンチェンジを抜けてテーブルトップに入る。アバンテXは立ち上がりの良さを武器に、一気に駆け抜けていく。
 ネオファルコンはレーンチェンジ直後のテーブルトップの坂で多少もたついたものの、グングンと追い上げて来ている。そして最後に待ち構えるのはバンクセクション。
 ここでもアバンテXは自重の軽さが大きな武器となった。テーブルトップを下って来た勢いもあり、軽やかにクリアしていき、最初のストレートに戻ってくる。その横ではネオファルコンはパワー不足の為か、バンクの上り坂で減速してしまう。
382ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/02/07(木) 12:51:57 ID:hyTZAyi60
「どうだ、ハイスピードギヤならこんなにも安定して走れるんだぜ。幾らスピードが上がる超速ギヤだって、組み合わせを考えなきゃ意味がないのさ」
 得意そうに胸を張るシンに対して、ハヤタは悔しそうに唇を噛んだ。しかし次の瞬間。バンクを上りきり、下りで一気に加速したネオファルコンはロングストレートで驚異的なスピードの伸びを見せ、アバンテXに迫った。
「行けっ、ネオファルコン!」
「くそっ、抜かれるなっ。アバンテX!」
 抜きつ抜かれつと白熱する二人の勝負に、ギャラリーも興奮を隠せない。だが、その勝負もすぐに終焉を迎える事になる。
 ファイナルラップで最後のバンクを先に抜けたのは、終始リードしていたアバンテX。だがすぐ後ろにはストレートに滅法強いネオファルコンが最後の猛追を見せた。そして……。

「くそー、もうちょっとストレートが長かったらおれの勝ちだったのにっ」
「うーん。もう少し軽くするべきか……コーナーでもっと差をつけられたらなあ。新しいローラー買ったほうがいいのかなあ。でも、お小遣いが……」
 夕暮れの町を歩きながら、先程のレースを振り返る二人。オレンジ色に照らされた町が、なんとなく心地いい。
「しかしまあ、引き分けとは珍しい事もあるもんだな」
 二人の後ろで、タカヤが小さく呟く。
 結局、二人のレースは殆ど同時にゴールした為、肉眼では判断し辛く、勝者無しという事で終わった。 
 最小限の装備と軽量化で安定した走りを見せるシン。
 今はまだ気に入ったパーツを付けているだけだが、最高速の伸びが著しい高速セッティングのハヤタ。
 まだまだ未熟ではあるが先が楽しみだと、タカヤは微笑み、じゃれながら前を歩く二人を見ていた。
383ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/02/07(木) 12:53:44 ID:hyTZAyi60
とりあえず、以上です。また暇があったら続きを書き込むよ。
っていうか他の職人の続きとか楽しみにしてるので、もっと活性化して欲しい。
384ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/02/09(土) 21:37:10 ID:UJBmP5lw0
なんという過疎
385ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/02/23(土) 23:48:31 ID:EtAbKoKv0
ストーリーエディタのログ漁ってたら書きかけのミニ四駆小説が出てきた件
386ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/02/24(日) 03:43:25 ID:nuotvh1Y0
>>385
うp
387ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/01(土) 00:33:38 ID:D8+GgRvp0
ええい、>>385のうpはまだか!?
388ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/03(月) 21:34:08 ID:MM5PCdcf0
>>835の人のうpに期待しつつ、久しぶりに続きを投下。

名称未定第三話「壁」

 暖かい陽光に照らされ、町は何時もと変わらない穏やかな日常を描いている。
 四月も下旬になろうという頃、タタラ模型では何時にも増して、緊張した空気に包まれていた。
「やめておくなら、今のうちよ?」
 そう言った少女から滲み出る余裕と自信に、一瞬ではあるが気圧される二人の少年。しかし負けじと睨み返してそれぞれのマシンを構える。
「女なんかに負けてたまるかっ、行くぜネオファルコン!」
「頼むぞ、ボクのアバンテX!」
 闘志を剥き出しにする二人に対し、小さく溜息をつきながら、少女は冷ややかな視線で応えた。
「そう、なら仕方がないわね。……泣いても知らないんだからっ」


