【聖域なきこち亀】Ver.7秋本先生の構造改革

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155秋本治
「ドラえもん」「サザエさん」に並ぶ、国民的漫画……になるはずだったクソ漫画。それが
「こち亀」。

80年代から90年代前半にかけて、その異常なまでのレベルの高さと、異常なまでの長期連載で、
ある種カリスマのような風格すら漂っていた「こち亀」だが、現在ではただの変態漫画になり、
あちこちで叩かれまくっているのは非常に残念ではありません。

まあそんなわけで、なぜここまで激しくレベルが低下したのか、いつごろから低下したのか、
おいらの考えを述べる前に、現在のこち亀をとりあえずぶった切ってみます。


いうまでもなく、「ジャンプ」に連載されている漫画なんですが、決してレベルが高いわけではない現在
の連載陣の中にあって、良く言っても下の中、普通に考えれば下の下、下手したら、
「ガンズ・ブレイズ・ウェスト」を抜いてワーストをとれそうな勢いのつまらなさです。
156秋本治:2001/07/29(日) 15:43
なぜそんなにつまらないかというとハッキリしていて、秋本がいつまでもサムいネタに固執しまくって
るからです。

たとえば、最近の秋本のお気に入りと思われる、ギボシレモンというキャラがいる。
どういうキャラかというと、4歳児のクセに「ほう、これは旨いのう」とかほざく、誰が見
ても人格破綻をきたしているムカツクキャラなんだが、秋本の中では4歳児なら
ば無条件で萌えが発動するらしく、頻繁に漫画に登場するのでもはや処置なし。

しかもコイツ、最近微妙にキャラ変わってきてるところがキツイ。
最初は、先程もあげたように、4歳児のクセに古風な言葉遣いをするという、ある種キャラができて
いたのだが、最近では単なる大人になつくだけの変態ガキに成り下がっており、
魅力の欠片もありません。もともとねーけどさ。

なんでこうなってしまったかは明白で、秋本がレモンに入れ込むあまり、自然とロリータキャラ
になってしまうからだと思われます。
秋本がレモンを描く→「レモンたんかわいい…・・(ハァハァ)。チューしたい……(ハァハァ)」→
幼女が大人になつくという、秋本の妄想的ストーリー展開、
というクソ構図が出来あがってるんですな。
しかし、顔面の面積の半分が目という、蝿のような骨格を持つ4歳児に萌える
人間は、幼女というだけで無差別に萌えが発動する秋本以外に存在せず、
一般読者からもオタクからも総スカンを食っている状態です。
157秋本治:2001/07/29(日) 15:44
もうひとつ、現在のこち亀を象徴する出来事が、ヒロイン、麗子の胸。
初登場時から、麗子はそれなりのバストの持ち主だったわけだが、最近のは異常。だって、
バストが1メートル20くらいあるんだもん。合体したらキングスライムが生まれそうな
勢いです。もはや、ブンガク、もしくはつげ義春の世界ですな。

つーか、ここまで来ると普通巨乳とはいわず、、奇形というのでは……。
しかも、この奇形巨乳も秋本のお気に入りであるらしく、頻繁に胸を強調するカットや、
水着を着たドアップの扉絵が折りこまれるので、食事中に読んだりすると戻す可能性
大です。こんな気持ち悪い女を書けるなんて、スゲー才能の持ち主だぜ、秋本先生!! 死ね。


もうひとつ、いまさらというツッコミを恐れずに言わせてもらうなら、毎回毎回同じパターンを
使いまわしすぎ。
最近のこち亀の、もっともオーソドックスなパターンは、主人公・両津が商品を開発する→当たる→
調子に乗る→倒産→「ぶちょ〜、金かしてくださ〜い」だと思うんだが、これのどこで
笑えばいいというのか(自問)。
両津が開発する商品も、「本物の軍艦をまいた軍艦巻き」だとか、「しゃべる招き
猫」だとか、赤塚賞の一次選考も通らないようなレベルのものなので、読んでて
苦痛になります。

