レスラーの日記を代わりに書いてあげよう。[３冊目]

●月●日
今日高岩を走らせてモデルガンの的にしていたら良いことを思い付いたので
早速有明に車を飛ばした。
三沢ちゃん、喜ぶかなあ？やっぱり俺って頭良いよね。
車の中で笑いが止まらなかったよ。
NOAHの事務所に入ったら受け付けの人に止められたけど
「俺、フリーパスだから大丈夫。」
って言って中に入った。新入社員だな？だめだよ三沢ちゃん。ちゃんと教育しな
いとさー。
皆俺の事見てたけど、そんなに珍しい？大丈夫、社長だって言っても俺、フラン
クな性格だからこだわるつもりないし。
社長室のドアを開けて陽気に挨拶。あれれ？誰か倒れてるよ？しかも二人。まあ
いいや。
「お疲れーみーちゃん！送ったサンドイッチは食べてくれた？」
「食ってねえよ。」
もーみーちゃんったらー。いくら忙しいって言っても食事は大切だよ？
何だかハラヘッタなあ。お、サンドイッチが余ってる。三沢ちゃんには悪いけど
それ、頂くね。
「そーそー、俺さあ、今日高岩追い回していたら良い事思いついちゃったんだけ
どさー…。」
「なんだよ。さっさと言えよ！」
もー。そんなに急かさないでヨ。テレビだったらCM入るところだよ？
焦らすように俺はサンドイッチを掻き込んだ。
ん？なんだか硬いものが入ってるなあ。まあ、いいか。
「高岩VS小川（良）の髪切りデスマッチって言うのはどうかな！？ねえ！」
「小川にリスクが多いじゃねえか。」
「そお？じゃあ「髪の毛遺恨！ジュニア頂上対決！」って言うのはどうかな！」
「遺恨の意味が違うんじゃねえか？つーかそれ完全な逆恨みだろ。冬木さんと
やれよ。」
もーつれないなあー。

つづく

つづき

「とにかくさー、小川貸してよ小川！小川が出たらきっと盛り上るし、皆みたい
と思うよ！ぱっとやろうよ！そうしたら話題になると思うよー！」
「人生『たら・れば』なし！」
三沢ちゃんの社長席からの豪快なエルボースイシーダを食らってしまった。
なんで？面白いじゃん。
もー、心狭いなあ。そんなんじゃ選手育たないよ？今プロレス界を盛り上げるの
は俺達しかいないっていうのに。
選手と言えば井上くんは大丈夫かな？良くなったかな？
破壊王弁当を持っていったけど病院だし、いけなかっただろうか？
そうだよね。いつも同じものじゃ飽きちゃうし栄養も偏ってしまう。
ノアにもいっぱい送りつけて悪かったね。良かれと思ってやったとはいえ、迷惑
かけてしまったね。断れないの、分かってたのに。無理して食べてくれたんだね。
思えば三沢社長も大変だ。一人でいっぱい背負っているのに…こんな俺に付き合
ってくれている…良い人だ。
なんだか涙が出て来た。爽やかな汗がかきたい。
そうだ！これから井上選手のお見舞いに行こう。車は使わずジョギングで。
そして素直に「ごめんね」と言おう。
上を向いて涙を流す俺を見詰める三沢社長の顔が眩しい。

恋をしてしまいそうになった。

Ｐ・Ｓ
また暫くしたら送ります。