おっさんもさんかするぞ、
嫁「(俺の名字)さん?ですよね?」
俺「(嫁のフルネーム)さんですか?」
嫁「はい、乗って良いですか?」
俺「ええ、もちろん」
助手席に座った嫁、タオル地のハンカチで汗をぬぐった。
嫁「凄く小さい赤い車っていうからもっと小さいかと思っていました」
俺「ええ?この車(KPスターレット)は小さいですよ」
嫁「だって、ナンバープレートの色が黄色くないじゃないですか」
俺「え?」
嫁「友達に聞いたんですよ、私、車の種類なんか全く知らないから」
俺「ナンバープレートが白くてもこれは小さいと思いますよ」
嫁「え、でも、お父さん、お母さん、子供2人の四人家族なら充分じゃないですか」
俺「…そうですか?」
嫁「…私が身長低いから、そう思うだけかもしれません、、」
20代の気の利いた社会人男性はみんなデートカーを持っていた80年代の事。
取引先の社長に孫娘をドライブに誘うように頼まれた俺は、
電話で指定された駅のロータリーを駐車違反で捕まらないようグルグル回っていた。
車種(車の形)と車体色を伝えていた。世間一般には小さいと言われ馬鹿にされていた車であった。