あと、両津がテレビに出たり、レースに出たりするのも、マンネリの極地。結局、両津が番組
めちゃくちゃにして一人勝ち、っていうオチなんだから。凶悪なサムさです。
てゆーか、なにが書きたくて漫画家やってんだ、この人? もはや「こち亀」からは、
「ボクは幼女と巨乳(奇形)がだいしゅきでしゅ!! だから自分のタメに
漫画かくのでしゅ!!」
といった主張しか伝わってこないんだが。おとなしく同人誌でも作ってろ!!
金のため、という意見もあるが、単行本120巻以上を売りまくった印税で、ゆうゆうと死ぬまで
ゴージャスな生活ができると思うんだが。
こんな惰性でクソ漫画書くいて、俺の近所の中学生に、「こち亀? どうせ昔からあんなの
なんでしょ? もちろん読んでませんよ」とか言われるくらいなら、スパッとやめりゃあいいのに。
ねえ、西村京太郎先生?(←チガウ)
158秋本治:2001/07/29(日) 15:45
では、いつごろから「こち亀」はおかしくなったのか。
これには色々説があるようで、30巻、40巻代からおかしくなった、という意見もある。が、それは
かなりの暴論というものだろう。
初期の「こち亀」は、中期の綿密な取材に基づいたエンタテインメントという赴きとは
違って、かなりナンセンスなギャグの占めるウェイトが大きかった。
バイクにのると狂人と化す本田や、ヤクザあがりの警察官・戸塚、ナルシスト・星など、逝っちゃってる
キャラはこのころに作られた。
思えば、これらのキャラも、強引な路線転換により、いつのまにか粛清されてしまったようだ。確か
に、幼稚園児が出てきて、「カンキチ、カンキチ」ほざく変態漫画には、かれらの
居場所はなかったのだろう。どれもイイキャラだったのに、寂しい限り。

まあ、初期のそうしたナンセンスギャグの世界から、中期は、流行しているものや、秋本のお気に
入りのものなどを作中で取り上げ、それを両津がいじっていく、というスタイルで主に進行してました。
確かに、初期とは趣向のことなる作品作りだし、初期のあの雰囲気が好きな人にとっては、低質化
したと見ることもできるんだが、客観的に見ればやってることはめちゃ高度で、オイラ的には、
この頃が一番脂が乗ってたんじゃないかと思う。

では、いつからおかしくなったのか。
多分、パソコンネタが登場し始めた、90巻の後半くらいからだろうねえ。
ウィンドウズ95が発売されて、一気にインターネットが広まった、まさにあの頃。
今でも覚えてるんだけど、秋本が巻末コメントでこんなことかいてたんですよ。

「インターネット始めるために、英語を勉強しています! そのうち作品でも取り上げます!<秋本>」

なるほど、さすが秋本先生、最新の流行を追ってるなあと感心したもんだが、これが崩壊への序曲
だったわけですな、いまから考えると。

もともと、秋本という作家はいい意味でも悪い意味でも、100%オタクな作家です。
実際、サブカルチャーについてよく勉強してるし、書かれている内容も実にオタッキー。
例をあげると、バービー人形とか、GIジョーとかのおもちゃに対する知識は素人目にもすごいと思わされ
ます。
159秋本治:2001/07/29(日) 15:46
当初のナンセンスギャグを書く才能が後退してから、秋本は、自分の中に詰まっているオタッキ
ーな側面を、漫画の中にブレンドしていこう! と方針を変えたんだと思います。自然に
変わったのかもしれませんが。
結果的にこれは成功で、真性オタク、秋本の書くディープな中期こち亀は、漫画史上まれに見る
クオリティの高さ&持続性を誇り、一次代を築くことになります。
この頃の「こち亀」は、本当に面白かった。せめて、100巻くらいで終わっていれば、ギャグ漫画
史上、空前絶後の金字塔を築けたはずなんです。こんなクソコーナーで、自分みたいな
厨房にツッコミを受けることなく……。

