「……その顔はまだわかっていない顔ね。職員達は危険かもしれないっていうのに、
なぜこの建物内に残っているのか。それは……既に私達の催眠洗脳にかかっていて、
自ら『この建物内に残りたい』と志願したのよ。それはもちろん計画の邪魔をする者を
始末するように考えているからだけどね」
……建物内の職員達は、既に洗脳されたジョー・ファミリーの部下?
「!? なんだと!?」
「あなたはここに来るまで何人かの職員に会ってるだろうけど、
みんな人が良さそうだったでしょ?でもそれは仮の姿。
本当は洗脳されていて、あなたを殺したくてうずうずしてたはずよ」
「嘘だ!あの優しさが偽りだっただと!?……信じられない!」
フラッシュバックされて、これまでの職員達の顔が浮かんでくる。
どれもとても偽りとは思えない笑顔ばかりだった。
その時、ピンポンパンポーンと館内放送の音が聞こえた。
〔汲み取り式便所を愛する諸君に告ぐ。ソリッド・スネークが
我々の計画の邪魔をするそうだ。見つけ次第殺せ。どんな手を使っても構わん、殺すんだ〕
「さぁ……あなたもこれで終わりね、ソリッド・スネーク」
今まで面倒を見てくれた優しい職員の人たちが、
実は敵に洗脳されていた忠実なしもべだったっていう。
そんなところがわかったここまで。
大体物語の半分くらいは来たんじゃないかな。
なんかゴチャゴチャしてわかりにくいんで、
よくわかんない所とかあったら遠慮なく言ってくれ。
俺もわかんなくなりそうだ。
203 :
名無しだって洗ってほしい:2007/03/09(金) 20:01:18 ID:lp0T9okV
こういう馬鹿らしい読み物大好き
俺は特に不満はないからガンガレ
ところ変わってアメリカはテキサス州。ここは西部の平原地帯だ。砂埃を伴い、乾いた
風が舞っている。
クミの兄、ベンは、古びたロッキングチェアに座りながら、愛馬の馬蹄をならしていた。
そこに砂塵を舞い上げながら、一頭の馬を駆り男が走り寄って来たのだ。
「大変だベン! クミが、クミが…!」
男は手早く電報を差し出そうとした。
「いや、いい…。」
ベンはそれを軽く遮った。そして遠い目で言う。
「あいつはガキのころからお転婆でね。女にしとくにゃ惜しいヤツ
だったよ…。」
馬蹄を研ぐヤスリの音と、そして、時折吹く風の音だけが、虚しく
荒野に消えていくだけだった。
「ああ、そうだ…。」
ベンはやや億劫そうに立ち上がり、踵を返すと、風車小屋の脇にしつ
らえてある、あれは車庫なんだろうか、そこへ向かった。
「ちょいとヤキが廻ってるや。手伝ってくれんか…。」
男が手を貸すと、なかなか動かない、更に力を入れる、シャッターは
重々しく金切り声を立てて開いていった。
「これは…。」
「…なんだ…?」
「…言いたいことがあればはっきり言ってくれよォ!!」
ベンは目の幅涙を撒き散らしながら郵便屋に詰め寄るのだった。
「…オレはタンク(戦車)を発注したんだッ! あの野郎ォ! こんなの持って
来やがって!! ブツブツ」
−ダメだなこりゃ。やっぱこうなっちまった。キレが悪い。
方向転換しよう。
「くく、クミさん!」
スネークはどさくさ紛れにクミを口説いてみることにした。よくよく見
ると、敵ながら可愛らしい女のコだ。
「どうですか…、これからボクと一緒にお茶でも…。」
舞台はスターバックス・カフェへと移る。
スネークはハイソな会話を試みた。先ずは彼女の心を解きほぐし、あ
わよくば鷲?みにしなければならない。
スネークは、窓の外を遠い目で眺めた…。
「ボクは、アメリカのSFテレビドラマ、スター・トイレックがたま
らなく好きなんだ…。」
…俺、降りる…
−=≡ちょっとここで確認のコーナー≡=−
【スネークの現在の持ち物】
・いつものスニーキングスーツ
・物置部屋の鍵
・工具セット┬モンキーレンチ二本(うち一本はクミとの戦闘で破損)
└大量のスパナ(およそ25本くらい)
・ダンボール
・小麦粉×20袋
【登場人物】
〜スネークと愉快な仲間達〜
ソリッド・スネーク・・・・・・・・・・・・・・・伝説の傭兵。ダンボール大好き。
ロイ・キャンベル大佐・・・・・・・・・・・・頼れる指令。でも時々頼れない。
オタコン (ハル・エメリッヒ)・・・・・・・アニメオタク。そして天才ハッカー。
ラクシアン・レイトー ・・・・・・・・・・・・・トイレ研究家。トイレのことなら何でも知ってる。
〜世界を過去に還すジョー・ファミリー〜
クミ・ジョー (久美・ジョー)・・・・・・日本刀操る女剣士。日本人と米国人のハーフ。
??・ジョー・・・・・・・・・・・・・・・・・・今回の事件の首謀者。ジョー一家の大黒柱。汲み取り式便所をこよなく愛する。
潜入先の会館――【シショケーツーホール】
様々な人種が働く世界的に有名な会館。元は古くなって使われなくなった
市民会館だったものを政治家の御手洗丹剛が買い取って改修工事をし、現在に至る。
御手洗丹剛は今回のミッションの依頼人。大佐と旧知の間柄。
休日によく一緒に買い物とか行ったりする。
現状の設定は大体こんな感じ。一回整理しないと自分がわからなくなりそうだったんで。
210 :
名無しだって洗ってほしい:2007/03/10(土) 16:21:07 ID:YduoySdj
211 :
MU:2007/03/10(土) 17:45:06 ID:9x7MdEiX
>>203 そういう言葉は本当に俺の燃料になりますなぁ
>>204-208 クミのお兄さんがベンか……お前は…お前はコラアアァァ!!
>>210,
>>212 こう、モンキーレンチの根元を握って、受け流したり弾き返したりする感じで戦ったんだよ。
どっちにしろスネークだから出来る芸当なので、マネはしないようにするのがお勧め。
――Mission Log――
日本刀の使い手クミ・ジョーをモンキーレンチで倒した
スネークは、クミの話により今回の件が“ジョー・ファミリー”の
長である“父親”の一存で計画されたことを知る。
その際、既に激臭性催眠洗脳薬で洗脳されている職員達が
館内をうろついていることもクミから知らされた。
館内放送で「スネークを抹殺せよ」という命令が職員達に下り、
スネークは敵地で孤立無援の状態となってしまう。
【EXIT】
「くっ……!くそおっ!!」
急いで仮設トイレから駆け出て周りを確認した。
幸いにも人の姿は見えない。今のうちに大佐に連絡をしておこう。
PLLLL♪ PLLLL♪
[大佐、聞いていたか!?]
