九州国際空港建設の是非を問う!

このエントリーをはてなブックマークに追加
801無謀松改め「よだろく」
771と784を書いた者だ。

改めて整理すると。(あくまでも個人的な見解ね)
☆九州の現状
@福岡に実質一極集中している。
A旅客以外に企業や若者も福岡に集中している。
 毎週末になると、JRや高速バス、自家用車を使って各県から人が出てくる。
 流入定住人口も他県がすべてマイナスなのに福岡(実際は福岡都市圏)だけ増加している。
B他の県は福岡一極集中に対して不安と不快感と嫉妬心を抱いている。
C福岡は逆に他県に対して既得権益を奪われないかと過剰に警戒している。

☆各県には背景として
@江戸時代以前は人の移動が制限されていたので、各県の人口比にあまり差は無かった。
A明治期には地政学的に九州を押さえるという事で熊本が行政の中心になっていた時代もある。
 現在福岡に移転した国の出先機関の他、旧電電公社も熊本が九州の本部だった。
 陸軍連隊も置かれた。(現在でも自衛隊がありますね)
B鎮守府が置かれた佐世保や漁業従事者を中心に長崎県の人口も福岡より多かった。
 幕末からの縁で長崎も栄えていた。
C九州帝国大(現九大)の設置場所で熊本、長崎、福岡は激しく争った。
 結局将来性をみて福岡に決まったが、遺恨は残った。
D明治から昭和にかけて筑豊、長崎、福岡県南、若松は石炭産業で大繁栄した。
E八幡、戸畑、小倉地区も製鐵と陸軍の駐屯で栄えていた。
Fこの時期、博多は地味な発展を続けていた。
G戦後、旧軍関係で栄えた地域は次第に衰退していく。
H鉄道と航空機の発達で地政学的なメリットや航路で栄えていた地域もかげりを見せ始めた。
 山陽新幹線の開通と近場の飛行場で福岡が発展しだす。
I産業構造の変化で北九州が衰退しだす。
J高速道路の発達と高速特急の発展で、福岡から日帰り圏内の事業所が統合されだす。
 このころから福岡はイベント都市、消費都市としての福岡ブランド化を始める
 (意識しだしたと思う)。
K福岡一極集中が始まる。
 なんで集まりだしたかと言うと、私が思うに、地方都市内でのしがらみ(例えば企業城下町
 でのヒエラルキー構造=北九州やどこで何かしても誰かに必ず会う)から離れる格好の街に
 なってきたのではないか? いわゆる「都市の空気は自由にする(by西洋史)」だと思う。
Lこれに併せて各県で危機感が広がりだす。
 いわゆる「ストップ・ザ・福岡」が口にされ始める。

さて、こんな背景があることから、まったく客観的な判断をどの県もくだすことができないと
考えられています。

そんな中
@福岡空港が数年先にはパンクする。
Aドル箱の羽田との幹線が非常に多く、乗り入れ航空会社も多い。
 こんな状態でも枠があれば乗り入れたい航空会社が非常に多い。(はっきり言って過剰)
B九州内の国際線はほとんど福岡空港を離発着している。
 実質九州国際空港的になっているが、実は季節の海外旅行者が多いだけ。
C他県にも空港はあるが、近県の利用者は福岡に集中している。
 特に東京線がスカイマークの登場以後割安になったので利用者が増加。
D利用者が流れてくることを期待して佐賀空港が開港し、北九州も新空港の建設を開始した。
 ところが、佐賀空港は利用者がとても少なく(能代空港レベル)苦戦している。
 自治体が値下げを依頼しても搭乗率が低くて実施してもらえない。
Eつまり、新規に空港を作っても福岡空港の利用者が流れてくるでもしなければ採算が取れにく
 いと言う現実がある。
F福岡空港では、パンク回避の手段として乗り入れの制限なんか(今の所)する気がない。

