42 :
ななしの珍味:
豚肉の場合は有鈎条虫というものです。
この有鈎条虫というのは非常にこわいもので、日本産の豚肉は原則的に安全であると言われていますが、
輸入のものが増えてくると注意をする必要があります。
この寄生虫の生活史はとても複雑ですが、人が終宿主で人の便の中に卵が混じり、
何らかの原因でこの卵を豚が食べ筋肉の中で幼虫(この幼虫を有鈎のう虫と呼ぶ)が寄生し、
この有鈎のう虫に感染した豚肉を人間が食べると、腸管の中で3〜4メートルのサナダ虫になりまた卵を生みます。
もしこの卵が人の口に入ると人は豚と同じ中間宿主の役割を果たし、人の脳や筋肉に有鈎のう虫が寄生します。
これが神経系に寄生すると神経有鈎のう虫症と呼ばれます。
筋肉や皮下にも寄生することがあり、皮下では結節がたくさんできます。
人の腸管の中に有鈎条虫がいるときは卵をどんどん生み、卵の一部が腸の中から直接侵入してきて
自家感染を起こし有鈎のう虫が増え続け、無数の有鈎のう虫が皮下に寄生し、神経にまで達し、
ひどいときは死に至ります。
43 :
ななしの珍味:04/09/22 03:51:21 ID:9dUKAEEo
中国の旧満州の辺りでは非常に多く、台湾、中南米のメキシコに多いのです。
メキシコの田舎の店頭で売られている豚肉をみると明らかに感染しているのがわかるので
こういう肉を売ってはいけないと指導しても、有鈎のう虫は5ミリメーターほどで
ラグビーボール形をした真珠のようにきれいで肉眼でもみることができ、
豚肉に真珠をちりばめたようなので高値で売れるために売ることをやめないのです。
こういう訳でメキシコでは感染者が減らないのです。
最近アフリカで起こったことですが、あるアフリカ人がてんかん発作を起こして有鈎条虫を便と一緒に排出し、
呪術師の所に相談に行ったところ、呪術師はてんかんの原因は体から出てきたこの虫であると告げました。
確かに有鈎条虫に感染していると脳有鈎のう虫症である可能性があり、てんかんを起こす可能性もあります。
この呪術師の診断は正しかったのですが、患者が持参した有鈎条虫の変節をすりつぶしその汁を飲ませた数日後、この患者はけいれんを起こし死亡しました。
変節をすりつぶしたという事は、何百万個の有鈎条虫の虫卵を飲ませたことになり、これが一気に感染したことが原因です
44 :
ななしの珍味:04/09/22 03:52:35 ID:9dUKAEEo
ー脳に感染したりした時の治療法はあるのですか?
治療法はないので開頭手術をしています。
日本でも患者さんが見つかることがありますが中国人留学生などに多く、
発作を起こして病院に運ばれ調べてみると脳に影が見つかり、
開頭手術をしてみると有鈎のう虫が見つかるという例がたくさんあります。
45 :
ななしの珍味:04/09/22 04:05:41 ID:9dUKAEEo
■2 トキソプラズマ症
トキソプラズマ症はトキソプラズマ原虫(図1)が感染して起こる病気で世界的に分布しています。
重要な感染経路の一つにブタなどの筋肉中に存在している原虫を誤って口から取り込むルートがあります。
妊娠初期に感染すると死流産や胎児に先天性の障害を引き起こす恐れがあります。
一方成人では、日本では健康成人の20−40%、アメリカでは30−50%が感染歴を持っているとされていますが、
症状をあらわさない不顕性感染が普通です。
動物の場合も不顕性感染が多いため、食肉検査で見逃されて食肉として店頭に並ぶ可能性は否定できません。
この病気は、肉用家畜の飼育方法や肉の調理方法、それに食習慣などを反映して国や地方によって感染率に差がみられます。
しかしトキソプラズマ原虫は70℃で5分程度加熱、または−15℃で凍結することで感染性を失うとされています。
妊娠初期の方や妊娠の可能性のある方は特に感染予防に注意を払っていただきたいと思います。
46 :
ななしの珍味:04/09/22 04:08:58 ID:9dUKAEEo
■3 旋毛虫(せんもうちゅう)症
これは旋毛虫(トリヒナともいう)(図2)と呼ばれる寄生虫が感染して起こる病気で、日本を含めて世界中の家畜や野生動物などに広く分布しています。
ヒトは感染動物の肉を生で、または加熱不十分な調理方法で食べることで感染します。
摂食した虫の数が少ない場合には無症状か軽症で終わりますが、多数の寄生虫の場合には発熱や、腹痛、下痢などの消化器症状があらわれ、
その後幼虫が体内を移行する時期になると目の周りの浮腫や筋肉痛などの急性症状をあらわします。
日本では狩猟で殺したクマの肉や、郷土料理店などのクマの肉を生で食べて感染する例が報告されています。
国外でも生肉や調理不十分の肉が原因となっていますが、国や地域によって食習慣が違うために原因となる動物肉もさまざまです。
その一部に、豚肉のソーセージ、馬肉のタルタルステーキ、インドシナ半島などの伝統的な犬肉料理、北極圏の一部で生食される
北極熊やセイウチの肉、クマや野生ブタの肉などが知られています
47 :
ななしの珍味:04/09/22 04:11:31 ID:9dUKAEEo
■4 有鉤嚢虫(ゆうこうのうちゅう)症
この病気はブタに寄生している有鉤条虫(図3)と呼ばれる寄生虫が、生あるいは調理不十分の豚肉を食べることでうつります。
侵入した有鉤条虫は体の中の各所に停留して嚢虫と呼ばれるステージを形成することがあります。
特に脳などの中枢神経に嚢虫が形成されると痙攣や、意識障害、精神障害を引き起こすことがあります。
嚢虫が臓器の中で腫瘤を形成すると腫瘍との区別が困難で、診断が難しい寄生虫症とされます。
有鉤条虫症は国内では沖縄に存在すると言われていました。
海外ではスラブ諸国、アジア、東欧、中央・南部アフリカ、メキシコ、中南米と、広い地域に存在しています。
特にヒトの糞便をブタに対して餌として与えたり、畜舎の周囲で野菜等に肥料として播いたりするなど飼育状況が衛生的でない地域に多い感染症です。
有鉤条虫と近縁の寄生虫に、ウシやヒツジに感染している無鉤条虫と呼ばれる寄生虫があります。
感染したときの症状は有鉤嚢虫症に比べると軽微ですが、牛肉やヒツジ肉の生食を避け、十分に加熱調理することによって感染を防ぐことができます。
48 :
ななしの珍味:04/09/22 04:13:26 ID:9dUKAEEo
■5 おわりに
今回は肉から感染する可能性のある三つの寄生虫・原虫疾患を紹介しました。
この他にも感染した動物の肉の中の病原体を食べてうつる可能性のある人獣共通感染症は多数知られています。
食品媒介性の人獣共通感染症を防ぐための最も基本的な対策は、食用家畜を衛生的に飼育し、感染症のない良好な健康状態に保つことです。
しかし、われわれが個人的に家庭でできる対策もまたきわめて有効です。
それは、肉類は一度凍結(−20℃以下)されたものを選び、生食を避け、中心部まで十分に加熱調理することです。
海外では珍しい料理等につい手を出したくなりますが、それぞれの地域の事情を十分に把握しておく必要があるでしょう。
食用にする肉は屠畜場で行われる食肉検査に合格したものであることはもちろんです。検査を行っていない肉や野生動物の肉を
購入したり食べたりすることは健康保持の観点からきわめて危険な行為といえます。