[スネーク、やっかいなことになったな。今その建物内には全職員の一部とはいえ、
百数名の職員が残っているんだ。しかもそれが全員洗脳されているときている]
[あぁ、いつもの『俺以外全員敵』って状態だ]
[だがスネーク、間違っても洗脳された彼らを殺すんじゃないぞ。
洗脳さえ解ければ一般の人間だ。悪党でもなんでもない]
[では、どうすればいい]
[決して一人も殺さず、なるべく見つからないように黒幕のところへ行くしかあるまい]
[一人も殺さず、か……随分難しいことを言ってくれるな]
[君のミッション内容も変更だな。『汲み取り式便所世界返還計画』の全貌を暴き、
それを阻止することだ。……君ならきっとできる、検討を祈るぞ]
[スネーク!俺も応援してるからな!とりあえずがんばれよ!]
[……大佐……レイトー……了解だ!出来る限りのことを尽くす!] シュイィィン
全く……こんなハードミッションになるなんて考えてもみなかった。
敵に見つからず、ボスの居場所を見つけ出し、計画を阻止。
……スニーキングミッションらしくなってきた。
自分の頬をパァンと叩いて、気合を入れなおした。
「よし!やってやる!必ずミッションクリアしてやる!!」
「いたぞ!!スネークだ!!」
見つかった。
「スネエェェク!!待て!我々の計画の邪魔はさせないぞ!!」
「うおおぉぉ!待てといわれて待つわけにはいかん!」
気合を入れなおすにしても、大声なんて出さなければよかった……
二人組の男に追われているが、幸いにも鈍足の肥満体型だ。逃げ切れる。
ある程度距離を離して曲がり角を曲がり、立ち止まった。
「あっ、くそっ、まて……はぁはぁ」
「スネー、スネ、ク、はぁはぁ」
息を切らしながら二人が曲がってきた。
隙有りといわんばかりにいつものパンチパンチキックを食らわす。
「ふっ、はっ、ほぁっ!」
「ぐわわぁっ!!」
……いつも思うんだが、パンチやキックで気絶するってのは結構体弱いよな。
洗脳された職員達は殺すなと言われて、気付かれて追われてしまったのだから
気絶させることはやむを得ないだろう。気絶した二人を目立たないところに
隠そうと思ったが、重いし隠せそうなところもないのでやめた。
「さて……ここからは慎重に動こう」
普通の会館なので落とし穴などの罠はないだろうが、
職員達がうろうろしているのでうかつには動けない。
それにクミ・ジョーが言うには「ジョー・ファミリー」とのこと。
まだ第二、第三の「ジョー」が潜伏しているかもしれない。
「問題は、どうやってボスの居場所を調べるかだな」
少々危険だが職員を捕まえて聞き出すか、
それとも地道に部屋を調べ上げるか。
「そうだ!事務室に行って聞いてみよう!」と一瞬思ったが、
今館内にいる職員は全員洗脳されているということは
あの人の良さそうな老人も洗脳されているということだろう。
……あの老人の話は嘘なのか?
心の中では俺を敵視していたのか?
人間が信じられなくなりそうなので、これ以上考えるのはやめた。
このままここにいても、そのうち見つかるのが関の山だ。
なんとか監視の目をかいくぐって移動しよう。
……監視?
「ちょっと待て、この建物内には監視カメラとかあるのか……?」
確か大佐は最初のほうで「数あるセキュリティーをものともせず」とか言ってたよな。
ってことはだ。この建物には厳重なセキュリティーシステムが……
忍び足で歩いて曲がり角に近付き、角から通路の様子をうかがった。
「……なんてこった、監視カメラがしっかり設置されてやがる」
これでは迂闊に動けない。本当に迂闊に動けない。
チャフグレネードもなければ銃もないから、監視カメラの破壊は無理だ。
「……仕方がない、仕方がないよな。これしか方法ないよな」
よっせ、よっせと体を屈伸させ、ふぅ、と一息つく。
そして両手を地面につき、片膝も地面につける。その体勢のまま頭は下げておく。
「うし、やるぞ。よーい……」
顔を進行方向に向けた。
「……ドン!!」
――世界記録を塗り替えるつもりでの全力疾走。
走った。とにかく走った。監視カメラに発見、視姦されようとも走った。
強行突破しか方法がなかったんだ。
そのとき「フィーユン、フィーユン」といかにも緊急事態っぽい音が鳴り響く。
〔スネークは一階東側通路を階段に向かって疾走中。繰り返す、一階東側通路を……〕
現在位置を全職員に向けて報告するなんて、こんなん聞いてないぞ。
ここで流石に俺はあせった。
「どっか、どっか隠れるところだ!隠れるところがどこかに……!!」
しかしここは廊下の途中。隠れるところなんてどこにもない。
普段ならあんなに頼もしいロッカーもない。
あたふたおろおろしているうちに、どこからともなくザワザワと団体の声が聞こえてくる。
きっと洗脳された職員の奴らが俺を探しに来たのだろう。
「一か八かだ!……なんか今回のミッション一か八かの賭けが多いような気がするな」
……数分後、数名の職員達が俺の近くへ寄ってきた。
「オイそっちにいたか?」
「いや、全然みつからん」
「おかしいな、一階東側通路といったらこの辺なのに」
息を殺して職員達の様子をうかがう。
「もしかしたら、もうどこか別の場所へ行ったのかもしれない」
「あぁ、伝説の傭兵だからな……監視カメラを掻い潜って移動するのも容易いかも」
「よし、じゃあ二階を探しに行くぞ!!」
――よかった、セーフだ。とりあえず危機は去った。
俺はその場で、賭けともいえる手段だったが、
「ダンボールに隠れてやり過ごす」方法を思いついたのだった。
しかし、ダンボールに「危険物注意!」って書かれてるからとはいえ、
何もない廊下にダンボールが落ちてたら普通怪しいと思わないか?