 この日も、何時ものように近所の小学生男子が集まってミニ四駆に熱中していた。
 彼らは出来うる限りの知恵と知識と技術を駆使した、愛用のマシンで友達との小さなレースに挑む。幾多の一喜一憂が繰り返される、真剣勝負の場。
 ハヤタとシンの二人も、更なる高みを目指して奮闘中だ。
 そんな熱気の中に、一人の少女が訪れる。他の男の子達よりも頭一つ背が高く、ポニーテールとスパッツを履いた姿は少女の活発さを表していた。
「へえ、本当にここにコースがあったんだ」
 唇の端を上げ、嬉しそうに少女は呟く。
 暫く中の様子を観察していると、一台のマシンが見事なコースアウトを披露する。原因はテーブルトップのようだ。
「あああーっ、おれのネオファルコンがー!」
 相変わらずの高速セッティングのせいか、ハヤタのネオファルコンはよくコースアウトをしてしまう。
 ハヤタの黒星の殆どはこのコースアウトが原因だ。その為今回の勝負はシンの勝利。
「これで三十五戦、十七勝十七敗一引き分け、か。中々勝ち越せないのが悔しいなぁ。安くていいパーツ探そうかな……」
 メモを取りながら、シンが一人ごちる。
「あそこで飛ばなきゃ、絶対負けないのに!」
 隣で悔しがるハヤタは地団太を踏み、納得がいかなさそうだ。シンは呆れたように向き直り、コースアウトした地点を指差す。
389ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/03(月) 21:35:37 ID:MM5PCdcf0
「そんな事より、ハヤタのマシンはどこいったんだよ?」
「え? あ、しまった。ネオファルコンどこいったー!?」
 思わず自分のマシンを見失ったハヤタは、コースの付近を必死に探し回る。ミニ四駆は壁などにぶつかるなどしない限り、延々とどこまでも走る続けてしまう物。
 目を放した隙にあさっての方向へ走り去り、行方不明になる事もある。早く見つけなければ、運悪く誰かに踏み潰されて壊れてしまうかもしれない。
 中々マシンが見つからない焦りから、段々とハヤタの顔から血の気が失せ、うっすらと目に涙が浮かぶ。
 周りの子供たちも二人のレースや自分のマシンに夢中で、ネオファルコンに注意を向けてなかった為、誰もその行方がわからない。
 マシンの走行音を頼りにしようにも、既に他のマシンがコースで走っている事も手伝って、全くわからなくなってしまっていた。
「君が探しているマシン、これでしょ?」
 途方にくれるハヤタに少女が歩み寄り、ネオファルコンを差し出した。
 女の子がこの場に居る事に思わず目を丸くして、少しぎこちなくマシンを受け取る。
「あ、ありがとう。……よかった、どこも壊れてない」
「もう少し、前後の重量バランスを考えたほうがいいわよ。見てたけど、リヤが重過ぎるんじゃないの?」
 少女はネオファルコンを指差しながら、静かに付け加える。
「よかったら、少しアタシに見せてみなさいよ。ちょっと自信あるんだから」
「いいっ。女子なんかに、ミニ四駆がわかるわけないだろっ。邪魔すんなよ」
 ハヤタは少し乱暴に、少女が差し伸べる手を払いのけた。
 実際、今までミニ四駆に興味を示した女の子は、ハヤタ達のクラスには居ない。
 少なくとも、同学年でマシンを持っている女の子というのは見た事も聞いた事も無かった。
 だから単なる知ったかぶりで口を出してくる年上の女子、そんな所だろうとその場に居た誰もが思っていた。
390ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/03(月) 21:36:36 ID:MM5PCdcf0
「ハヤタのマシンを見つけてくれたのは感謝するけど、わざわざ首を突っ込まないで欲しいな。女子でミニ四駆ができる奴なんて、いるわけないんだし」
 シンも横から口を挟む。その態度に、少女もカチンと来たようだ。
「妙な偏見でモノを言わないでくれる? いつからミニ四駆は男の子だけのモノになったの?」
「いつからも何も、今まで興味を持った女子なんて居ないんだから、見せるだけ無駄だい」
「なんですってっ」
 一触即発。そんな時に現れる、間の悪い人間というものは必ず存在する。ひょっこりと店に顔を出しに来たタカヤは、何事かとコースのある部屋を見やった。
「何、喧嘩してるんだ? コースが使えなくなっちまうぞ」
 どこかのんびりとした口調で語りかける男に、三人は鋭い視線を向ける。
「タカヤ兄ちゃんは黙ってて!」
「ボク達の問題に、大人の人が口を挟まないでください!」
「誰だか知らないけど、アタシの邪魔をしないで!」
 余りの剣幕に圧され、小学生相手にタカヤは顔を引きつらせながら一歩下がる。
「わ、わかったわかった。でも喧嘩は良くないぞ。ミニ四駆の事なら、レースで決着をつけたらどうだい?」
 三人を宥める様に、できる限り優しい口調でそう提案してみた。それならと三人は顔を見合わせ、静かに頷く。
 その様子に、タカヤはほっと胸をなでおろした。