では、なぜ90巻代から、低質化しはじめたのか。
それは、秋本という作家の資質に大きく関わりがあります。
先程もいったように、秋本という作家は、自分の中に詰めこんだものを吐き出しながら、
ストーリーを構築する、という手法を、ある時期から取っていました。
んで、90巻代あたりから、秋本の詰め込む情報が、著しく劣悪になっていったんじゃないかと思います。

たとえば、「ときめきメモリアル」のパクリをやってみたり、ギャルゲーを漫画の中に出して
みたり、もちろん一般陣には理解不能、面白くもなんともないパソコンネタをやってみたり。
そういった情報を取り入れ、吐き出していったのが90巻代後半から100巻代前半。この
辺りから、目に見えて低質化が始まったわけです。

んで、そういった情報に影響を受け、早乙女だのハヤだの、必要のない女性キャラを乱立
させだしたのがその後。もう低質化に歯止めがかからなくなってきたのがこの頃です。
なんでそうなったのかはもはや邪推でしかないんだが、秋本は20代前半(たぶん)からずっと週刊連載
を続けてきたわけで、いわば青春を漫画にささげてきたわけなんですが、その反面、女性との充分な
デートの時間も取れず、恋もロクにできず、といった状態だったと思うんです。
それが、ネットに反乱する萌え情報なんかをとり入れて作品を作っていくうちに、この満たされぬ
思いを作品の中にぶちまけることで発散させよう! っていう心理が動いたんでしょうな。
160秋本治:2001/07/29(日) 15:47
次々と乱立する女性キャラ。それは、理想の女性を追い求める、秋本クンの悲しいまでの葛藤だった
わけですよ。オカマだったマリアを女にしてまで。これは秋本のお気に入りにはならなかった
らしく、以後粛清されてしまいましたけど。
いやあ、悲劇ですねえ。てか、そんなもん読まされる読者も悲劇だが。

そしてついに、秋本は理想の女性を見つけます。
それが、ギボシマトイと、ギボシレモンの姉妹だったわけです。
下町出身で、粋なアネゴ肌のマトイと、大人になついてくる妹タイプのレモン。この二人の微妙な
コントラストは秋本的にツボだったらしく、以後、女性キャラの乱立はなくなり、かわりにマトイとレモン
が、それまでサブキャラだった中川と麗子を押しのけ、副主人公の座を射止めます。

そして、主人公だった両津は、警察官を辞め(辞職はしてないけど、実際は辞めたも同然)マトイと
レモンの家で寄生虫のごとき暮らしを始めます。重度のパラサイト・シングルです。
美人姉妹に囲まれて暮らす毎日。。。これは、秋本の理想郷が確立したことを物語っているのではない
でしょうか。

ともかく、理想郷を確立してからは、人情ドラマをやってみたりと、昔のこち亀に戻ろうとしているかの
ような作風になりつつありますが、いかんせん、コマのほとんどを女性が占めるという現在のこち亀。
昔は、寅さん・両さんとまで言われた両津には、魅力の源だったダンディズムが圧倒的に
不足し、もはや窒息寸前。
多分、秋本、両津なんか書きたくないんだろうなあ、もう。
女性キャラばかりが出てきてバカ騒ぎを繰り広げる、ヘタレな少女漫画みたいのが書きたいん
じゃないかなあ、と思います。
ならば「こち亀」を打ちきり、どっか他のところに行けばいいのに、謎です。


まあそんなわけで、「こち亀」低質化の理由を説明してきたわけですが、書いてて哀しくなってきたので、
この辺で絞めの一言!!


てゆーか、「こち亀」ってもうアシスタントが書いてて、秋本は関与してないんだ
ってよ……。


そりゃあ、打ちきれねえわけだ。。。