……ダンボール、あの時あの場所で取っておいてよかった。
ダンボールを再度折りたたんで懐にしまいこみ、
周りを注意深く確認しながら進んでゆく。
とりあえずは一階をうろついて使えそうな情報を探してみることにした。
……しかし、あのクミという女と戦ったときに一撃も喰らわなかったのは奇跡だな。
この会館の中には回復アイテムだなんて無いだろうし、
傷を負ったらどう治療しよう。止血くらいならできるか?
「ん……物置部屋……か」
当てもなく徘徊していたらいつの間にか物置部屋に戻ってきていた。
ダンボールや工具セットやら、色んなものを手に入れた所だ。
中に入って隠れようと思ったが、扉の鍵とは別に南京錠で鍵がかかっている。そりゃそうか。
「仕方がない、階段で上に上るとするか……」
ふぅ、と溜息をついて先ほど通りかかった階段に戻ろうとしたときだった。
「いたぞ!スネークだ!!」
曲がり角を曲がってきた職員に見つかった。
「くっそぉっ!ソリトンレーダーさえあれば!!」
何を隠そう今回の潜入にはソリトンレーダーが使用されてない。
なので肉眼で確認できない敵は本当に確認のしようがないのだ。
だから子供の鬼ごっこのようなもの。
ただし鬼は百数人、追われるほうは一人。
しかも見つかって捕まれば死が待っているという過酷な鬼ごっこだ。
「まてぇスネーク!!おとなしく捕まれえぇぇ!!」
後ろで喚き散らしながら追いかけてくる職員は、
先ほどの肥満体型とは違って足が中々速い。学生時代に陸上でもやってたのか?
俺はとりあえず逃げながら二階へ進む階段を目指し、疾走する。
二階にさえ進めば、進展という名の新しい道が開けるかもしれない。
後ろを振り向き確認しながら、ついに階段にたどり着いた。
「よし……!早速二階へ!!」
階段の上を確認すると、運悪く職員の団体の姿が見えた。
「あっ!スネークだ!ひっ捕らえろ!!」
慌てて後ろを確認するも、後ろからは陸上系職員。
上の階からは五、六人の職員がやってくる。
「チッ!上もダメで後ろもダメなら……!」
大変不本意だが、ここは下の階に降りるしかない。
「職員以外立ち入り禁止」と書かれたガードを乗り越えて
階段を急いで駆け降りるが、正直な話階段ってのは駆け上がるより駆け降りるほうが怖い。
なんか、転んだらもうそのまま転げ落ちてイタタな感じになりそうだからだ。
途中で一段踏み外しそうになりながらも無事に階段を駆け降りると、
三手に分かれる通路があった。とりあえず左に曲がって再び走る。
「はぁ…はぁ…!今日は走ってばかりだな!」
後ろを振り返るとまだ追ってきている。今度は中々しつこい。
PLLLL♪ PLLLL♪
「なんだぁ!?こんなときにもコールか!?」
こっちがこんなにピンチなのにコールしてくるということは、
それだけ大変な事なんだろう。無視するわけにもいかない。
かなり大変だが走りながら応答することにする。
[こちらスネーク!なんだ!?急いで用件を済ませてくれ!]
シショケーツーホール地下一階を逃走するスネークと、追う洗脳職員達。
そこに何かを告げる通信のコール音。
次回、とんでもない新展開がッ!?
そんなわけで今回はここまで。いつボスんとこにつくのかな。
スネークらしくなってきたな・・・
わっふるわっふる
つか難易度タカスw
わっふるわっふる
スネーク×ダンボール=最強
スネークとダンボールはカポー成立だな
ソリトンレーダー無し武器無し味方無し回復アイテム無し
難易度高いってレベルじゃねーぞww
大佐とオタコンはギリギリで仲間判定?w
>>233 あぁそうか、大佐とオタコンとレイトーがいたか
でも援軍とかはないんだよな、実質一人だなスネーク・・・でもダンボールっていう相棒が(ry
>>233書いた時点でレイトーを完全に忘れていたw
援軍ならいるじゃないかそこらへんに
ダンボールという(ry
――Mission Log――
仮設トイレから脱出したスネークは大佐に連絡を入れ
指示を仰ぎ、“汲み取り式便所世界返還計画”の全貌を暴く
ことを命じられた。洗脳された職員達に見つからぬよう
隠れながら進むが、監視カメラに見つかってしまうという
アクシデントが発生。たちまち職員達が駆けつけてきたが、
ダンボールに隠れてなんとかやり過ごしたのだった。
そこで一階にいてはらちがあかないと思い、二階へ続く階段へ
向かうスネークだったが、途中で職員に見つかってしまい、全力で階段へと走った。
しかし二階へ続く階段に職員がいたため、仕方なく
地下へ続く階段を駆け降りたスネークに無線のコール音が鳴った。
【EXIT】
[スネーク!たたた大変だ!おち、おち落ち着いてよく聞いてくれ!]
[なんだオタコンか!早くしてくれ!あとお前が落ち着け!]
大佐かと思えばやけにテンパっているオタコンだった。
通信しながら後ろを振り返ると、なにやら追っ手が増えている。
どこで増援したんだ。こっちはもういっぱいいっぱいなのに、
むこうはそういう意味でいっぱいいっぱいか。
[あの、あのね!スネークが全然コールしてこなくて暇で暇だったから、
君が物置部屋で見つけた便器の設計図の暗号を解読してたんだ]
[あぁ、そういやあったなそんなの。そういえばお前に通信したのもあの物置部屋が最後だった]
[そしたらそしたら、この便器の設計図は、なんとななんと便器の設計図じゃなかったんだよ!]
[なに?どういうことだ?]
[じゃあ問題!なんだと思う!?これ!]
[知るか!問題形式にしてる暇があったらさっさと言え!!]
[いいかい!?聞いて驚くなよ!?これはなんと……!]
イライラしながらまた後ろを振り向き、凄い勢いの職員達がいることを確認。
そろそろ胃がおかしくなってきそうだ。
[――“新型メタルギア”の設計図だったんだ!!]
七十パーセントほど追っ手たちに気が行ってたのが、
メタルギアという言葉によって一気に通信に気が引き戻された。
[な、なんだと!?メタルギアの設計図!?]
[そう!だけど正確にはメタルギアの新型ボディの設計図と言うべきかな?]
[オタコン!詳しく教えてくれ!]
[うん!あっ!で、でもスネーク!後ろ!!]
