文化としてのバレーへ

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85名無し@チャチャチャ
Vリーグ女子外国人選手枠復活(2000/11 - 12)

Vリーグ女子日立の廃部、男子新日鐵のクラブ化が発表されるのとほぼ同時に、Vリーグが大幅な改革を検討していることがわかった。11月27日、岡野Vリーグ実行委員長が明らかにした。

10チームから8チームに減らす
ホームアンドアウェー制の導入。4回総当たり28試合に試合数は増加
外国人選手を1チーム1人認める

いずれも必然と思われる内容である。私にとっては、かなり昔に書いた話であり(日本バレーは、これでよいのか参照、98年世界選手権前後に書いたものである)、正直なところ、遅きに失したと言わざるを得ない。
この改編の内容は、実は第4回以前に戻る部分も相当含まれる。第4回Vリーグは、ホームアンドアウェーこそ採用されていなかったものの、外国人選手出場1人(登録は2人まで)、8チーム3回戦総当たり21試合で行われていた。こうなると、時代の必然に逆行する形で費やした数年間(特に、外国人選手を禁止した第6,7回)が悔やまれてならない。
この後、12月6日の会議で、「8チーム4回戦制、ホームアンドアウェー」方式を翌シーズン(第8回)のVリーグで行うことは見送られた。リーグ下位のチーム(親会社)から強い抵抗があったことは想像に難くない。開催会場の確保が難しいという問題も指摘された。
12月13日の理事会で、外国人選手の導入は承認された。
ファンの間では、なおも賛否両論がある。外国人選手の導入に反対する理由は、以下の2点に集約される。
外国人の大砲を入れれば、そのエースに高いトスを上げて打たせれば勝てるというバレーになってしまう。そのため、セッターが育たない。
ただでさえ経費削減のために企業スポーツ部の活動停止が相次ぐ中、よけいに費用がかかる外国人選手を入れることなどできない。
しかし、私の結論は簡単である。外国人選手を導入することにはもちろん賛成だし、それ以前に、外国人選手は必要なのだ。外国人選手を入れて、それをプラスに生かせなければ、日本女子バレーそのものが滅ぶ。
ほかのページの記事でたびたび書いているように、バレーボールという競技は、守備ができなければ攻撃の機会自体がないという競技である。現在世界の上位のチームは、男女ともいずれのチームも守備が堅い。それは偶然ではなく、競技の本質に照らして必然であり、例外はあり得ないのだ。
そして日本はその守備ができていないことが、世界最終予選あるいはワールドグランプリでもはっきり示されている。守備ができなければ、いくらよいセッターがいたとしても、意味がない。
世界の強い攻撃に対する守備力を養うには、まず慣れることが第一歩であり、そしてそれ以外の対策はないはずである。守備という観点で、第6回Vリーグで外国人選手を禁止したことが悪影響を及ぼしたことは、間違いない。リーグ戦を日本人選手だけでやっていては、国際大会になったときに、どれだけ守備が通用するのか判断のしようがない。
86名無し@チャチャチャ:2001/05/27(日) 05:12 ID:???
もっと言えば、外国人の大砲を連れてくることに問題があるのではなく、その使い方に問題があるわけである。例えば、'98-99シーズン(当時V1リーグ)のJTがよい見本であろう。当時、ナターリャ・サフローノワという大砲はいたものの、何が何でもナターシャというバレーはしなかった。日本人アタッカーへの速いトスを非常に多く用いた。そのシーズン、チーム全体のアタック決定本数に占めるナターシャの割合は、30%程度、普通のエースの使い方である。同じシーズンのVリーグの上位チームで40〜60%に達したのと比べて著しく少ない。

さらに付け加えるとすれば、何もエースの大砲の外国人選手ばかり連れてくるとは限らない。経験豊富で攻撃力のあるセンターを増強すれば、むしろセッターを育てるにも極めて有効であろう。最終予選以降のクロアチアを見ればよい。
日本のセンター攻撃は、世界最終予選でも、中国・韓国あるいはイタリア・オランダと比較してさえ、著しく見劣りした。(もちろんセンターだけの責任ではなく、サーブレシーブが悪くセンター線が使えないことにも相当の問題はあるし、セッターが小さすぎることもその一因である。セッターが小さすぎると、トス自体合いにくいし、センターの高さに届くまでに時間がかかる。)ことあるごとに、30歳過ぎたロートルの選手の復活論が蒸し返されるほど、攻撃のできる(特に、クイックがきちんと打てる)センターが不足している。その中で、セッターを育てていくことができるのか。むしろ疑問である。

外国人選手が認められると、外国人選手を増強するだけの資金的な余力がないチームは、成績が下がり、ひょっとすると活動停止に追い込まれることがあるかもしれない。(本当はあってはならないことだが)しかし、日本人選手だけでちまちまとしたリーグ戦をこれ以上続ければ、日本女子バレーそのものが滅ぶだろう。

もっと長期的な観点で考えても、外国人選手禁止の悪影響は計り知れない。
国内リーグには外国人選手はいない。海外リーグで武者修行をするにしても、海外のチームに所属の選手は日本代表になれないという規定がある。これで全日本が世界トップレベルならまだしも、五輪出場さえ難しく、世界選手権ベスト16がおそらくぎりぎりのレベルだろう。要するに、バレーに進んでも、その先に世界が全く見えてこないのである。世界の頂点に通じる道がない。
このような状況で、いったいどれだけの子供が、バレーにあこがれ、将来バレー選手になりたいと志すだろうか。優れた素材をほかの競技に奪われるのも、これでは当然である。

全日本が男女とも五輪出場を逃すに至り、バレーの人気は急激に低下している。これを書いている時点で、すでに第7回Vリーグが始まっているが、全日本女子の成績が上向いたワールドカップ直後の前年と比べて、半分かそれ以下の客足と思われる。
事態を打開するためには、本物のファン、すなわちバレーという競技のファンを増やすことを目指すしかない。そのためには、レベルの高いプレー、レベルの高い試合を見ていただく、ということが遠回りのように見えて最も効果的であり、またそれしか方法はないはずである。バレーボールという競技そのもののファンなら、日本が弱かろうと選手が入れ替わろうと、レベルの高い試合なら見てくれるはずである。また、一度でも世界のトップを知ったファンは、日本人選手だけでレベルの低いリーグを続けている限り、二度と戻ってこないだろう。
そのためには、当然ながら、レベルの高い選手をリーグに入れることが必要である。この観点でも、外国人選手を導入するのは、必然である。