キャンサーのデスマスクはアニメおたくだ。
特にジャパニメーションがお気に入りで、日本人である星矢に
やたらヲタ話を振ってくる。
デス「星矢、おまえいいなあ。日本ではアニメ見放題だもんなあ。
ハニャーン、ピカチュウ萌え〜」
星矢「デスさん。わりいけどオレ、テレビ見ないからわかんないんだよね。
アニメなら、アルデバランさんが詳しいはずだぜ?」
デス「あいつは少女漫画専門だろ。オレとは合わないなあ。
昔セーラームーンのコスプレしてたけど、どうもオレのタイプとは
違うんだよね〜」
星矢「そういえば、アルデバランさんって少女漫画の名作が今宝塚でやって
るとかで日本に行ってるはず。なんかフランス貴族の格好してたな。
すげえ熱心だと思うよ」
デス「あいつは見かけによらずロマンチストだからな。」
日本の夏は暑い。梅雨明け前だというのになんという暑さだ。
アルデバランの額から汗がとめどなく流れる。
ギラギラ光る汗を手ぬぐいで押さえても埒があかない。
手ぬぐいにはアイメイクべっとりと付くありさまで化粧直しに余念がない。
迎えはまだ来ないのか。星矢に取り次いでもらっているはずなのだが・・・
「タオルをどうぞ」
そういってタオルをそっと手渡す少女が居た。
「ふふ、アルデバランさんですよね?美穂です」
「おお、君が美穂さんか。わざわざお迎えにきて頂きかたじけない」
「暑いでしょう。そんな格好をしていては。」
アルデバランは宝塚の舞台を見学すべく遥々日本へやってきた。
当然服装にも気合が入っている。フランス貴族の軍服に身を包み、ブロンドの
ウィッグを装着し、メイクも完璧に施していた・・・はずなのだが、猛暑で
台無しになってしまった。
「恥ずかしいところを見られてしまったな。ガハハ」
「クロスニ比ベタラ・・・」
「へ?」
「ゴホッ、いいえ。・・・ホテルまで案内しますね」
ふたりはとりあえずタクシーで移動することにした。
アル「それにしても美穂さん、よく私がアルデバランだとわかったねえ?」
美穂「星矢ちゃんから聞いてますから。ンナカッコデクレバワカルッチューネン、ヴォケ!ダセー(゚д゚)」
アル「へ??」
美穂「ゴホッ、いいえ。あ、ホテルに着きましたよ。」
アル「いやあ、どうもありがとう」
美穂「アルデバラン、イッテヨシ!」
アル「へ???」