オタコンの言葉で後ろを振り向くと、数人の職員達が今まさに俺に飛び掛ってきているところだった。
「ぐおおっ!!」
たちまち俺は押さえつけられ、上から上から他の職員達がのしかかってくる。
とんでもない圧迫感に襲われながら必死にもがくも、どんどん圧縮されていく。
このままじゃzip形式にされかねない。
「うおおおぉぉ!俺はこんなところで倒れるわけにはいかない!!」
のしかかってきた職員達を蹴りだの拳だので弾き飛ばし、やっとの思いで立ち上がる。
洗脳されていようが、ただの一般人だ。ゲノム兵ほど強いわけじゃない。
弾き飛ばした職員達は立ち上がり、恨めしそうな顔でこっちを見てくる。
じりじりと間合いをつめてくる職員達を相手に、俺はファイティングポーズをとる。
「……まとめてかかってこい」
俺の言葉を受け、職員達は無言で互いの顔を確認し始めた。
誰もが顔を見合わせ、黙ったままうん、うんとうなずいている。
[ど、どうするつもりなんだいスネーク]
[……相手は生身の人間だ。策はある]
[策って一体……?]
アイコンタクトで了承を取ったのか、
職員達はタイミングを合わせてブワッと飛び掛ってきた。
「ハンマーを振り回して殴り倒す!!」
[ス、スネェェェェク!?]
かかってくる職員達を、金槌で殴って殴って殴り飛ばした。
「ちぎっては投げちぎっては投げ」という表現はこういう場で使われるんだろう。
もちろん殴られたほうはひとたまりもない。殴られたそばから気絶していっている。
「うらあぁぁっ!!」
ゴッ、と重い音がして最後の一人も倒れ、上がった息を落ち着かせるために立ち尽くした。
[ス、スネーク!当たり所が悪かったら死んじゃうよ!?]
[あぁ、大丈夫だ。死なない程度に力を抑えて殴っておいた]
[ほ、ホントかな……力いっぱい殴ってたように見えたけど……]
[仕方ないだろう、不測の事態だ。この暴力はやむを得ない]
落ち着いて周りを見渡してみると、地下ということもあり静かな場所だ。
足音を立てて移動したら、すぐにばれてしまいそうな感じでもある。
「職員以外立ち入り禁止」というガードを飛び越えて
階段を降りて来たんだから、ここは職員達が何かする部屋が集まってるのだろう。
[あぁそうだスネーク、それで新型メタルギアの話なんだけど……]
[そうだったな。便器の設計図にしか見えなかったのに、それの何がメタルギアなんだ?]
[それが、設計図を見つけたときは洋式便所の設計図にしか見えなかっただろ?
ところが暗号を解析してみてビックリ、洋式便器型のメタルギアのボディだったんだよ!]
[……便器型メタルギアだと?そんなアホな話があるか。信じられんな]
[本当さ!まだ一部しか解読できてないけど、設計図のタイトルには
“METAL GEAR NEW BODY”って書いてあるんだ]
しかし何度聞いても、あまり信じられない。
便器型のメタルギアだと?誰がそんなものを……
いや待て。心当たりならあるじゃないか。便器で世界を揺るがすことを目的としている奴らが。
[オタコン!そのメタルギアはジョー・ファミリーが設計しているのかもしれないぞ!!]
[な……ジョー・ファミリー!?……だ、誰?]
[なんだお前、全然こっちの展開を見てなかったのか]
[ご、ごめん。すっかり暗号解くのに夢中になっちゃってて……]
[……まぁ、いい。よし、大佐!レイトー!聞こえているな!?]
回線を作戦本部の大佐、レイトーとも接続する。
[……スネーク、エメリッヒ博士……話は聞いていたが、信じられんな]
[スネーク、メタルギアってのは一体なんなんだ?ただことじゃないみたいだが]
[レイトー、詳しいことは大佐に聞いてくれ。それと、大佐とレイトーとオタコンに
頼みたいことがある。三人で力を合わせてその設計図の暗号の解読してくれないか]
[うん、オッケースネーク。じゃあ作戦本部に設計図のキャプチャ画像を送るよ]
[うーむ……よし、スネーク。私達は暗号の解読を急ぐ。君は引き続き任務を続行してくれ]
[おいスネーク……俺になにかできることがあるのか?]
[レイトー、トイレのことなら何でもわかるんだろ?トイレの専門用語が出てきたらどうする?]
[……なるほど。よし、じゃあ俺も頑張って解読とやらをしてやるよ!]
ようやく敵の思惑が見えてきた。メタルギア絡みとなれば、確かに世界を動かしかねない。
[それじゃ大佐、俺は任務へ戻る]
[あぁ、検討を祈る]
[スネーク!暗号は僕らに任せてね!]
[トイレとあらばすぐに解決してみせるぜ!] シュイィィン
さて……新型メタルギアの設計図解読は大佐達に任せ、
俺はボスの居場所を突き止め、計画の全てを吐いてもらわねば。
「だが……どう動けば良いのか検討もつかん」
敵に追われた勢いで地下一階に来てみたものの、本来俺は二階に行くつもりだった。
……「ここは何かの縁」とこのまま地下一階を調査するか、
それとも一階に戻って調査をするか、二階へのぼるか。
「……うん、よし。決めた。このまま地下を調査するとしよう」
決して面倒くさいからとかそんな理由じゃない。本当だ。
「しかし……地下一階を調査するにしても、どこから行けばいいのか」
また監視カメラがあるかもしれないので慎重に周囲を調査する。
幸いなことに監視カメラらしきものは見当たらない。
一階よりは動きやすいから、大分ましだろう。
鍵が掛かっているドアはある程度のものであれば
ドアノブを工具セットで壊せばこじ開けられるし、
自動ドアみたいなドアも叩き壊せば壊せないこともない。
力任せで荒っぽいやりかただが、他にいい方法があるわけでもない。
ガンガン突き進みながら、見つからないように行動すればオッケーだ。
「よし、じゃあ手始めにこのドアをぶち破るか」
ドアには「第一資料室」と書かれている。
資料を調べれば、何かこの建物のことがわかるかもしれないしな。
もしかしたらどこかに隠し部屋があったりするかもしれない。
「……一般のドアノブだ。ドライバーで開けれるか?」
工具セットの中からプラスドライバーを探し出す。
つくづく良い工具セットだ。日曜大工のお父さんなんかにもってこいだな。
一番大きいプラスドライバーを取り出してネジに宛がってみるが、少し大きすぎた。
続いて一回り小さいもの。やっぱり合わない。三番目に大きいやつは……ピッタリだ。
「よし、大きさはバッチリだな……緩めるときって時計回りだっけ?反時計回りだっけ?」
試しに時計回りに回してみるが、ビクともしない。やっぱり反時計回りだったか。
「よしよしよしよし、順調に落ちついて回せ俺、
ネジの頭がバカになったらそれまでだからな……よしよし」
無事ネジを最後まで緩ませ、二本目のネジの取り外しにかかる。
「一本外せばもうこっちのもんだ、ネジなんぞ敵じゃあない」
それでもゆっくりゆっくり慎重に、プラスドライバーの先端に全神経を注ぐ。
……あと四回転で外れる。三回転、二回転、一回転……
「……オッケェイ!!ミッションコンプリートだ!」
完全にネジが外れたことで思わずガッツポーズをとる。
何事にも全力で挑む、それがマイクオリティーなのだよ。
「あいや、おめでとうねスネーク」
「いやいや、たかがネジ、されどネジですよ」
いつの間にか隣にいた青年と握手を交わす。
へいセンキューセンキュー、俺はやれば出来る男だ。
「……貴様誰だ!!」
「伝説の傭兵とも呼ばれる男が、隙だらけ過ぎて逆に笑えてくるね」
見たことない男が俺を指差しつつ片腹押さえ、
ゲラゲラと笑っている。心の底から誰だお前は。
>>95-96の便器の設計図が新型メタルギアの設計図だった!?