 三人がスタート位置につく。ギャラリーは固唾を呑んで、スタートを待っていた。
(あの女の子は、ロデオソニックか。ロングストレートは不利だが、テーブルトップがあるここならいい勝負かもな)
 いつの間にかスタートの合図を任されていたタカヤは、少女のマシンをそれとなく観察した。
 セッティングは原作のマシン同様コーナー重視なのだろう。コーナーリング強化セットを使っているようだった。
 三人がマシンのスイッチを入れる。するとその駆動音がギャラリーの囁く声を掻き消す。
「レディー……ゴー!」
391ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/03(月) 21:37:46 ID:MM5PCdcf0
 各車一斉に、持ち主の手から滑り出していく。あとは成り行きを見守る事しか、レーサーにはできない。
 開始早々、タカヤの予想通りに少女のロデオソニックが一車身分の差をつけてコーナーに入っていく。
 続いてシンのアバンテX、ハヤタのネオファルコンが続く。
 二台ともコーナーリングは決して悪くはない。だがそれ以上にロデオソニックは軽快なコーナーリングと見事な加速力で次々とクリアしていく。
 既に二車身分以上も差をつけ、レーンチェンジを難なくこなしてテーブルトップを抜ける。
「頑張れ、ネオファルコン!」
「どうした、負けるなアバンテX!」
 思わず、二人の少年が声を上げた。
「……」
 二人に、ちらと視線を向けただけで、少女は何も言わない。ただ、真摯に三台のマシンを見つめている。
 ロデオソニックがストレートの中頃に差し掛かった頃、ネオファルコンとアバンテXがバンクを超えてストレートに突入した。
 すると二台はグングンと速度を上げ、水を得た魚のようにあっという間にトップスピードに乗って、ロデオソニックのすぐ後ろまで追い上げる。
(やはり、ストレートはあの二台に軍配が上がるか。ここからが、本当の勝負だろうな)
 タタラ模型のコースは前半は連続したコーナーセクションで、レーンチェンジとテーブルトップ、バンクを超えるとスタートラインへ続くロングストレート。
 はっきりと前半と後半の特徴が分かれている為、セッティングのバランスが重要になってくる。
 コーナーを軽視するとウェーブも含む連続コーナーで差をつけられ、速過ぎればテーブルトップとその後に続くバンクでマシンが飛び出す。
 慎重になってスピードを落とすと、ストレートで満足にスピードに乗れない。思った以上に難しいコースなのだ。
 特にハヤタとシンのマシンは大径タイヤ。最高速は高いが、自然と重心が上に寄るため多少のミスがコースアウトに繋がってしまう。
 逆に少女のマシンは小径タイヤ。最高速では二台に譲るが、ここでは加速力と低重心が十分に生きる。
392ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/03(月) 21:38:30 ID:MM5PCdcf0
 スピードに乗った状態で三台は再び連続コーナーへと突入していく。
 ストレートで速度を稼いだお陰か、今度はロデオソニックに引き離される事なくぴったりとついて走る二台。
