本展では、ルーベンスによる輝くような裸体表現の大作「キモンとエフ
ィゲニア」、ファン・ダイクの代表作のひとつであり、彼の感受性の豊
さを示す宗教画「マリアと福者ヘルマン・ヨーゼフの神秘の婚約」が出
品されます。両作とも17世紀のフランドル絵画の特色をよく示していま
す。
貴族の気品を漂わせながらも、冷徹な視点でみずからを見つめたルーベ
ンスの「自画像」は、ウィーン美術史美術館の名品であり、本展を代表
する作品のひとつです。また、ファン・ユトレヒトの狩猟記念図「狩猟
の獲物」は、フランドル静物画の特徴をよく示しています。
17世紀のオランダ絵画
1555年の秋、カール5世はブリュッセルで退位し、息子のフェリペ(スペ
イン王フェリペ2世)にネーデルラントの統治を委ねます。しかし、フェ
リペの支配に激しい抵抗がおこり、スペインは軍隊による弾圧と圧政を
もってこれに応じます。1609年休戦条約が成立し、新興のオランダ連邦
共和国は、事実上スペインから独立を果たします。
共和国の誕生後、この地の文化は上層市民階級の富を背景に黄金時代を
むかえ、北部ネーデルラント―オランダ独自の都市的、市民的性格をも
つ自由で寛容な精神が形成され、これが美術作品に投影されました。
新たに誕生した市民社会において、宮廷、教会といった大建築を飾る絵
画の依頼者は少なく、画家たちは、富裕な上層市民たちだけでなく、普
通の人々も販売層に考えなければならなくなります。こうして人物、静
物、風景、風俗といった個々のジャンルを専門とするスペシャリストが
誕生し、現在ではあたりまえのものとなっている絵画ジャンルが、この
17世紀オランダで成立したのです。
第3章では、この黄金時代の多彩な作品を紹介します。高い精神性を達成
した歴史画、神話画で知られるレンブラントの「金鎖の首飾りとイヤリ
ングを付けた毛皮の上着の自画像」、「使徒パウロ」、崇高な自然美を
繊細なタッチで描いた風景画家ヤーコプ・ファン・ライスダールの「渓
流の風景」、教訓的な寓意を含んだ風俗画で知られるヤン・ステーンの
「農民の結婚式(騙された花婿)」などのほか、静物画、海景画、動物
画の名品を展観します。
そして、オランダ風俗画の頂点に位置する画家フェルメールの「画家の
アトリエ(絵画芸術)」が出品されます。ウィーン美術史美術館の至宝
であり、出品作の中でも別格の存在と言えるでしょう。
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電脳プリオン:05/01/30 23:50:10 ID:Wc2VI5S+
もうオワットル。