しかもピッキング中になぞの青年現る!?
今回はここまで。
そろそろ『−BEN THE OF TOILET−』という
サブタイの意味が明らかになってくるかもしれない。
なんと言うまさかのリアルタイム…
一目見ただけでwktkしてしまった
この俺は間違いなく幸せ者
便器型メタルギアか
どんな姿なのか見てみたい
ハンマーキモチヨスwwwwwww
あのBGMが脳内再生されたwwwww
257 :
名無しだって洗ってほしい:2007/03/16(金) 03:12:55 ID:l1jWi9vE
時間をかえせ〜!
>>252 展開が進むまでしばらくお待ち下さい
>>253 あのBGMってのはあのBGMかな?
赤い配管工がハンマー取ったときの音楽かな?
>>254 なんか……タイトルだけ立派みたいな感じでこっちが申し訳なくなる
本編の内容はトイレットペーパーみたいに薄いのに でもGJ
>>255 ……やっぱりどう考えてもこっちが申し訳ない、まとめなんて、まとめなんて…
Mission Logまでまとめて貰っちゃっておいてナンなんだけど、
実はこれ第何章とかに分けるつもりだったんだよね……自分の段取りが悪かっただけで
>>257 あれかな、全部読み通しちゃってから無駄な時間だったと気づいてしまったのかな
……運が悪かったと思ってあきらめるしかないな
――Mission Log――
数名の職員に追われながらも無線のコールに
応答したスネークは、オタコンにより衝撃の事実を告げられた。
物置部屋で見つけた便器の設計図は、実は“新型メタルギア”の
設計図だったのだった。そのことを知ったスネークは、
追っ手の職員達をハンマーで気絶させ大佐とレイトーと
オタコンに便器の設計図の解読を頼み、自分は地下一階の
調査に移るのだった。
地下一階で“第一資料室”を見つけたスネークは
ドアノブを破壊し中に入ろうとするが、謎の青年に見つかってしまう。
【EXIT】
「いやいや、自己紹介が遅れたね。ワタシの名前は“ト・ジョー”いうね」
「!? ジョーだと!貴様もジョー・ファミリーか!?」
「うん、大体はご名答ね。本当はもうちょっとゴチャゴチャした関係なんだけどね」
二人目の「ジョー」が現れた。
敵を観察すると、もうこれ以上ないってほどの中国人系の男だった。
カンフー映画でよく見る男性用のチャイナ服を着込んでいる。
「……貴様いつから俺の隣にいた」
「えっと、お前が『一本外せばもうこっちのもんだ、ネジなんぞ敵じゃあない』とか呟いてる辺りからね」
こいつ、結構前から俺の隣にいたんじゃないか。
ヘラヘラ笑っているが只者じゃない。俺の隣にいる間完全に気配を消していた。
「いやー、ビックリしたね。巡回の為にこの辺うろうろしてたらなんとあのスネークがね、
ドアの前にしゃがみこんでブツブツ言いながら何かやってるんだもんね」
相変わらず俺を指差しながらヘラヘラ笑っている。
ヘラヘラ、っていうよりもうちょっとちゃらんぽらんな「えへらえへら」って感じだろうか。
「あー、笑いすぎて涙でてきたね。ちょっと待ってね」
懐から花柄のハンカチを取り出して涙をぬぐっている。
……俺を油断させるために「ちゃらんぽらんなえへらえへらキャラ」を演技しているのだろうか。
「まーまー、そんな怖い顔しないね。確かにワタシとスネーク敵同士だけどね、
戦ってないときくらい笑顔でいるといいね」
……それとも天然の「ちゃらんぽらんえへらえへらキャラ」なのか?