 だがコーナーの切り返しと脱出する時の加速力に優れるロデオソニックは、徐々にネオファルコンとアバンテXを引き離していった。
 再びテーブルトップに差し掛かった時、ネオファルコンが危ない挙動で、次のバンクへと突入していく。
「踏ん張れ、ネオファルコン!」
 ハヤタの声に応えてか、ネオファルコンはなんとか安定を取り戻し、ストレートへ入っていく。
 そのストレートで、ネオファルコンは少女のロデオソニックを、ほんの僅かだが追い抜く事に成功した。
 ネオファルコンがタイヤ一つ分先に進み、後にロデオソニックとアバンテXがほぼ並んだ状態で続いている。
 ファイナルラップ直前、ここにきてようやく三台が接戦となる。
「……っ、速いっ。でも」
 一瞬少女の表情が険しくなるが、すぐさま連続コーナーで二台に追いつき、追い越して行く。
「ここまで来て負けるもんか。アバンテX、絶対勝つぞ!」
 その意気込みも虚しく、徐々にだが確実にロデオソニックは二人のマシンを引き離す。
 そしてテーブルトップに差し掛かった時、ハヤタのネオファルコンはバランスを崩してコースから飛び出してしまった。
「ネオファルコン!」
 叫び声も虚しく、マシンは宙を舞い、吸い込まれるようにタカヤの腕に飛び込んでいく。
 多少危なっかしくネオファルコンをキャッチしたタカヤは、軽く溜息をつきながらマシンのスイッチを切った。
「ハヤタはリタイヤだな。そして……」
 タカヤがコースに視線を移すと、ロデオソニックが一着でゴールしているのが見えた。
 アバンテXも善戦していたが、コーナーでつけられた差が否応なく響いた結果となった。
393ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/03(月) 21:38:59 ID:MM5PCdcf0
「これでわかったでしょう? 女だからって甘く見てると、痛い目を見るって」
 レースの後、どこか気まずい沈黙が部屋の中を支配していた。
 完走できなかったハヤタと、コーナーでつけられた差を縮めきれなかったシンは俯いたまま、何も答えない。
 その小さな肩が、微かに震えている事が、彼らの心情を物語っていた。
「アタシはメグ。六年の冴上芽久よ。悔しかったら、また勝負してあげる。素直に謝るなら、セッティングの仕方を教えてあげても良いわよ」
 そう言った少女──メグに対して二人は何も返さない。
 小さく溜息をついた後、メグはタカヤに向かって一礼し、タタラ模型を後にした。
 周りの子供達も、先程の勝負に毒気を抜かれたような顔をして、パラパラと解散していく。
 そしてタカヤ、ハヤタ、シンの三人が、部屋に取り残された。
「……タカヤ兄ちゃん」
 ようやく、ハヤタが口を開く。顔をくしゃくしゃにして、ボロボロと涙が溢れて止まらない。
「おれ、悔しいよ。ネオファルコンが、ちゃんと最後まで走れなかったのは、おれのせいだ……っ」
「ボクも、悔しいです。コーナーには自信があったのに、全然歯が立たなかった。ごめん、ごめんよアバンテX」
 二人の様子に、タカヤは何も言わずくしゃくしゃと優しく頭を撫でる。すると堰を切ったように、二人は声を上げて泣き出した。