<↓続く↓>
802無謀松改め「よだろく」:2001/03/30(金) 17:15
<↑続き↑>

そこに、九州国際空港を作ろうという計画がふって来た。
@福岡はこれを新福岡空港として考えた。(ラッキー)
 現福岡空港の代替で利用者もスライドしなければ採算取れまいと思っている。
 となると利用者が我慢できる距離内での建設を望む(糸島or玄海)
A他の県では、(内心)地域活性化のチャンスと捉えた。
 国際空港の誘致により、一極集中が解消される。
 なんとしても福岡にはこれ以上集中させない!
B特に、既に空港を作って大赤字、または建設中の所にとっては
 「このまま国際空港にしたらどうか?」(救いの神になるか)
 建設コストの問題もあるが、実はAも内心あるのを福岡は感じ取っているし
 持ってるものは手放したがらない。
 また、他県どうしもお互いに「相手にだけは」と思っている。
C建設場所の根拠が
 福岡=利用者数に応じて需要のある所に作ろうとするのに対して
 他県は九州全体(北部九州の時もある)を時勢学的に見た場合の中心、すべての県から平等な
 距離が論拠である。(これだと玉名沖なので熊本県は特に強く押している)
 まだ佐賀空港の方が現実的かも。
B一方、国際空港だけ作って本当に採算取れるのか?と言う意見もある。
Cこう着状態に入ったので、福岡は独自でパンク後の対応「新福岡空港建設」を検討し始めた。
Dそれに対して特にBを指示する人から「だったらこっちに幹線を分けてよ」と言う声が出る。
Eまた、福岡空港がそのままスライドしたら結局@になってしまうことに対する非難も多い。
F福岡内部でも建設費をどうする?の声が出ている。
 また、不便になれば利用者が減るのでは?と意見も多い。
 (玄海の場合、西鉄宮地岳線と市営地下鉄の直結で回避するつもりらしい。)
G福岡がまったくDを考慮しない点について「分け前をよこせ」と言う声が大きくなり出した。
H但しGは福岡がと言うよりも航空会社が路線を他空港に動かしたくないという点が大きい。
 なぜならドル箱の路線であり、飛ばせば飛ばす程利益が出るからである
 (儲かる路線に資源=機=を集中するのは当然と言えば当然)
I自分とこの空港でも路線が増えれば利益が出るようになると言う意見が他の空港からある。
 しかしその根拠は????
Jとなったら、行政が福岡利用の航空会社に介入して強制的に便を減少させるか、他の自治体が
 搭乗率の補償(例:空便でも60%利用者分県が支払う)等してまず路線を開かせるべきだと思うが、
 どの自治体も財政が苦しく、それができない。
Kだったらどうするの?でぐるぐる回っている。


<↓続く↓>
803無謀松改め「よだろく」:2001/03/30(金) 17:34
<↑続き↑>

ここで考えを変えてみませう。

(1)まず国際空港は九州に必要なのか

利用者状況は?本当はどうなってるの?

 @そもそも県別の旅券発行者数を見ると=外務省資料H12年度。
        旅券発行数 (県/全国) 順位
------------------------------------------------------------------
  全国   :5,857,486
東京都 : 794,326 (13.6%) 1位
神奈川県 : 516,999 ( 8.8%) 2位
大阪府 : 457,847 ( 7.7%) 3位
愛知県 : 364,122 ( 6.2%) 4位
埼玉県 : 347,739 ( 5.9%) 5位
千葉県 : 327,608 ( 5.6%) 6位
兵庫県 : 284,191 ( 4.9%) 7位

------------------------------------------------------------------
  九州全体  : 535,124 ( 9%)
 福岡県  : 245,382 ( 4.2%) 8位  7位:兵庫県、9位:北海道
   熊本県  : 71,595 ( 1.2%) 23位 22位:岡山県
   鹿児島県 : 55,299 ( 0.9%) 26位 25位:滋賀県、27位:山口県
   長崎県  : 48,686 ( 0.8%) 29位 28位:石川県
   大分県  : 46,677 ( 0.8%) 30位 31位:愛媛県
   佐賀県  : 34,063 ( 0.6%) 41位 40位:福井県
   宮崎県  : 33,422 ( 0.4%) 42位 43位:徳島県
------------------------------------------------------------------
 参考
 山口県 : 55,211 ( 0.9%) 27位
 広島県 : 113,868 ( 1.9%) 13位 12位:茨城県
 長野県 : 90,587 ( 1.5%) 15位 14位:奈良県
 宮城県 : 79,952 ( 1.4%) 18位 17位:三重県、19位栃木県
------------------------------------------------------------------
★地域需要としての国際空港は必要なの?て感じですな。
 もちろん現在の空港の位置での数字なんで「もっと近くにできたらきっと...」
 と言う方もあるでしょう。しかし、身近に国際空港ができてこの数字が1桁上がると
 思えますか?
 一部には「まさか××県より下なんて」と怒る方もいるでしょう(笑)

 しかし、人口が少ないんだから利用者が少ないのはあたりまえだ!と言う方も
 いるでしょう。そこで対人口比で見ると=1999年指標。
人口 (旅券発行者数/県人口比)
------------------------------------------------------------------
  全国   :126,670,000
東京都   : 11,840,000 (6.7%) 1位
神奈川県  : 8,440,000 (6.1%) 2位
奈良県 : 1,450,000 (5.8%) 3位
千葉県 : 5,920,000 (5.5%) 4位
京都県 : 2,630,000 (5.2%) 5位
愛知県   : 7,010,000 (5.2%) 5位
大阪府   : 8,800,000 (5.2%) 5位
兵庫県 : 5,480,000 (5.2%) 8位
滋賀県 : 1,330,000 (5.1%) 9位
埼玉県 : 6,930,000 (5.0%) 10位
------------------------------------------------------------------
  九州全体  : 13,460,000 (4.0%)
 福岡県  : 5,000,000 (4.9%) 11位 10位:埼玉県、12位:岐阜県
   佐賀県  : 880,000 (3.9%) 25位 24位:群馬県
   熊本県  : 1,860,000 (3.8%) 26位
   大分県  : 1,230,000 (3.8%) 27位 28位:香川県
   長崎県  : 1,520,000 (3.2%) 35位 34位:沖縄県、36位:北海道
   鹿児島県 : 1,790,000 (3.1%) 38位 37位:福島県、39位:新潟県
   宮崎県  : 1,180,000 (2.8%) 42位 41位:山形県、43位:島根県
-----------------------------------------------------------------
 参考
 山口県 : 1,540,000 (3.6%) 31位
 長野県 : 2,220,000 (4.1%) 19位 18位:石川県、20位:和歌山県
 広島県 : 2,880,000 (4.0%) 22位 21位:富山県、23位:栃木県
 宮城県 : 2,360,000 (3.4%) 33位 31位:徳島県、34位:沖縄県