「あぁ、それとね、その第一資料室には役に立つような資料はないね。
ワタシも一回入ってみたけど、ラーメンの資料とかわけわかんないもんばっかだったね。
プバハッ、思い出しただけで笑っちゃうね」
口を押さえて「ブプフフフ」と空気を漏らしながら笑い出した。なんか腹立ってきた。
「ト・ジョー。お前は何しに来たんだ」
「あいや、そうだったね。スネークは計画の邪魔をする侵入者だったのを忘れてたね」
またプップスプップス笑いを漏らし、笑いすぎて疲れたんだろうか。
ハァハァ言いながら深呼吸をした。
「一応ワタシも父さんに育てられた身ね。
父さんの計画を邪魔する奴を許すわけにはいかないね。
だからちょっとついてきて欲しいね」
右手で笑い涙を拭いながら、左手で俺をちょいちょいと招いた。
「どこに連れて行くつもりだ」
「なんてことないね、ここで戦うのもなんだから、広いところに行くだけね」
「広いところだと?」
それにこいつは「戦う」と言った。
中国人っぽい、ということは、やっぱりアレか。カンフーか何かか。
「そうね。広いところね。やっぱりのびのび戦えるところがいいね」
のびのび戦う、か。こいつの目に濁りはないし、
俺を罠にはめるための嘘でもないだろう。
「……よしわかった。お前を信じてついていこう」
「あいや?信じないっていう選択肢もあったのね!?」
「当たり前だ。敵の言うことをホイホイ信じられるわけないだろ」
「んー、まぁ、それもそうね」
またアッハッハッハと笑い始め、どこかに向かって歩き出した。
少し間をおき、二、三歩歩いたところで少し気になることを質問してみる。
「それはそうと、お前」
「ワタシの名前はト・ジョーね。ちゃんと名前で呼んでほしいね」
「……じゃあト」
「トって何か短いね。ト・ジョーでヨロシク頼むね」
……何かと注文が多い。名前ぐらいどうでもいいだろうが。
「じゃあト・ジョー。お前さっき『一応ワタシも父さんに育てられた身』とか言っていたな」
「……それがどうかしたね?」
「その感じだと、お前はボスの実子じゃないな?」
足は進めたままト・ジョーがこちらを振り向き、笑顔で話し始めた。
「実はね、ワタシ中国で名前も忘れた捨て子だったね」
「……捨て子?」
「毎日毎日ロクにご飯も食べられず、死ぬか生きるかの生活だったね。
そんな生活をするのは何人もいたね。でもワタシは武術の心得があったからね、
時々町に繰り出して観光客とかを襲ったりして食いつないでたね」
内容は暗いのに、明るい表情をしながら話している。
「観光客の中にはそれなりに強いやつもいたね。でもワタシ負けなかったね」
「ちょっと待て、子供の頃の話だろう。なんでそんなに強かったんだ」
「もちろん、強くなるように修業したからね。生きるためには強くないと生きれないね。
これもまた死ぬか生きるかの壮絶な鍛え方だったね。今思えば子供なのに無茶したものね」
「で、そんな観光客を襲ったりしてたときに、一人の青年観光客がやってきたんだね。
もちろんいつものように襲い掛かったね。でも、その時初めて『負け』を経験したね」
生い立ちを話しているうちに目的地に着いたのか、鉄の引き戸の前に立ち止まった。
「その青年観光客が、今の父さん。敗北とともに、その人に尊敬の意を感じたね。
この人についていけば、ワタシは変われる。この人に一生ついていくべきだと思ったね」
懐から鍵を取り出して、鉄の引き戸の鍵を開けた。
「……ワタシは、罪のない観光客を襲った勝利でも勝ち誇ってたね。『勝利の喜び』を感じたね。
でも……あの人は違ったね。襲い掛かってきたワタシに勝利しても、とても悲しい目をしていたね」
重い引き戸がゴゴゴと音を立てて開き、俺とト・ジョーはカツカツ中にと入っていった。
ト・ジョーが引き戸の鍵を閉めて、部屋の中心へ向かう。
「その時、ワタシは誓ったね。この人についていき
自分を変え、この人の悲しそうな目も変えるってね」
だだっ広い何もない部屋の中心でト・ジョーは立ち止まり、俺のほうを振り向いた。
「そういうわけだからスネーク、ワタシは負けないね!父さんの邪魔はさせないね!」
片足で爪先立ちをし、何か武術の構えをしたト・ジョーの目に
さっきまでの「ちゃらんぽらんえへらえへらキャラ」の面影は無かった。
「あぁいいだろう……」
フシュー、と息を吐いて精神集中する。
「だが、俺も任務の邪魔をさせるわけにはいか……?」
さっきまでト・ジョーがいた部屋の中心を見ると、もういなかった。
「遅いね!!」
「がぁっ!?」
「遅いね」の声の次には、もう俺の後頭部に激痛が走っていて、
弾き飛ばされた勢いのまま床にうつぶせに叩きつけられた。
「スネーク……お前が本気でかかってこないと、ワタシは倒せないね。
いや、本気でかかってきてもワタシは倒せないかもしれないね」
「くっそぉ……いたた」
後頭部を押さえてふらふら立ち上がると、目にもとまらぬ速さ、
一瞬で間合いを詰められ拳を目の前で止められた。
「痛がってる暇なんてないね。ワタシの一撃は象よりも重く、豹よりも速く、虎よりも強いね」
思わず冷や汗が頬を伝う。目の前で止められた拳から殺気がにじみ出ている
「ちくしょう!」
ババッと体をしゃがませ、ボディめがけてパンチを放つ。
だが一瞬で後ろに撥ね跳んだト・ジョーは華麗な連続バク転で間合いをとられる。
「スネーク、遅いね。遅すぎるね。そんなんじゃ蚊も叩き潰せないね」
連続バク転に続いて壁を蹴り、こちらに向かって跳んで来る。
頭上から叩きつけられるように拳が降り注いできた。
「うおっ!!」
ト・ジョーのマネをするわけじゃないが、俺もバク転で上からの拳を避ける。
ゴガァン!という音とともにト・ジョーの拳が床に叩きつけられた。
……拳を叩きつけられた床が心なしか凹んでいるように見えるんだが。
「スネークもバク転ができるのね?でもちょっと華麗さに欠けるね」
今は華麗さなんか求めていられない。お前の攻撃をかわすので精一杯だ。
「それにワタシ相手にその状態じゃ、父さんには触れることもできないね。
父さんはワタシよりも数倍強いね。ワタシじゃ全然敵わないくらいね」
「……くっ」
ト・ジョーの口元は緩んでいるが、目はしっかり鋭い。
獲物を狩る肉食動物のような目だ。
「じゃあ……ウォーミングアップはここまでで、本気ってものを見せてやるね」
いやいやいや、ちょっと待ってくれ。心の準備ができてない。
ここまでウォーミングアップなのに、本気出されたらどうなるんだよ俺は。
なんて思う暇も無く、気が付いたら腹のすぐ手前に拳が迫り来ていた。
「はっ!!」
危機一髪、腹に手を当てて防御できた。
だがすぐにト・ジョーの手が引かれ拳の連打が来る。
それこそマシンガンの如く、拳拳の猛ラッシュ。
目で追うのも精一杯で、こっちの防御なんて間に合わなかった。
「ぐああああぁぁっ!!」
何発ほどのパンチを浴びせられたんだかわからない。
とりあえず顔や腹や肩や、所狭しと上半身に激烈な痛みが走って体が地面に倒れた。
「どうねスネーク……ワタシに勝てそうね?」
もう、口を動かすのもだるい。口の中に血の味が広がる。
「……その様子じゃ、クミちゃんに勝てたのもきっとまぐれね。
あちこち隙だらけだし、防御が遅すぎるね。」
クミちゃん……?あぁ、仮設トイレで戦ったクミ・ジョーのことか。
随分かわいい呼び方をするもんだ……あの日本刀を振り回す娘を。
痛みで力の入りにくくなった体に気迫任せで
力を入れなおし、バッと立ち上がる。
口の中で血と唾液が混ざり合い、なんともいえない味がする。
不快極まりないので、ペッと吐き出した。
「クミ・ジョーに勝てたのはまぐれじゃない……」
「? どういうことね?」
口の中を切ったせいでろれつが回りにくいが、続けて言葉を放つ。
「奴は確かに強かったが……精神面が弱かった」
「精神面……クミなにをしたのね?」
「なんてことはない、名前を訊いただけだ」
俺のセリフを聞いたとたん、ト・ジョーの顔が歪んだ。
「名前ね……そうね、それは仕方ないね。クミちゃんはちょっと名前にトラウマがあるからね」
「トラウマ?」
ノドに何か引っかかるので、ゲホッ、と一回咳をする。
血が出てきた。大丈夫か?