 外は夜の帳が降り始め、もう星が見えている。小さく瞬いた刹那、一つ、光が流れ堕ちた。
394ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/03(月) 21:39:56 ID:MM5PCdcf0
今回は以上です。ではまたいつか。
395385:2008/03/03(月) 22:36:46 ID:TaNv/znl0
需要があるかわからんがとりあえず上げてみる。

本当に______偶然だった。
あの日にたまたま押し入れの整理をしてたらこんな事になった訳で。
ミニ四駆をやっていた事なんて、記憶の彼方に霞みかけていた。
パソコンの画面を眺めながら、ただ時間が過ぎていくだけであったであろう日々。
それが終わりを告げたのは、あの夏の日だった。
何を思ったのか・・・俺はその日、一台のミニ四駆と・・・______「あいつ」に出会うことになる訳だ。
7月の末。確かもう2,3日もすれば8月に入ろうかというどうって事のない平日。
夏休みに入り、グダグダでPC漬けな生活が始まって一週間ほどの事だった。
その日はなんの変哲も無い晴れだった・・・と思う。
提出物の夏休みの日記を付ける気なんてさらさら無かったから、詳しくは覚えていない。
俺はその日もそれまでと同じように朝食を済ませた後にPCを起動。掲示板や動画サイトに貼り付いていた。
いつものように文字を打ち込み,「書き込み」ボタンを押す。
・・・・・・どうやら規制を喰らっていたらしい。書き込みを諦め,PCの画面から目線を外す。
PCから逸らした目線の先には・・・・・・_______古びた襖。つーか押入れ。
・・・そういえば、一昨年の末に整理してそれっきりだっけか。何か面白い物が見つかるかもしれない。
そう思って、押入れを整理を兼ねて漁ってみることにした。
思い返してみれば押し入れが目に入らなければ、何も起こらなかったのかもしれない。
そういう意味では、俺は「あいつ」に感謝しなければならない・・・んだろうな。


396ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/03(月) 22:44:33 ID:TaNv/znl0
ロクな物が見つからず、押入れ捜索も諦めてかけていたその時だった。
クリアの地に青色で「RACER'S BOX」と印字されたプラスチック製の箱が出てきた。
今なら100均でもこれくらいの物は売ってるんじゃ無いだろうか。
その文字さえなければ釣具入れにも見える箱に、俺は見覚えがあった。
「ミニ四駆の・・・・・・レーサーズボックス?」
もしかしたら、今度こそまともなモノが見つかったかもしれない。
踊る胸と緊張感に手を震わせながら、俺はレーサーズボックスの止め具を外した。
中に入っていたのは、一台のミニ四駆。かつての俺の・・・「愛機(マシン)」だった。
マシンを手に取った瞬間,俺の頭の奥底に眠っていたミニ四駆に関する知識が湧き出るように思い起こされた。
白に成型されたプラスチックに貼られた赤と青のステッカー。
自力で、ではなく金型の段階でされている各部の肉抜き。
爆走兄弟レッツ&ゴー!!主人公の片割れ、星馬豪の四代目マシン。サスペンションを搭載し、大径タイヤを履いた「ビートマグナム」。
それをベースに肉抜きが施され、ステッカーもそれとは異なる特別仕様、ゲーム版では主人公機でもあった「ビートマグナムTRF」だった。
「ビートマグナムのタイヤって、・・・こんなに小さかったっけ?」
ボディこそビートマグナムTRFを素組みしたものだったものの・・・・・・ノーマルとは大きく異なっていた。
シャーシこそキット同梱のスーパーTZシャーシなのだが、
フロントバンパーには弓状FRPプレートに、星型に五つの穴が開いた「大径アルミベアリングローラー」が取り付けられ、
フロントの足回りにオレンジ色のステアリングシステムが取り付けられ、小径タイプのホイールに、青の「レストンスポンジタイヤ」が嵌められていた。
リヤのホイールは白く、6本のスポークが特徴的な「ナローワンウェイホイール・ワイドトレッドタイプ」。黒いスポンジタイヤが履かされていた。
サイドバンパーには綿棒にも見えなくはない「スタビライザーポール」が真っ直ぐ取り付けられており、
リヤにはリヤースライドダンパー・ブレーキセット付属のリヤステーにブレーキ効果を発揮するゴムが嵌め込まれ、
本来金属製の部品が宛がわれているであろう部分は弓状のFRPプレートが固定されており、
397ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/03(月) 22:53:46 ID:TaNv/znl0
スライドダンパーとしての効果は果たしていない。
プレートの両端に長いビスと金属スペーサーを使って「17mmアルミベアリングローラー」が2つづつ2段に取りつけられていた。
ボディを外してみると、当然ながら電池は入っていなかった。
「とりあえず、電池を入れてみるか。」
たまたま近くに転がっていた100均のアルカリをセットし、スイッチを入れる。ミニ四駆のスイッチってこんなに固かったっけか。
シュィィィィィン、とマシンから発せられる駆動音だけが部屋に響く。
と、その時だった。
ガタン
いきなり部屋のドアが開いた。俺が何事かと振り返ると______
「MIMIMIミニ四駆〜」
兄、がいた。なんだ、MIMIMI(ryって。笑えんぞ。
「・・・・・・・?珍しいな。お前がそんなモンを触ってるなんて」
どうやら俺の手に持っているものに気づいたらしい。ちなみにスイッチは兄がドアを開けたところで切ってある。
悪いかよ。押入れ漁ってたらたまたまこんなものが出てきて感傷に浸ってただけだ。
「・・・・・・ビートマグナムTRFか。ウィングのシールから見るに市販品のほうだな。」
市販品のほうってなんだ。人のものをジロジロ見るな。
そう言おうとした瞬間、兄の表情が変わった。驚愕の表情に。どうした?俺の後ろに何か憑いてんのか?
体の向きはそのままに、首だけを後ろへ回す。すると______
<続く?>

398ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/05(水) 23:17:48 ID:HTpuWYRiO
>>395
その作者がハルヒ厨という事は分かった
399ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/20(木) 09:12:03 ID:bMxbWQOfO
400ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/03/21(金) 12:51:02 ID:/YOhK/4JO
引っ越しの荷造りの最中、俺はそいつと再開した。
「バーニング…サン?」
十数年前、どこにしまったか分からなかったコイツとの再開だ。
俺は手に取り懐かしむ様に眺めてると、ふと、火を入れて貰いたそうにしてる気がした。
電池を入れスイッチを入れる。
ギュオォォォ!
ハイパーダッシュの唸りが響く。
そうか、また走りたいんだな。

そして、今、俺とバーニングサンの戦いがはじまる!


…って実際にあったことだが文にするとイタいな。
401ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/05/22(木) 17:23:16 ID:TvFZGQis0
ホイールにシャフトを垂直に挿す機材とか無いかなぁ orz いつも歪む・・・
402ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/05/22(木) 22:18:35 ID:0mVIWEp/0
>>401
ピニオンギアを抜く時に使う冶具を使用できないでしょうか?
403ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/05/23(金) 11:34:27 ID:+ywH0n+V0
>>401
つボール盤
404ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/05/27(火) 21:21:30 ID:DptPluEOO
俺さっきゲーセンでスピンアックス取ってきた!
405ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/05/28(水) 12:13:57 ID:BpAmyi2g0
>>402
俺も歪むぜ・・・・401ではないのだが、それの正式名称を是非お願いします。
406ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/06/02(月) 09:17:34 ID:F2iM27P3O
>>404
ゲーセンの景品にあったのか?
407ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/06/21(土) 14:34:09 ID:f3D4NbYO0
旋盤が欲しい
408ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/06/21(土) 19:59:20 ID:o0ta947uO
よし!
主役は俺で少年期、青年期、老年期の三部作を…誰か書いて下さい。
てか、レーサー出た時、既にやや大きな少年だったが。
409ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/06/21(土) 20:07:25 ID:f3D4NbYO0
少年期…記述なし
老年期…後進の教育
410ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/06/28(土) 00:18:21 ID:cUF8UmK40
ウルトラダッシュPROとかでないかな
411ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/06/29(日) 03:23:07 ID:HbUr0S3E0
桃井さんみたいに
パッケージに載ってみたい
412ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/07/01(火) 02:24:13 ID:kmG3eO3/0
盛り上がったオークションもいよいよ今日で終了です
http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m57813605
413ぼくらはトイ名無しキッズ:2008/07/13(日) 06:39:29 ID:ZFOh4ZDdO
ポリカーボネートの蛍光 缶スプレーって
ガンプラ本体及び、ガンプラのビームサーベルとかに塗装とか出来ないのですか?
サーフェイサーとかを先に吹き付けても駄目なんでしょうか?
414ぼくらはトイ名無しキッズ
最近VIPに来てる('A`)のSS面白いな。