<↓続く↓>
804よだろく:2001/03/30(金) 17:36
<↑続き↑>

この資料には月別や年代別の渡航者数も出てるので見てみると
 Aピークは8月(夏休み)、オフは12月。
    月平均で見るとこんな具合↓
     福岡県  : 20,449
    佐賀県  : 2,839
    長崎県  : 4,057
    熊本県  : 5,966
    大分県  : 3,890
    宮崎県  : 2.785
    鹿児島県 : 4,608

 B年代別に見ると、これがちょっと面白い。
[≦19] [20-29] [30-39] [40-49] [50-59] [60-69] [70-79] [80≦]
福岡 45,670 59,438 34,783 33,575 38,164 24,245 8,615 892
佐賀 7,272 7,460 4,467 5,151 5,032 3,340 1,223 118
長崎 12,371 9,698 6,303 6,229 7,236 4,792 1,886 171
熊本 13,363 15,484 9,790 10,637 11,303 7,735 2,971 312
大分 9,548 9,762 6,066 6,633 7,598 5,039 1,873 158
宮崎 6,444 7,397 4,338 4,542 5,502 3,590 1,452 157
鹿児島 16,102 11,038 6,874 6,727 7,366 5,045 1,918 229

★どの県も29歳以下の層が海外渡航者の主流になっている。
   また、高齢者の渡航数はどこも低調。
   福岡を除く各県は年齢による増減がそれほどでも無いが、福岡は50代でもうひとつの
   ピークがあり、60代前後で渡航者数に開きが大きい。

  ☆これとAから想像するに、
   九州では若者の海外旅行が実は需要の大半である。

  ☆ビジネス関係での渡航者は他地区に比べると今ひとつではないか?
   ちなみに福岡のパターンは、東京、大阪、愛知、広島等と相似している。
 (と言っても既に示している様にその数はたかが知れているんだけど)

  ☆しかも、これらの数字は必ずしも九州内の空港を利用しているとは限らない。
   成田や関空経由の渡航者の割合はこの中でどのくらいいるのだろう?


どうですか?国際空港を作る意味あると思いますか?
もちろん『入国』の数字もあるでしょうが(資料無し御免)、年間で何万人?何千万人???

いやいや「国際ハブ空港にするんだ!」という声もあるでしょうが
成田、関空、中部、海を渡って仁川、香港、上海(あったっけ?)と多々ある所に
果たして本当にいるの?と言うのが、正直な意見なんじゃないのかな?

いわゆる九州地方独特の井の中の蛙的なコクサイ感覚とプライド、それに一部の利権集団(福岡に多いんだよなあ!)にとっては絶対に「欲しい」ものだとは思うんだけどね。

<↓続く↓>
805よだろく:2001/03/30(金) 17:38
<↑続き↑>


仮に新規に九州国際空港を作るとして(現福岡以外を九州国際空港に拡張するとしてもいいけど)
どうしても建設場所が確保できない場合を除いて、人口及び利用者数の比重から考えるとどうだろう?
福岡県の24万5千人に対して熊本+佐賀+長崎で15万4千人、鹿児島と大分を足してやっと25万を超える。
玉名沖でバランス取れるだろうか?阿蘇のカルデラを埋め立てて空港を作れば良いかも(笑)。
それから考えると佐賀空港というのは良い考えかもしれない。
但し、北九州、豊前地域と大分県北部からの旅行者には移動の手間とコストがかかる。それならいっそ関空経由にする人も出るでしょう。
中国地方の旅行者はどうだろう?関空か中部、成田にもしかしたら仁川使うんじゃないのかな?

国際線だけで採算取れるとはどうしても考えられ無いんだけどねえ。

となると、どうしても国内線の幹線が無いと駄目だわな。

結局、私の意見としては
基本として現行の福岡空港を使用する。

国際貨物は新北九州空港に全面移行して新門司のコンテナヤードや高速道と結んで物流拠点にする。
国内線の内、東京路線を各会社毎まず20%削減して佐賀空港と新北九に回す。両空港では空港使用量を自治体が全額負担するほか、限度付で割引運賃の適用を航空会社に依頼する。一定期間に利用者が増加しない場合は元の運賃に戻し最低搭乗率の補償も行う、これにかかる費用は自治体及び地域企業が基金を設立する。(これ位しないとね)。
利用者が増えて行けば便数も増えて万歳だし、駄目なら駄目で懐痛んだほうが見切りを付け易いでしょう。

これから少子化が進んでいくことを考えると、航空機利用者がどんどん増えていくとは思えないけどね。あと5年も混雑を辛抱すれば自然に適当なバランスで地域にばらけていくような気がするんだけど。

それではさようならあああ!