「我がジョー一族では、代々一番最初に生まれた男の子に“ベン”を
含む名前をつけることが掟とされてきているね。
その“ベン”の名を持つ者が、親が死んだときジョー一族の全権を担うことになってるね」
「……親の名前を子に継がせると共に、ジョー一族も継がされるということか」
「そういうことね。クミちゃんは父さんの一番最初の子供なのに、
女の子に生まれちゃったからベンの名前を継がせてもらえなかったのね。
だからそれを悔やんでいるのね……可哀想な子ね」
ト・ジョーは実の兄妹を思うかのように悲しそうな目をしている。
実子ではないト・ジョーも、ベンの名を貰えなかった一人だろうに。
……待てよ、“ベン”の名を持つ者が一族の後を継げるということは、
ト・ジョーはベンの名がない。クミ・ジョーにもベンの名がない。
……なら、“ベン”は誰だ?
「まさか……ト・ジョー、お前とクミの他にも、ベンの名を持つジョーがいるのか?」
「……その通りね。ジョー家の血が流れる長男がいるね」
そんな……ってことは、コイツを倒してもまだ一人残っているということか?
俺はもうパンチの連打を受けて虫の息なんだぞ?
「でも、お前にはもうそんなことも関係ないね。お前はここで死ぬんだものね」
再度カンフーの構えをし、目が鋭くなった。
このまま相手のペースだと、本当にここで死ぬことになってしまう。
そんなことさせるわけにはいかん。
「……関係ないわけない。俺はここでくたばるつもりはないからな」
第二のジョー、中国人系武術家“ト・ジョー”現る。
ジョー・ファミリーを継ぐ“ベン”の存在も明らかになった。
スネーク、ここにきて初めてのまともなダメージを喰らった。
今回はここまで。
今時、中華な服着て語尾に「ね」つけるコテコテの中国人ってのはどうかと思うんだ
274 :
255:2007/03/16(金) 18:58:53 ID:dbYzeusu
>>258 そうそうそのBGMw スマブラっぽくテケテケ走るスネークを想像して噴いた
章で分けるんなら言ってもらえれば直しますよん
>>273 いやー毎度毎度おもしろいねー!
応援してますがんばってください。
276 :
名無しだって洗ってほしい:2007/03/16(金) 23:49:47 ID:Bw8UKdWk
なんというヘタレスネーク・・・だがそれがいい
277 :
名無しだって洗ってほしい:2007/03/17(土) 00:26:46 ID:rTXcB9p3
保守
スネーク、CQCの基本を(ry
でもナイフは… 代用品があるか
それ以前にネイキッドじゃなくてソリッドだからCQC使えなくね
ソリッドはナイフ嫌いなんだっけ
お前が鬼だ
283 :
名無しだって洗ってほしい:2007/03/19(月) 00:15:09 ID:X42GxphS
ガチでつまらないのは俺だけ?
>>274 章で分けるとかそういうのは全てが終わってからでも遅くはないはず
>>278-281 確かにソリッドはCQCが使えないし、ナイフも好きじゃないと公言していた。
ネイキッドとソリッドに共通するのが、ダンボールが大好きってこと
>>283 面白い、つまらない、糞、人それぞれ好き嫌いがあるんだよな……
メタルギアを知る全ての人に受け入れてもらえるような物を書けたらなぁと何度思ったことか
――Mission Log――
突如現れた謎の中国人系青年の正体は、第二のジョーだった。
第二のジョーは自らを“ト・ジョー”と名乗り、スネークに「広いところで戦おう」と
勝負を持ちかける。その誘いに乗ったスネークはト・ジョーと共に
別室に向かい、一対一の拳と拳の勝負をするのだった。
しかしスネークは相手の拳法に翻弄され次々と攻撃を受けてしまい、
早くも強烈なダメージを負ってしまう。しかもト・ジョーからは
ジョー一家の跡継ぎである“ベン”の名を持つジョーがいることを
知らされ、愕然とするのであった。
ジョー・ファミリーという家族組織がゆるりゆるりと正体を表す中、
スネークは目の前のト・ジョーの打破を目指す。
【EXIT】
「はぁああああぁぁっ!!」
もの凄い気迫の掛け声とともに、また拳が飛んできた。
また同じ手だ、普通にガードしても連続パンチでKOされるのがオチってことはわかってる。
「うらっ!!」
右脇を狙って伸びてくるパンチを腕ごと脇でしっかり固め掴み、ガッチリ止めた。
これで左拳による連続パンチは封じた。
「なかなかやるねスネーク。でも、まだまだ甘いね!!」
右脇から持っていかれ、足が宙に浮いた。
このまま俺を投げ飛ばすつもりか。
「させるかああぁぁぁ!!」
空中で狙いを定め、ト・ジョーをロックオンする。
できる限りの勢いをつけて右足を振り回す。
「ぐああっ!」
まぐれかそれとも実力か。苦し紛れに放った俺の蹴りは見事に
ト・ジョーのみぞおち辺りにヒットした。
俺は地面に落ち、ト・ジョーは後ろによろめく。
「ス、スネーク……流石にやればできる男ね……!」
ト・ジョーも俺もすぐに体勢を立て直し、いつでも飛びかかれる状態になる。
先に動いたのはト・ジョーのほうだった。
「うおぉぉぉスネーク!おとなしくやられるがいいねええぇぇぇ!!」
パンチ対策にト・ジョーの両腕に神経を張っていると、
横っ腹にズシンと激痛が走った。
こいつ、さっきから鋭いパンチばかりかましてくるから
拳の攻撃に自信があるだけかと思えば、イイ蹴りまでしてきやがる。
歯を食いしばると、血が滴り落ちた。
腹をやられると本当に血が出るもんだ。
しかしそこは根性で倒れずに踏みとどまり、
すかさずト・ジョーの顔めがけて足を振り上げた。
が、ト・ジョーは器用に顔を素早く動かし、俺の足は空を蹴りあげた。
「ハッ!覚えておくねスネーク!!接近戦では拳のほうが効くのね!!」
強烈な右ストレートがみぞおち目掛け飛んでくるが、今避けるわけにはいかない。
「悪いな、俺はここぞというときは足でと決めてるんだ!!」
宙に振り上げた足を、重力を味方に思い切り振り落とす。
ト・ジョーの脳天にかかとが直撃し、首が一瞬沈むのが見えた。
「うがっ……!?」
流石のト・ジョーも前屈姿勢になり、そのまま倒れそうになるが
倒れる一歩手前、俺と同じように根性で踏みとどまった。
俺はすかさず両手でト・ジョーの肩を掴み、体を持ち上げさせる。
その時一瞬見えたト・ジョーの目は、まだ闘志を失っていなかった。
肩を掴む腕にいっそう力を入れる。絶対に放さないように。
「うおおおおぉぉぉぉ!!」
上体を反らし、腕に力を入れてト・ジョーの体をこっちに引っ張る。
タイミングよく頭を前に振り、思い切り頭突きをかました。
「ゴッガァァァ…ン」
本当にそう音が聞こえた。目の前に星がチラチラと散ったのも見えた。
勢いよくやりすぎたか、腕から力が抜けてト・ジョーの体が離れていった。
ショックで視界と頭がボンヤリするが、向こうも相当フラフラになっている。
足取りがおぼつかない。いや、おぼつかないのは俺か?
そのフラフラの状態のまま右手でグーを作り、
フラフラして踏ん張りにくい足を気合で踏ん張らせる。
「ううぅ……あぁ……フンッ!!」
そのグーをト・ジョーの頬目がけてブチ当てた。
ト・ジョーの体が吹き飛んでいくのを見届けて、俺の意識も吹き飛んだ。
――気がつくと、仰向けに床に倒れてた。
なんか三秒くらい意識がなかった気がする。
まだグワングワンする頭を押さえ、体を起こす。
ト・ジョーも床に倒れ伏せていた。
「勝った……か?」
やっとこさ立ち上がってト・ジョーに寄ると、完全に白目を向いて気絶していた。
「どうだ、俺の頭突きと拳でさぞかし脳が揺さぶられたろう……」
こんなこと言ってるが、脳が揺さぶられたのはコイツだけじゃない。
俺も十分グラングラン来てる。でもまぁ軽い脳震盪ってところか。
「フ……フフ……随分頭の硬い男ね、スネーク……」
倒れたままだが、ト・ジョーの黒目が戻ってきた。
意識も大分はっきりしている。
「なんだ、わりと効いてなかったか」
「でも、もう戦う気も起きないね……ワタシの負けは負けね」
ト・ジョーは寝転がったまま懐を探り、鍵を取り出した。この部屋の引き戸の鍵だ。
「おい、俺に鍵なんか渡していいのか?」
「スネーク……ワタシは負けた相手には敬意を払うね。スネークは先に進む資格があるね」
黙って鍵を受け取り、グッと握り締めた。
「ワタシが武術で負けたのは……父さんに続いてお前が二人目ね。
せいぜいジョー・ファミリー相手に頑張るがいいね、父さんの場所は吐けないけどね……」
そう言い残してト・ジョーは「フゥー」と溜息をつき、ぐったりと眠りこけ始めた。
苦戦しつつも第二のジョー、「ト・ジョー」を撃破。
これでまた一歩ボスに近づいた。
次回は、ジョー・ファミリーの過去が明らかに……
ここまで。
今思えばクミ・ジョーがあっさりやられすぎだった。クミカワイソス
乙
すばらしい。
296 :
名無しだって洗ってほしい:2007/03/22(木) 16:12:57 ID:V8BTI3Bb
一時期(2ちゃんがなくなるとかいう話)に凄いココ人気あったのにね…今じゃサビレちまったよ
ええぇいっ!続きはまだかっ!じらすでない!
――Mission Log――
ト・ジョーの攻撃を受けダメージを負ったスネークは、
起死回生とも言える反撃で一撃必殺のチャンスを
得ることに成功した。スネークはト・ジョーの肩をしっかり
掴み頭突きをかましたが、二人揃って軽い脳震盪状態に
陥ってしまう。しかし最後の拳の一撃でト・ジョーはダウン、
スネークは見事に勝利を収めた。
勝利後気絶しながらも見事に復活したスネークは、
ト・ジョーから受け取った鍵を使い部屋から脱出する。
【EXIT】
引き戸のほうへ方向転換し、ツカツカと歩く。
施錠を解き、重い鉄の引き戸を開けて通路へ出た。
「……久々に、本当に意味のある良い戦いをしたかもしれない」
不思議と充実した戦いだった。拳と拳のぶつかり合い、
“男の浪漫”みたいなものだろうか?
だが、これはこれ。それはそれ。
早くボスのところへ行き、この計画を阻止する。
……いや、ボスより先に“ベン”がいるのか。
「ゲホッ……それにしても、大分ダメージを受けたな……」
拳と拳の戦いだったが、ト・ジョーから受けたダメージは計り知れない。
満身創痍とまではいかないが……満身創痍度七十パーセントくらい、ってところか。
そこで俺はあることを思い出した。
「あぁそうだ、新型メタルギアの設計図はどうなったんだろうか」
戦闘に集中しすぎて、あと頭がクラクラするせいもあって
メタルギアのことを忘れていた。早速大佐達に連絡をとろう。
PLLLL♪ PLLLL♪
[大佐、メタルギアの設計図はどうなっている?]
[あぁ、今暗号解読中だが……かなり厳重に暗号化されている。時間がかかりそうだ]
[今大体どのくらいまで解読できてるんだ?]
[……この便器が、何か特殊な感じの素材で出来てることくらいしかわかっておらん]
[……随分アバウトだな]